藤原美智子|2010年3月エッセイ「朝は健康と美に効く、果物ジュースがお薦め!」
「朝は健康と美に効く、果物ジュースがお薦め!」
数年前から、朝は果物を食べるのが習慣だが、最近、思うことがあってミキサーでジュースにして飲むことにした。内臓の消化労力を助けるためである。
文=藤原美智子Photo by JAMANDFIX
“朝は果物派”にした理由
そもそも、朝食に果物を食べるようになったのは、「朝(午前4時から正午まで)は体内の老廃物を排出する時間帯なので、消化に時間がかかる食べ物をとると身体のエネルギーが消化のために浪費されて排泄までまわらなくなる」というようなことを本で読んだからだ。つまり、ごはんやパンなどをいっぱい食べてしまうと身体は朝から重労働を強いられてしまうということである。でも、果物ならたくさん食べても大丈夫ということなので、“朝は果物派”にしたのだ。
この説はひとそれぞれで「果物の果糖でも摂り過ぎはよくない」というひともいるし、「朝こそ、ご飯をしっかり食べよう!」という意見もある。でも、私はその本を読んだとき、「そうなのよね~」と自分の症状を思い起こして素直に納得したのだ。それ以前からも、朝は軽く済ませるほうだったが、たまにシッカリ食べるとぐったりと疲れてしまうし、眠くなって脳の回転がにぶくなる。旅館の朝ご飯なんて、「なんで、こんなに朝からたくさん食べなきゃいけないの!」と、腹が立ってしまうほどだ(そう思うなら食べなければいいのに、出されるとつい食べてしまう……)。おまけに、朝しっかり食べると胃に勢いがつくせいか、一日中なにかしら食べてしまうことになる。
そして、さらにジュースにして消化を助けようと思ったのは、最近、食べられる量がグッと減ってきたからだ。レストランのコース料理なんて途中からお腹いっぱいになりすぎて、泣きたくなるほどである(けっして大袈裟ではない)。それに夜、脂っこいものを食べると胃もたれがひどくて寝つきが悪くなる。その原因はただたんに、年齢的に消化能力が衰えてきたから、ということだろう。筋肉を鍛えたり身体を柔らかくしたりして衰えに対抗するなのとは違って、こればかりは逆らってもしょうがない。食べる量を減らしたり、消化の良いものを摂ったりして負担をかけないようにするしかない。
こうした消化能力の衰えは、少し前の私だったら悲しい事実になったかもしれない。が、いまはとてもウエルカムな現象である。告白すると以前の私は食べる量も多かったし、食べるのも早かった。なにしろ、お腹が空くと手足が震えてくるし、血の気がサーとひいて冷や汗が出てくる。さらに、空腹がつづくと舌先までしびれてくるような体質なのだ。だから空腹の状態でいるのは私にとっては有り得ないことだし、その状態から回避するためについたくさん、そして早く食べてしまうのだ。泊まりのロケに行くと、スタッフから「藤原さんは“お腹空いたー”か“お腹いっぱい”かどちらかしかないよね」とよくからかわれたものだ。そう、胃袋が“ちょうど良い”状態という時間があまりにも短すぎる体質なのだ。
腹7分目で満足できる自分になろう!
そんな私だが、というか、だからこそ「少量で満足できて、なおかつ、ゆったりと味わいながら食事できるひとになりたい」と憧れるのは当然のことだろう。そのチャンスがいま、我慢しなくても向こうから私に訪れてきたのだ。これを利用しないでどうする! という感じだ。その体質の変化(老化!?)を利用して私は早速、今年の目標のひとつに「腹7分目で満足できる自分になろう!」という項目を掲げたのである。
対策としては、手帖に食事内容と何分目の量かを記入するというものだ。いわゆる、最近流行りのレコーディングダイエットである。行動は意識するだけでも変化するものだし、記入することで「やったー。今日は一日、7分目の量だったぞー」などと満足感とヤル気も起きる。ただし今のところ、摂取する量をコントロールできるのは午前中と夕食だけ。昼食と5時ごろの軽食が問題で、この時間帯はまだまだ食欲は旺盛。家人からは「競ってボクとおなじ量を食べて、どうするの」「昼にあんなに食べたのに、もうお腹空いたの? 大丈夫?」と窘(たしな)められるほどである。夕食は普段の就寝時間は10時ごろなので、「もう少し食べようかな~? でも、もうすぐ寝ちゃうからいいか」と、お腹が空く前に寝るので問題はない。でも食事の理想的な摂取の時間帯というのは12時から20時までのあいだらしいから、とりあえず時間のことだけを取り上げると、ほとんど理想的と自負しているのだが……。
そうそう、肝心の朝の果物ジュースだが、内容はおなじでも個体で食べるのと液状にして飲むのとでは胃の感じが全然ちがうことがわかった。ジュースにして摂ると胃がスッキリと爽やかな感じで、気持ちがいいのだ。すぐにお腹が空くのが難点だが、その空腹感も気持ちよく感じられる。私にとっては空腹が気持ちいいなんて人生においてはじめてのことかもしれない。でも、その気持ちはまだ長くつづかないので、ジュース後の空腹時には果物を食べて空腹感を満たしている。果物しか食べない主義のひとをフルータリアンと呼ぶそうだが、私は午前中だけのフルータリアンである。
ジュースの中身は旬の果物を3種類くらいに──たとえば、リンゴ半個とキウイ1個、バナナ1本(本当は、酸味のある果物はバナナやドライフルーツと一緒に摂らないほうがいいらしいのだが、味が気に入っているので……)──、なつめやし1個・きなこ少々・レモン汁少々・豆乳適量・水適量をくわえてつくっている。豆乳や水はジュースというよりもスムージーの濃度になるくらいの量を入れている。スッキリとした甘さで、朝一番の食事にはピッタリ。おいしくて身体にも優しい果物ジュース、お薦めです!