ホンダ、東京モーターショーで新型FCVやシビック タイプRを出展|Honda
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東京モーターショーで新型FCVやシビック タイプRを出展
2015年は隔年開催される東京モーターショーの年。プレスデー10月28日(水)、一般公開10月30日(金)の開幕日までいよいよ1ヵ月を切り、各自動車メーカーから出展概要が届きはじめている。まずはホンダをご紹介。
Text by OGAWA Fumio
エコとスポーツ
2015年の第44回東京モーターショーのプレビュー。第1弾は本田技研工業だ。「だれかを喜ばせたり、驚かせたり、ワクワクさせたり、幸せにしたりするのがたまらなく好きだから、Hondaはモビリティを作っています」とする同社の特別出展車は、エコとスポーツの両軸。これがいかにも、最近のホンダブランドらしい。
目玉のひとつは、燃料電池搭載の新型FCV。“FCV”はフューエル セル ビークルの頭文字でそのまんま。正式名称は10月28日に発表すると、本田技研ではしている。
1990年代からFCVに取り組み、2000年代は屋久島での水力発電を使った実証実験を経て、世界初の専用設計セダン「FCXクラリティ」のリースをしていただけに、今回は満を持しての発表、ということになるだろうか。
新型FCVの大きな特徴として本田技研が掲げているのは、5人乗りのパッケージだ(トヨタ「MIRAI」は4人乗り)。水素から電気を取り出すいわゆるFCスタックを小型化することで、後席下でなく、フロントボンネット内に搭載することに成功しているのだ。そのためスペース効率にすぐれた内容となっている。「航続距離は700km、水素タンク充填は3分程度」と本田技研では胸を張る。さらにこの11月に米国ロサンジェルスで開催される自動車ショーでは、FCVの発展型が出るとも。東京モーターショーが新時代へと踏み出す同社の第一歩となる。
スポーツの面では、2016年春という発売が近づいてきた「NSX」が話題を呼びそうだ。「スポーツハイブリッドSH AWD」と呼ばれる3基のモーターをエンジンと組み合わせたハイブリッドシステムが特徴的。ミドシップのエンジンで後輪を駆動しつつ、前輪左右に1基ずつモーターを配した4輪駆動システムだ。この新世代のトルクベクタリングにより、コーナリング時の駆動力制御にもすぐれることが強調されている。
市販が秒読みに入っているのは、前輪駆動量産車世界最速を本田技研が謳う「シビック タイプR」。310psの最高出力に、410Nmの最大トルクを絞り出す新開発の2リッター4気筒エンジン搭載である。専用開発の19インチ高性能タイヤに、大容量のブレーキシステム、くわえて、変速機は6段マニュアルと“本格的”に走りを志向したモデルだ。欧州では、フロントスポイラーのリップに赤い差し色が入った上級グレードと、ここが黒になる標準グレードの2本立て。日本では黒の後者が販売される模様。
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回転半径1メートルのパーソナルモビリティ
現時点ではショーモデルだが、発売されたら楽しそうと夢を見させてくれるのが、「プロジェクト2&4」。「二輪車と四輪車の価値を融合」とされる一人乗りのスポーツカーの提案だ。エンジンはモトGPでクラス2連覇を達成したホンダ「RC213V」の4気筒(ただし公道仕様)でミドシップ。シートはフローティングマウントといって、床面がない。座面の下は道路なのだ。
全長3メートル、車重405kgのボディはカートのようでもあり、右側面からみると、カウルには赤い丸が書かれた1960年代のホンダF1マシンを彷彿させる。デザインは社内コンペの結果、日本のスタジオに在籍していた米国人デザイナーによるという。「既存の枠組みや常識にとらわれない」と主張する本田技研。最近は軽自動車に力が入っているのは営業的に仕方がないことかもしれないが、ぜひこちらの路線も追求してもらいたいものだ。
環境とスポーツ、それにくわえて近未来のモビリティも本田技研にとって重要なテーマとする。高齢化社会に向けて喜ばしい取り組みだ。これには、歩行者と同じように屋外と屋内を自由に行き来することができるパーソナルモビリティの提案として「ワンダーウォーカー」が発表される。
ワンダーは英語で書くとWandar(ぶらつく)で、その名のとおり、わずか1メートルの回転半径を利用して、足がわりにどこでも行けることを特徴としている。走るストールともいえるユニークなコンセプトで評判を呼んだ「ユニカブ」に使っているオムニホイールの採用により、横スライドもできる。Wi-Fiによるリアルタイム通信システム「V2X」も組み合わせて、移動の自由を拡大してくれるそうだ。