連載・藤原美智子 2015年4月|胡麻をしっかり味わって、満足感のある小食に近づける!
BEAUTY / THE EXPERTS
2015年4月28日

連載・藤原美智子 2015年4月|胡麻をしっかり味わって、満足感のある小食に近づける!

連載・藤原美智子 2015年4月|やっと憧れている“小食なひと”のスタートラインに立った!

胡麻の一粒一粒を大切に味わって、満足感のある小食に近づける

最近、フッと気づいたことがあります。それは我が家は案外、胡麻(ゴマ)の使用率が高いのではないかということです。何しろ、マーケットや直売所に行くたびに「胡麻のストックはあったかな?」と言いながら、白か黒の胡麻を買い足しているのですから。

上写真、上段・左から、「水菜サラダ」「大根、人参白ゴマサラダ」「インゲン黒ごま和え」「きゅうり白ごま」、中段・左から、「トマト 卵」「小松菜の胡麻和え」「ほうれん草の黒胡麻和え」「蒸し野菜のゴマだれソース」、下段・左から、「豆腐ハンバーグ」「豚しゃぶ」「冷やし中華ゴマだれ」「チャーハン・スープ」
※写真の料理は連載のための撮りおろしではなく、趣味で撮りためているウチご飯のなかから胡麻を使ったものをピックアップしてみました。ピントが合ってない写真もありますが、ご了承くださいませ。こうしてみると胡麻を使う料理って、やはり和風や中華が多いですね。

Photographs&Text by FUJIWARA Michiko

マクロビで出会った、陽性/陰性の食べものの特徴

胡麻を何に使っているかというと、普通に料理に使っているだけなのですが。たとえば、サラダやチャーハンの上に荒く炒った胡麻をパラパラとかけたり、和風ドレッシングや豚しゃぶ、冷やし中華などの胡麻だれに。あるいは歯ごたえをだすために豆腐ハンバーグのタネに入れたり、小松菜や春菊など葉もの野菜の胡麻和えなどなどにです。

思い起こすと、こんなふうに料理に胡麻を頻繁に使うようになったのは、10年以上前に「マクロビオティック(以下、マクロビ)」に凝ったときからかしら。マクロビでは、胡麻は陽性にも陰性にも傾いていないバランスのとれた中庸の食品と言われています。陽とは収縮していく求心的なエネルギーで、より動的なもの、より熱いもの。陰とは拡散していく遠心的なエネルギーで、より静的なもの、より冷たいもの。そして極陽性過ぎるものや極陰性すぎるものをなるべく摂らずに、中庸のものを中心に食べて身体の調和をはかることが大事とされています。

“マクロビ食”をしていたころは、こうしたバランスを考えて食事をしていましたが、現在はあまり厳密ではなく、極陽性のマグロや牛肉など身体の大きなものはなるべく控えたり、極陰性の砂糖は料理に使わないとか、なるべく地物の季節の野菜を食べる、調味料はなるべく昔ながらの製法で作られているものを選ぶといった、マクロビの超基本的なことだけを取り入れているという感じでしょうか。そして胡麻を使うことも習慣になったということです。


大好きな昆布もキウイも牡蠣も全粒粉も全部ダメ!?

もちろん一般的にも、胡麻の栄養価の高さは知られているところ。強い抗酸化作用のあるビタミンEやリノール酸、カルシウムは牛乳の約10倍含まれているし、貧血に効果のある鉄分、たんぱく質は肉や魚なみと言われています。このようなことを聞くと、「じゃー、積極的に取らなくちゃ!」と張り切ってしまうひとがいるかと思いますが、ちょっと待って! 何でも摂りすぎは禁物(胡麻の1日の摂取量はスプーン1~2杯が目安)。

私は数年前に、とある取材で「分子整合栄養学検査」という血液や尿からそのひとの足りていない栄養素や食べてはいけない食べものがわかるという検査を松倉クリニック&メディカルスパで受けたことがあるんですが、これによって、それまで食べ過ぎていた食べものをハッキリと知ることができたんです。

じつは、私は大の昆布好きで、出汁に使った昆布も鍋から出したあと、ムシャムシャと食べてしまうほど。日ごろのこうした行い(!)が、これ以上摂るとアレルギーになる可能性があるという高数値としてあらわれたんです。ほかにも「なんか最近、食べると喉がイガイガするなー」と思っていたキウイも数値が高かったし、食べると胃が痛くなっていたパイナップルも、10年ほど前に食べ過ぎて当たってしまった牡蠣も(その後、一切食べていなかったのにもかかわらず!)高数値。おまけに全粉粒のパスタ好きもキチンと高数値としてあらわれていました。

つまり「昆布も全粒粉も身体に良いものだから大丈夫でしょ?」と思うものでも、食べ過ぎは良くないということです。そういえば最近、4日以上おなじものを食べるとアレルギーになる可能性が高まるという話も聞きました。やはりホドホドが一番身体に良いということなのかもしれませんね。

“腹八分目サイクル”から脱出する対処法

というわけで、最近の私の食生活は「バランス良く」ということが基本となっているのですが、それは「いろいろな食品を万遍なく」というだけでなく、マクロビもローフードもアーユルヴェーダも(取り入れているのは白湯だけですが)加熱料理も万遍なく取り入れて調理をするということです。

そして何をどう食べるかだけでなく、この連載の2012年4月の連載にも書きましたが、どれぐらいの量を摂り入れるかということも意識しています。私は昔から「小食で満足できるひと」に憧れているのですが、そのころはまだ腹八分が普通で、時には十分目(!)まで食べちゃうことがしょっちゅうありました。それが最近は八分目も食べてしまうと身も(胃も)心もすごく疲れてしまうし、それぐらい食べてしまうと、途端に「もっと欲しい!」という欲がムクムクと湧いてくるという心の推移を客観的に見られるようになってきました。

こうした“八分目サイクル”から脱出する対処法として意識しているのは、食べる前にキチンと食べものを目で確かめて「目で味わう」こと。そして最初から少ない量(七分目)にすること。そうすると不思議と胡麻の一粒一粒を味わうかのように愛おしみながら食べるようになるし、「おいしいなー。有難いなー」という気持ちが湧いてくるんです。こうした気持ちで食べられているときは、そのひとにとっての七分目(あるいは、それ以下)になっているといって良いと思うの。“七分目食”の良さはこうした有難いと思える幸福感と、食べ終えた後の爽快感と充実感! 少ない量を味わって食べると満足感が増し、多く食べるとより欲求が増すというのは、考えると何だか変な話ですけれどね。

こんなふうに、やっと自分が憧れている“小食なひと”のスタートラインにつけた感じ(ここまで丸3年。なんというスローペースでしょ!)ですが、油断をすると暴走しちゃうときもまだ多々あるので、「胡麻の一粒一粒」を味わう気持ちを忘れないようにしたいと思っています。その前に、好きな胡麻がアレルギーのもとにならないように摂りすぎに注意しなくては!

           
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