ジープの未来を見据えたチャレンジ|Jeep
Jeep Cherokee|ジープ チェロキー
ジープ チーフデザイナー マーク アレン氏に聞く
ジープの未来を見据えたチャレンジ
ジープの、特に「チェロキー」といえば、日本でも大ヒットを飛ばした「XJ」の型式で知られる1984年デビューの第2世代モデルに代表されるように、誰もが箱形のデザインをイメージする。スクエアでソリッドなフォルムが“ジープらしい”という共通認識に誤りはないだろう。しかし、第5世代となった現行モデルは、そうした“ジープらしい”デザインから一転。なにも似ることのないアヴァンギャルドなデザインにチャレンジした。大きく趣を変えたチェロキーの秘密を、デザイナーに直撃する。
Text by SAKURAI KenichiPhotographs by TSUKAHARA Takaaki
ワイルドとマイルドの融合
SUVブームを牽引してきたジープ「チェロキー」は、ジープ伝統の7スロットグリルや台形をモチーフとした前後のフェンダーなど、これまでどおり、ジープをジープらしく見せるディテールを持っているが、流線型ともいえる丸みを帯びたフォルムは、確実に従来とはことなる印象を見る者にあたえる。
誰もが思う「ジープ」とはかくあるべきという先入観を逆手に取り、次世代を披露して見せたエクステリアデザインは、見どころが満載だ。まるで乗用車のように寝たAピラーやエンジンフードと一体化したフロントグリル、正面から見て一番上がLEDクリアランスランプ、バンパー上部に備えられたスモークレンズのヘッドライト、その下のバンパーに埋め込まれたフォグランプなど、とにかく印象的だ。
こうしたフロントフェイス、特にライト類の印象が強く、猛禽類的なデザインにも見えるが、何かモチーフとして用いたものはあったのだろうか?
「よく聞かれるのですが、今回新型チェロキーのデザインにあたり、何か(動物や鳥)をモチーフに作業を進めたということはありません。ジープは、オーソドックスなまさにジープのアイコンともいうべき性能とデザインを持ったラングラー、そしてプレミアムモデルとして評価の高いグランドチェロキーをラインナップしています。
新世代のチェロキーを開発する際に、チェロキーはラングラーのような従来からよく知られているスクエアなデザインと、都会的でモダンに進化してきたグランドチェロキーのデザインを取り入れています。これはワイルドとマイルドの融合ともいえるものです。
前面と後面ではなく、バンパーを挟んで上下でデザインテイストを分けています。下半身は、台形のホイールアーチを強調しタフなイメージを、反対に上半身は洗練された滑らかさを持ち、同時に今すぐ走り出しそうなダイナミックなデザインを狙いました」
Jeep Cherokee|ジープ チェロキー
ジープ チーフデザイナー マーク アレン氏に聞く
ジープの未来を見据えたチャレンジ (2)
あたらしいチャレンジ
ラングラーをジープの原点だとするなら、チェロキーはあまりにもチェレンジしすぎではないか。
「おっしゃるとおり、ラングラーはジープの原点であり、歴史そのものです。これは分かりやすく他社の例をだして紹介するのなら、ポルシェ911のような存在と言い換えることができるかもしれません。常に進化しし続けていますが、それがひと目でジープであり、ラングラーであると分かる必要があり、同時にそれが求められる車種になります。
しかし、チェロキーは常に時代の先端でSUVの流れを作ってきたモデルです。今はSUVにも効率や環境性能が求められます。これは走破性に優れ、タフで実用的であることが求められた過去のトラックベースのモデルとはことなる性能要求になります。
もちろん、ジープを名のる以上悪路走破性や機能性は犠牲にできません。この基本性能に、現代的な性能要求がくわわったと理解して頂ければいいと思います。
そこでわれ我が下した選択が、乗用車のプラットフォームを使用するという、あたらしいチャレンジです。これは空力特性の改善やサスティナブルという面からも、大きく進歩したといえるはずです」
FFモデルがラインナップすることからも分かるように、新型チェロキーのプラットフォームは、米国でダッジ「ダート」として販売されているFFの「コンパクトUSワイドプラットフォーム」と共通だ。既報のように、このプラットフォーム、そのルーツをたどればアルファロメオ「ジュリエッタ」に行き着く。
フィアットとの経営統合によって生まれたあたらしい流れの中に、このチェロキーも存在しているのだ。そうしたベースやそこから生み出されたデザインに対し、メインマーケットである北米のユーザーはどのような考え、反応を示しているのだろう?
Jeep Cherokee|ジープ チェロキー
ジープ チーフデザイナー マーク アレン氏に聞く
ジープの未来を見据えたチャレンジ (3)
ライフスタイルへの対応
「2013年末から発売をおこなっている北米で市場の反応は、このあたらしいデザインを肯定的に受け止める層と、あたらしいチャレンジに拒否反応を示すものやはり半々になります。しかしこうした反応は、我われにとっては想定内で、時間の経過とともに初期のネガティブな意見は落ち着くと見ています。
都会派として知られるグランドチェロキーの方向に近づきながらも、チェロキーではモダンなデザインと機能的な要素を両立させることに腐心しました。乗用車と共通のプラットフォームを使用していても、ジープらしいパフォーマンスが得られているとわかれば、ユーザーは合理的な判断をしてくれると期待できます。
何を使っているのか、よりも、どんなところを走れる性能を持っているのか、そしてそれをより高い次元で保証するのがジープというブランドにおいて何よりも重要であるからです」
新型チェロキーのデザインで表現したのはどんなエレメントなのだろう?
「我われが新型チェロキーで表現したのは、ダイバシティ(多様性)です。ジープ ブランドに求められ、期待されるさまざまなライフスタイルに対応できるということを念頭に置いてそれを具現化したつもりです。
ライフスタイルとは、たとえばアウトドアやスポーツを楽しむ際に、そうした現実社会の中で何の制約もなくチェロキーを使ってもらえること意味しています。通勤やショッピングといった街の中で走ることも、いっぽうでほかのクルマではこれまで行くことができなかった場所や、行きたいと思う好きなところに行って楽しむということもライフスタイルへの対応といえます」
Jeep Cherokee|ジープ チェロキー
ジープ チーフデザイナー マーク アレン氏に聞く
ジープの未来を見据えたチャレンジ (4)
ジープのDNA
確かに新型チェロキーは、都会の真ん中に置いても、河原や海を走っても、真っ白なゲレンデに乗り付けても、とても絵になりそうだ。あるときはスポーツカーの表情で高速道路やワインディングを走り、あるときはキャンプ場や人が足を踏み入れることを躊躇しそうなオフロードであっても乗り入れられるパフォーマンスを持っている。
「実際にそうしたオフロードに行くかどうかは、もちろんオーナー次第ですが、そこにアプローチできる機能性と、実際に極限ともいえるシチュエーションを乗り越えることができるタフな走破性をもつことは、ジープの使命として必要です。
それが例え、ユーザーの要求でないとしても、です。ジープに乗っているからといって、皆が皆ジャングルを走ることはないでしょう。こうした(人が自分の足では登れそうにもない)足場の悪いオフロードの急坂を登ることもないかもしれません。
しかし、重要なのは、どこへでも行ける、どこでも走ることが出来るという能力を有していることなのです。それがジープというクルマであり、ジープの伝統です。これまでにない大きく進化したビジュアルを持っていても、チェロキーはまさにそんなジープのDNAをもつニューモデルなのです」
Jeep Cherokee Longitude|ジープ チェロキー ロンジチュード
ボディサイズ|全長 4,630 × 全幅 1,860 × 全高 1,700 mm
ホイールベース|2,700 mm
トレッド 前/後|1,580 / 1,620 mm
最低地上高|180 mm
重量|1,730 kg
エンジン|2,359cc 直列4気筒 SOHC
ボア×ストローク|88.0 × 97.0 mm
最高出力| 130 kW(177 ps)/ 6,400 rpm
最大トルク|229 Nm(23.4 kgm)/3,900 rpm
トランスミッション|9段オートマチック
駆動方式|FF
サスペンション 前|マクファーソン
サスペンション 後|マルチリンク
タイヤ 前/後|225/60R17
ブレーキ 前/後|ディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|10.4 km/ℓ
最小回転半径|5.8 m
燃料タンク容量|60 リットル
価格(税込)|379万800円
Jeep Cherokee Trailhawk|ジープ チェロキー トレイルホーク
ボディサイズ|全長 4,630 × 全幅 1,905 × 全高 1,740 mm
ホイールベース|2,720 mm
トレッド 前/後|1,620 / 1,625 mm
最低地上高|220 mm
重量|1,990 kg
エンジン|3,238cc V型6気筒 DOHC
ボア×ストローク|91.0 × 83.0 mm
最高出力| 200 kW(272 ps)/ 6,500 rpm
最大トルク|315 Nm(32.1 kgm)/4,300 rpm
トランスミッション|9段オートマチック
駆動方式|4WD(オンデマンド方式)
サスペンション 前|マクファーソン
サスペンション 後|マルチリンク
タイヤ 前/後|245/65R17
ブレーキ 前/後|ディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|8.8 km/ℓ
最小回転半径|5.8 m
燃料タンク容量|60 リットル
価格(税込)|429万8,400円
Jeep Cherokee Limited|ジープ チェロキー リミテッド
ボディサイズ|全長 4,630 × 全幅 1,860 × 全高 1,700 mm
ホイールベース|2,700 mm
トレッド 前/後|1,580 / 1,585 mm
最低地上高|180 mm
重量|1,880 kg
エンジン|3,238cc V型6気筒 DOHC
ボア×ストローク|91.0 × 83.0 mm
最高出力| 200 kW(272 ps)/ 6,500 rpm
最大トルク|315 Nm(32.1 kgm)/4,300 rpm
トランスミッション|9段オートマチック
駆動方式|4WD(オンデマンド方式)
サスペンション 前|マクファーソン
サスペンション 後|マルチリンク
タイヤ 前/後|225/55R18
ブレーキ 前/後|ディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|8.9 km/ℓ
最小回転半径|5.8 m
燃料タンク容量|60 リットル
価格(税込)|461万1,600円
ジープ フリーコール
0120-712-812(9:00-21:00、無休)