Volkswagen E-Scooter|フォルクスワーゲン Eスクーター 他社製品との比較
Volkswagen E-Scooter|フォルクスワーゲン Eスクーター
MINI、SMARTにつづく3台目のドイツカーブランド製電気スクーター
フォルクスワーゲンは、現在開催中の上海オートショーに電気モーターだけで走行するコンセプトモデル「Eスクーター」を発表した。
Text by OPENERS
わずか20kgの車体
フォルクスワーゲンからあらたな電気スクーターのコンセプトモデルが誕生した。「Eスクーター」と名づけられた同車は、非常に軽量なのが特徴で、搭載されるモーターと軽量と謳われるニッケル水素バッテリーをのぞくと、車体はわずか20kgしかないという。最大航続距離は、最高時速48km/hで走らせた場合、約64kmとなる。
昨今、ハイブリッド車や、電気自動車でも大容量のリチウムイオンバッテリーを使用するケースが多い。今回、ニッケル水素を用いた明確な理由は語られていないものの、フォルクスワーゲンのデザインディレクター China Simon Loasbyは「このEスクーターにもリチウムイオンバッテリーと、よりハイパワーなモーターを搭載することは構造的に容易なことである」と述べている。
デザインにかんしては、ボディのどこをみてもフォルクスワーゲン車の証であるエンブレムが取りつけられていない。しかし、シンプルなつくりではあるが、ヘッドライト、テールランプ、そしてボディシェイプによって、フォルクスワーゲンの製品であることが一目見ただけでわかるようにデザインしたという。
フォルクスワーゲンは、このEスクーターを基本的にはレンタルで提供するとしているが、スクーター市場が盛んな中国に、一石を投じるべく1,000ドル(6,500元)以下での販売も目論んでいるという。2012年のあいだに実証実験をおこない、そのあと全世界でローンチをおこなう予定だ。
パリモーターショーで発表された2台の電気スクーター
昨年のパリモーターショーにおいても、MINI、SMARTというドイツを代表するふたつのプレミアムカーブランドから、「MINI スクーター E コンセプト」「SMART E スクーター」という名前で電気スクーターが公開されている。フォルクスワーゲンとあわせて3ブランドが出揃ったのを機に、それぞれが発表したテクニカルデータなどを見てみよう。
まずはMINIである。いまだくわしい情報は述べられていないのだが、バッテリーはリチウムイオンバッテリーを採用し、5時間のフル充電で最大100kmを走らせることができるという。このMINI スクーター E コンセプトの興味深い点は、通常の家電同様のコンセントプラグをもっていることだ。これにより、場所やインフラを厭わず、簡単に充電することができる。デザインは3モデルのなかで、もっともスクーターらしいと言って良いだろう。
一方のSMARTだが、こちらは昨年、日本でも実証実験をおこなった電気自動車「Smart フォーツー ed」を彷彿させるカラーリングを纏っている。最高出力4kWのインホイールモーターを搭載し、最高速度は45km/hを記録。48Vのリチウムイオンバッテリーを積み、最大100kmまで走らせることができる。
数値だけ見ると、ややフォルクスワーゲンが劣っているように思えるが、軽量化を考慮したニッケル水素バッテリーの採用、手軽に乗ることができるようレンタルを基本にするという点は、興味深い試みである。
また、今後のプランがあるように思えるフォルクスワーゲンにたいして、MINI、SMARTは、販売予定などをあきらかにしていない。しかし、今後のモビリティ社会の形成にたいする、カーブランドのあらたな挑戦として各ブランドの開発進捗に期待を寄せたい。