藤原美智子|2010年2月エッセイ「ヨガ 最初の一歩を乗り超えて」
BEAUTY / THE EXPERTS
2015年2月9日

藤原美智子|2010年2月エッセイ「ヨガ 最初の一歩を乗り超えて」

―― ヨガ ―― 最初の一歩を乗り超えて」

先月の連載では、アシュタンガヨガをはじめたこと。そして、週一度のレッスンを受けるたびに、ひどい筋肉痛に悩まされているということをご報告したが、さて、その後――

文=藤原美智子Photo by Jamandfix

捻(ね)じり系のポーズが全然ダメ。捻じった瞬間にバタッと倒れてしまう

はじめたころは一度レッスンを受けただけで、腕を上げるのも座るのも大変! というほどの筋肉痛に襲われていた。やっと痛みが治まってきたかなと思うころにレッスン日が廻ってきて、また筋肉痛の一週間がはじまるという具合だった。

それが2ヵ月半を過ぎるころになって、やっと4、5日間ぐらいで治まるようになってきた。さらに、ある日、レッスンが終わった直後に、とくにひどい筋肉痛に悩まされる太ももの裏側をマッサージしてみたところ、「あれ~?」と不思議に思うほど翌日になっても全然、筋肉痛が起こらないことが判明。そうだったー! マッサージをして乳酸を溜めなければ筋肉痛は軽減されるということはマラソンで重々知っていたことなのに、どうしてそれを思いつかなかったのか……。たぶん、それまでは練習のハードさに脳もぐったりしていて思いつく余裕もなかったのだろう。

なにしろ、そのハードさは「えー、これで初心者クラス~!?」と、レッスン初日に驚いたほど。インストラクターは軽々となんの苦もなくやって見せてくれるのだが、見るとやるのとでは大ちがい。“太陽礼拝”のポーズを一回しただけで息はゼーゼー。「深く、ゆっくりとした呼吸をして」と言われても、そんなの無理。つい「ハッ、ハッ」と、浅く速い呼吸になってしまう。またはストレッチを10年間つづけていたおかげで前屈系のポーズはなんとかできるのだが、捻じり系のポーズが全然ダメ。捻じった瞬間にバタッと倒れてしまう。足の指を曲げるポーズなんか、自分で笑ってしまうほどできない。どうして、皆が普通にできるのか不思議に思うほどだ。「へぇー、ここがこんなにも固かったんだ」とか、「腕の筋肉がないんだなー」「左右の脚の力に、こんなにも差があったんだ!」などと、いままで気がつかなった自分の弱点をハッキリと思い知った。それが私のアシュタンガヨガの第一歩であった。

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「継続は力なり」とは、ホントに言い得ている言葉

それでもヨガをはじめて3ヵ月過ぎたいまは、不格好ながらも捻じり系のポーズも少しは形になってきた。“太陽礼拝”のポーズも以前ほど息が上がらなくなってきた。ちょっとずつ、できるポーズも増えてきた。ハッキリと自覚できる変化は、週2回ぐらいは自宅でも練習をすることができるようになってきたことだろうか。なにしろ、それまでは「これ以上、筋肉痛がひどくなると、仕事に支障がきたすんじゃないか」と怖くて、練習なんてできなかったのだから。そして最近、なんとかレッスンについていけるようになってきたのと並行して炭水化物の摂取量が増えてきた。これはマラソンをはじめた3ヵ月ころとおなじ現象だ。それだけあらたな筋肉が付いてきて、さらなるエネルギー源を欲しているということなのだろう。もちろん、それもある時期には自然に収まるということも経験済みである。また、いつも練習後に起きていた異常な眠気が少し和らいできた。いまのところ、どれもマラソンとおなじような成長(?)経過を辿っているようである。

それにしても、やっぱり、まずは最初の“3ヵ月”というのがミソなんだなーと、つくづくと思う。この期間というのは「わからない」「できない」「辛い」の3重苦だけ。「楽しい」「うれしい」「スッキリ」の3重楽(?)は味わえない。だから、最初の挫折というのは、この期間に集中するのだろう。自分がこの第一関門を突破できたのはマラソンを体験したことで、3ヵ月間ほどつづけていれば辛いだけの3重苦からはとりあえず解放されるという法則を知っていたからだ。「継続は力なり」とは、ホントに言い得ている言葉なのである。

先生から「身体つきが変わってきた」と言われるようになってきた

さて、次に挫折するとしたら、ちょっと慣れてくるであろう半年後あたりだろうか。私の対策としては、そのころに上のクラスに移行して、新たなムチを自分に与えるというものである。上手なひとたちを見ると「あー、自分はまだまだだ。がんばろう!」とヤル気も出てくるだろうし、そんなひとたちのなかでやると、自分も引きずられてできなかったこともできたりすることもある。できなかったことができるようになる――。それこそが一番のモチベーションとなるだろう。

体型の変化もモチベーション維持に期待できるだろう。ヨガを長くしているひとの身体つきは見ただけでわかる。なんというか、しなやかで無駄な肉が付いていないだけでなく、身体の軸が定まっているせいか“シャン”としているのだ。まだ3ヵ月ちょっとの私でも最近、先生から「身体つきが変わってきた」と言われるようになってきた。どう変わってきたのかは自覚できないが、自分で認識できる身体の変化としては練習中、ズーッとお腹をへこませて丹田のあたりを意識しながら呼吸するせいか、お腹まわりがスッキリとしてきたことだ。とは言っても、2、3日するとまたポヨヨ~ンともどってしまうのだが。でも続けているうちには、内臓が内側にキチンと収まったような腹部になるだろうし、捻じり系のポーズによってウエスト部分もスッキリする……にちがいない!

それにしても、“15年は初心者”と言われるヨガの世界。奥が深いんだろうなーと想像するが、まだ、その奥深さも想像すらできない……。その日が来ることを夢見て、練習に励むしかない! かな~。

           
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