連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第10回 スウェーデン直感紀行 Vol.3「世界遺産“森の墓地 スクーグスチルコゴーデン”を歩く」
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暮らしノート 第10回 スウェーデン直感紀行 Vol.3
「世界遺産“森の墓地 スクーグスチルコゴーデン”を歩く」
前回につづいて、スウェーデンのハイライト、世界遺産の「森の墓地 スクーグスチルコゴーデン」へ向かいました。
Text & Photographs by Yoko Ueno Lewis(Feb. 2012)
宗教に関係なく、だれもがその魂を宇宙に返すことができます
ストックホルムの中央駅から電車で約20分足らず、小さな駅を降りて、長い塀に添って歩くと、すぐに門が見えてきます。建築家はスウェーデンのグンナール・アスプルンド、1940年に完成。1994年に世界遺産に登録され、20世紀以降の建築作品のなかで登録第1号ということです。
森の自然な状態をそのままに、そのなかに溶け込むように墓地や火葬場、教会や祈りの場が設けられています。大切なひとを見送る……、その気持ちにやさしく閑かに寄り添うような墓地全体のコンセプトは、時間を超えて、亡くなったひとの最後と残されたひとのあたらしい出発をみつめてくれます。宗教に関係なく、だれもがその魂を宇宙に返すことができます。
やっと念願かなって、スプーン一杯の父と夫の灰を大地に返すことができました
やっと念願かなって、スプーン一杯の父と夫の灰を大地に返すことができました。その日、幸運にも広がった青い空と真っ白な雲の下、新鮮な空気と溢れる光のなかを歩くことができました。
それなりの悲しみ、行き場のないなつかしさ、耐え難い悼み、繰り返す後悔、そして理由のない怒りですら……、尽きないもろもろのこちら側の気持ちの端切れを、閑かに拾い集めるようにして、包み込んでくれる大きな森と空と大地のあたたかさ……。
かけがえのないひととの時間を巻き戻すために、ここはいつも場所を開けて待ってくれているにちがいありません。ここでは、こちら側の世界と、そこから放たれた魂がいつも出会える場所なのです。
いまごろは、真っ白な雪と、透き通る光に埋もれているでしょう……
以下が、スクーグスチルコゴーデンの日本語のPDFのインフォメーションです。
http://www.skogskyrkogarden.se/docs/ladda-ner/pdf/skogskyrkogarden_v2_jp.pdf