メルセデス-AMG A45 4MATICに試乗|Mercedes-AMG
CAR / IMPRESSION
2016年2月23日

メルセデス-AMG A45 4MATICに試乗|Mercedes-AMG

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

メルセデス-AMG A45 4MATICに試乗

AMG本来のキャラクターを獲得

昨年、ビッグマイナーチェンジが施されたメルセデス・ベンツ「Aクラス」。今や、メルセデスのサブブランドとして、ブランド名がメルセデス-AMG となった「A45 4MATIC」も新しくなった。では、Aクラスでもっともハイパフォーマンスな同モデルは、初期型モデルからどう進化したのか。モータージャーナリスト大谷達也氏が試乗した。

Text by OTANI TatsuyaPhotographs by ARAKAWA Masayuki

デビュー当初はスパルタンだった

「かなりのジャジャ馬だなあ……」

初めてメルセデス-AMG 「A45 4MATIC」に試乗したとき、そう感じたことが今も強く記憶に残っている。もっとも、このモデルがデビューした当時の正式名称はメルセデスベンツ「 A45 AMG 4MATIC」。しかし、メルセデスはサブブランドであるAMGやマイバッハのモデル名体系を改め、AMGであればメルセデス-AMG、マイバッハであればメルセデス-マイバッハとし、いずれもサブブランド名をモデル名の前に持ってくることにした。このためA45の正式名称は、いまでは前述のとおりメルセデス-AMG A45 4MATICへと改められたのである。

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

それにしてもデビュー当初のA45はスパルタンだった。乗り心地は硬めで、タイヤは18インチでも路面から伝わるゴツゴツ感が強め。このためもあって轍の深い路面ではステアリングがとられそうになるし、ちょっとしたバンプをきっかけにしてタイヤのグリップが失われそうな予感(単なる予感で、必ずしも実際にそうなるわけではない)がして、“量産4気筒エンジン”として史上最高出力の360psを有効に使い切れない。そのエンジンにしてもパワーがやや唐突にわき上がる傾向があり、扱い易いとは言いづらかった。

あれからおよそ3年を経て、Aクラスにビッグマイナーチェンジが施された。余談ながら、メルセデスはビッグマイナーチェンジによって製品の完成度を大幅に引き上げたことがこれまでにも何度もあったので、今回の改良によりA45がどの程度生まれ変わったのか、興味津々でステアリングを握ることになった。

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

メルセデス-AMG A45 4MATICに試乗

AMG本来のキャラクターを獲得 (2)

安心してパフォーマンスを引き出せるようになった

最初に驚いたのは、その乗り心地のよさ。ダンパーが新たに電子制御式となり、コンフォートとスポーツの2段階に切り替えられるようになったのだが、単純に減衰率が下がって乗り心地がソフトになったというよりも、サスペンション全体のフリクション感がぐっと下がったようで、これまで以上にタイヤが路面に素直に追従するようになった。この傾向はコンフォートでもスポーツでも変わらない。ただ、スポーツでは減衰率が一段と高まって、ハンドリングのレスポンスがより向上するのである。

このしなやかな足まわりのおかげで、荒れた路面に遭遇しても進路が乱されることがなくなったばかりか、ハードコーナリング中にバンプに乗り上げてもタイヤのグリップが失われそうになる機会がぐっと減った。つまり、より快適でいながらより安心感の強いサスペンションに生まれ変わったのだ。

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

エンジンマネージメントの改良によりプラス21ps/25Nmを得て381psと475Nmを発揮するようになった直列4気筒 2.0リッターターボも、スペックとは裏腹に従順で扱い易い特性へと変化していた。スロットルペダルの踏み込み量と生み出されるパワーの関係がよりリニアになるとともに、踏み込んでからエンジンパワーがわき上がるまでの時間的な遅れが小さくなった結果、コントロール性が大幅に高まったのである。

スタビリティの高まったシャシーとドライバビリティの向上したエンジンを得たA45がワインディングロードでどんな走りを見せてくれるのか、想像するのは容易だろう。これまでより正確に、そして思いのままにスピードをコントロールできるうえ、路面の状態やクルマの姿勢が多少変化してもタイヤグリップの限界はほぼ一定しているので、以前に比べるとはるかに容易に、そして安心してA45の持つパフォーマンスを引き出せるようになったのだ。

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

メルセデス-AMG A45 4MATICに試乗

AMG本来のキャラクターを獲得 (3)

洗練度が大幅アップ

そうしたコーナリングマナーの変化とともに歓迎したいのが、エグゾーストノイズのレベルが一段と下がったこと。これはスロットルペダルの踏み込み量によってエグゾースト系に仕込まれたフラップを電子制御で開閉することにより、大人しく走っているときはあまり排気音を聞かせることなく、そして飛ばしているときには朗々と排気音を響かせるシステムを追加した恩恵でもあるのだが、電子制御式ダンパーのセッティング同様、このシステムの設定そのものが従来よりもマイルドな方向に振られているので、全般的な騒音レベルはぐっと下がったように感じられるのだ。

また、たとえばスポーツモードなどを選ぶと、これまではスロットルペダルを離したときに「パンッ、パンッ、パパンッ!」というアフターファイアーのようなノイズを頻繁に響かせていたのだが、その頻度が格段に低くなったことも個人的には嬉しかった。

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデス-AMG A45 4MATIC

こう書くと、新型A45は大人しくて歯ごたえのないモデルに生まれ変わったように思われるかもしれない。また、従来型の刺激的な味付けのほうが好みというユーザーがいることも、わからなくはない。けれども、これまでにAMGが生み出してきたスポーティモデルは、たとえ圧倒的なパフォーマンスを備えていても荒々しさとは無縁で、いずれも乗り心地や静粛性には十分に配慮されていた。その意味では、A45も新型になってAMG本来のキャラクターを備えるようになったといえるだろう。私自身も、洗練度を大幅に高めた新しいA45のほうがより多くのファンから支持されるに違いないと確信している。

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Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデスAMG A45 4マチック
ボディサイズ|全長 4,370 x 全幅 1,780 x 全高 1,420 mm
ホイールベース|2,700 mm
トレッド 前/後|1,555 / 1,560 mm
車両重量|1,560 kg
エンジン|1,991 cc 直列4気筒ターボ
最高出力| 280 kW(381 ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|475 Nm(48.4 kgm) / 2,250-5,000 rpm
トランスミッション|7段AMG スピードシフト DCT
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|トレーリングアーム
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|235/40R18
0-100km/h加速|4.2 秒
燃費(JC08モード)|12.6 km/ℓ
トランク容量|341-1,157 ℓ
最小回転半径|5.1 m
価格|713 万円

問い合わせ先

メルセデスコール

0120-190-610

http://www.mercedes-benz.co.jp/

           
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