日産|NISSAN GT-R マイナーチェンジ
CAR / NEWS
2015年3月31日

日産|NISSAN GT-R マイナーチェンジ

日産|NISSAN GT-R

公約どおりのトランスフォーム(1)

日産自動車はNISSAN GT-Rの2011年モデルを2010年11月17日より発売すると発表した。最高出力を上げながら燃費低減をはかったのが特徴だ。もうひとつは、外国の高級車なみにインテリアカラーなどをオーダー設定ができる「EGOIST」も話題となっている。

文=小川フミオ

リッター8.6kmの低燃費で、530psの最高出力を誇るV6ターボ

NISSAN GT-Rの2011年モデルは、3.8リッターV型6気筒ターボエンジンに、6段デュアルクラッチトランスミッションを搭載するのは、従来同様。ただし、JC08モードでリッター8.6kmの燃費と環境適合性がより高くなった。同時に、最高出力390kW(530ps)/6,400rpm、最大トルク612Nm(62.5kgm)/3,200-6,000rpmと向上。燃費はよくなり、パワーとトルクが引き上げられている。

日産|NISSAN GT-R Club Track edition|EGOIST Photo02

日産|NISSAN GT-R Club Track edition|EGOIST Photo03

2011年モデルでは「走りの向上」を目的に、各所にファインチューニングがほどこされた。ボディ剛性、タイヤ接地荷重応答性、新型ダンパーの採用による乗り心地を改善、制動力と耐フェード性を高めた日産独自開発の薄型大径ブレーキローター採用、わだち路などでの直進安定性を高めた新コンパウンドをタイヤにくわえた。さらにボディ各部に着手したことで空力の低減とエンジン、ブレーキ、マフラーといった各所の冷却効率がさらに向上した、といったぐあいだ。

至極のサーキットモデルと、工芸を取り入れたふたつの顔

注目されるのが、ことなる志向性をもつふたつのバージョンが設定されたこと。ひとつは、さきごろ限定で販売されたサーキット専用モデル「Club Track edition」。もうひとつは「つくりの感動を提供する」と日産自動車が謳う「EGOIST」。

EGOISTは、「最高の技をもつ匠の手で、お客さまひとりのためだけにつくりあげられる世界で一台だけのGT-R」と報道陣に渡された資料に記載されていた。世界の名だたる高級車メーカーのためにレザー内装を手がけるドイツのシートン社で張りこまれた革内装が目を惹く。1枚ずつ微妙にちがう革の厚さにおうじて張り込む部品を丁寧に削る作業をはじめ、一流の職人による世界を味わってほしいと水野CVEは話す。インテリアの革張りは、アッパーカラー4色、ロアカラー10色の組み合わせから選択可能。シート表面はダイヤモンドパターンのキルティング加工ができるようになっている。

匠の技を採り入れたEGOISTでは、さらに、ステアリングボスに取りつけられたGT-Rのエンブレムは、伝統工芸士による輪島蒔絵。オーナーのドライビングポジションにあわせて専用セッティングされるBOSE社製「プレシジョンサウンドシステム」も、“自分だけ”のGT-Rにとって欠かせない装備とされる。

EGOISTはリアスポイラーにSpec-Vと共通のカーボンファイバーを取り入れ、「革の採用などで重量増のぶん、ほかで軽量パーツを採用してバランスがとれるようにした」という。鍛造でこだわったつくりを見せる軽量アルミホイールも、やはりSpec-Vとおなじものを装着し、贅たくさを強調した。

ラインナップは、「Pure edition」(869万4,000円)、「Black edition」(903万3,000円)、「Premium edition」(945万円)、「Spec V」(1575万円)、そして「EGOIST」(1500万300円)となる。

日産|NISSAN GT-R

公約どおりのトランスフォーム(2)

伝えるべき、クルマを“つくる”感動

「2007年にGT-Rを発表したとき、本当の姿は3年後にお見せすると約束しました。これがその答えです」と、横浜駅近くの日産自動車グローバル本社で開かれた報道陣への発表会の席上で、開発の総指揮を務める水野和敏チーフビークルエンジニア(CVE)は語った。

「GT-Rで目指しているのは、クルマを核とした感動の創造。乗る方に感動をあたえるには、どうやってつくられているかを伝えるのが重要と思っている。冷却効率を高めるとともに専用オイルの採用で1,100℃での燃焼を可能としたエンジン、アウトバーンで270km/h走行をしている途中でバーストしても運転に影響をおよぼさないタイヤをはじめ、ブレーキローターの冷却速度を速めるための空力特性、ドライブトレインのレイアウトをふくめて前後4つの車輪への適正な荷重……」

さらに水野CVEによると、「栃木工場で“匠”の資格をあたえられた担当による精度の高い組みつけから、お客様との窓口になるカーライフアドバイザーをテストコースでの走行実験などに同席してGT-Rの本質を理解させること」にいたるまでが、オーナーに伝えたい「つくる感動」なのだという。

日産|NISSAN GT-R Club Track edition|EGOIST Photo06

日産|NISSAN GT-R Club Track edition|EGOIST Photo07

顧客にだけ用意された時と場所

栃木工場では顧客向けに専用スペースを設定したのも顧客とのコミュニケーションを向上させるための方策。顧客は、そこに設置されているソファに座り、自分が購入したクルマのシートやダッシュボード、乗車時いつも目にはいる一部に、その“匠”の手がくわえられるようすを、実際に眺めることができる。あいにく、外国のような完成車の直接引き渡しは不可。車両登録(ナンバーづけ)などの関係でディーラーにておこなうことになるそうだ。

発表会の席上で水野CVEは、一部の専門誌で書かれているGT-R生産中止の噂に言及。「5年以上は生産を継続する。いま乗っているGT-Rの性能をアップデートできるバージョンアップキットも設定。これからもGT-Rの世界を拡充していく方針」と話した。

ただし、一部グレードの見直しはおこなう模様。水野CVEは「Spec-Vは2011年夏ごろをめどにオーダーストップを考えている。EGOISTに集約していきたい」と話した。

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ボディ|全長4,670×全幅1,895×全高1,370mm
ホイールベース|2,780mm
車両重量|1,730kg
エンジン|3.8リッターV型6気筒ターボエンジン
最高出力|390kW(530ps)/6,400rpm
最大トルク|612Nm(62.5kgm)/3,200-6,000rpm
燃料消費率JC08モード|8.6km/ℓ

           
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