連載・藤原美智子 2012年12月|美容に効く“かっさ”で、初心に帰る
BEAUTY / THE EXPERTS
2015年2月2日

連載・藤原美智子 2012年12月|美容に効く“かっさ”で、初心に帰る

2012年12月|リフトアップするし、むくみが取れてスッキリとするし、肌に透明感もでる!

「“かっさ”で、初心に帰る」

上の写真を見て「なに、これ?」というひとも、「あら、私も使っているわ」というひともいるのではないかしら。これは“かっさ”という中国に伝わる民間療法をするときに使う道具。天然石や陶器、水牛の角などの素材で作られていて、かどがなく、大小の山のある独特な形をしている板状のヘラである。これを使って顔や身体の経絡の流れを意識しながらマッサージして、老廃物を促したり体調を整えたりする療法を“かっさ”というのだが、「美容に効く!」と巷で人気が高まっているのである。

Photographs&Text by FUJIWARA Michiko

YouTubeを見て、“目からウロコ”の実践法が満載!

私がこれを知ったのは、つい最近のこと。しかも全然“かっさ”とは関係のない、ある整体師(と呼んでいいのかどうか。ちなみに杉本錬堂さんという方です)の方のYouTubeを偶然に見たことから。そのひとの身体理論というのがとてもわかりやすくシンプルで、たとえば、膝から踝(くるぶし)のあいだの骨際の筋肉が硬いと、腰も硬くなる。だから骨際を爪を立てて筋肉を引き離すくらい強くマッサージする。あるいは、喉のあたりが硬いのは鎖骨の下あたりが硬いからだし、それは大腸と小腸の働きが悪いため。そうすると後頭部の両側も硬くなる。だから後頭部を爪を立てて強く揉みほぐすと、結果、鎖骨や喉のあたりも柔らかくなり、首も後ろに反らしやすくなるなどなど。その動画は「へぇー、なるほど~!」と“目からウロコ”の実践法が満載だった。

思い起こすと、身体の歪みを正すことに目覚めた12年前は、ストレッチしようにも身体が硬過ぎてままならず、とりあえず一日3時間もかけて身体中の筋肉を一生懸命に揉んでいたっけ(2009年6月の連載には“ストレッチした”と書いてあるけど、当初は、そんなの全然できなくて揉んでいたのが実情)。そんなことを懐かしく思い出しながら動画のとおりに揉みほぐしてみると、「あら、ほんと! ここを揉んだら、このヨガのポーズがしやすくなった!」とか「ここを揉むと、ここが柔らかくなるのかー」などと笑っちゃうくらい、整体師のひとの言うとおりの結果になる。でも「ここが硬い場合は、ここを揉む」など、いちいち覚えきれないし面倒だな……。そこで、「とにかく身体中の硬いところや痛いところを揉みほぐせば、どこかには効くということよね!」と大雑把な自流に変えて、全身を揉んでいたら指が痛くなってきた。なにしろ、私のコリは身体中のあちこちに点在しているし、半端ない硬さなのだ。手だけでコリをほぐすには限界がある。「なんか、いい方法がないかな~」と思いながらYouTubeサーフィン(こういう言葉があるのかどうか?)した結果、“かっさ”を紹介している動画に辿り着いたというわけである。そして「これを使えば指は痛くならないし、もっと効くかも!」とピンときた。

“かっさ”に人気が出る理由がわかった!

さっそく、かっさ板を手に入れて揉みほぐしてみると──。これが大正解! 面白いほど凝っている部分が小気味よくゴリゴリと音を立ててほぐれていくし、手も疲れない。それに、より細やかに的確に筋肉のコリをほぐすことができる。私の場合、身体だけではなく顔にも硬くなっている箇所はたくさんある。まずは凝っている部分を、その箇所に合った“かっさ板”の山を使ってよく揉みほぐす。注意は、その部分だけを揉みほぐすようにグリグリすること。つまり肌をこすったり引っ張ったりしないこと。その後、力を入れずに肌の上を滑らせるように筋肉やリンパの流れに沿ってクルクルと軽くマッサージをしながら、老廃物をリンパのごみ箱といわれている首の付け根に流す。こうするとリフトアップするし、むくみが取れてスッキリとするし、肌に透明感もでる。こんなふうに簡単に効果が出るのだから、“かっさ”に人気が出るのも当然だろう。

ところで主に私がしている“かっさ”タイムは、お風呂に入っているとき。かっさ板が濡れていると滑りが良くなるので、肌に負担がかからずスムーズにできるからだ。ゴリゴリと音がするほど硬いのは私の場合は眉間や眉の上、頬骨の下、噛み合わせのあたり、顎先、耳の付け根。身体は足の指の付け根や踝、足首、膝の裏、脛、太ももの外側と内側、仙骨。そして首筋、肩、鎖骨の下、首や頭の付け根、腕、肘の少し上など、たっくさん! でも、頭部やウエスト部分は2012年7月の連載で紹介した洗浄マッサージ器を使ったほうが気持ち良いし簡単なので、こちらを使用してコリをほぐしたりマッサージしたりしている(気持ち良さにおいては、こっちに軍杯が上がるかな)。また首や手足の末端部分は濡れていなくてもマッサージしやすいので、テレビを見ているときとかパソコンに向かっているとき、あるいいはちょっとした空き時間にも“かっさ”している。

新年の目標が決定! 皆さまもよいお年をお迎えください

それにしても今年はローフードにはじまって、ローフードで終わると思っていたら(先月の連載で掲載)、最後の最後に“筋肉・揉みほぐし”がきた。これは上記にも書いたように、12年前から自分の身体の解放のために実行してきたことのひとつ。そのために自分でやるだけでなく、いろいろな治療院の門もくぐってきた。今年の春からは、深層筋ケアを推奨している「リニューイング・セラピー」の中辻先生のところに通って、深部の硬い筋肉を緩めてもらっている。そのお陰で、一枚岩のようだった身体の硬さが小石ぐらいにばらけてきた。その“小石”の隙間に“かっさ板”が入り込んで、ゴリゴリという筋肉が動く音がしている感じだ。以前の硬さのままだったら、まず音がするようになるまでだけでも時間がかかったにちがいない。ちょうどいいタイミングで出合えた“かっさ”と言えるだろう。

そんなことを考えていたら、もうすぐやってくる新年の目標が浮かんだ。“初心に帰る”である。その初心とは、12年前に自分の目標にした「身体をゆるませて、心もゆるませる」こと。でも最近は、そこに気持ちが集中していなかったかもしれない。ヨガやストレッチを週何回したかとか、数字の方を重視していたように思う。回数や時間ではなく、どれだけ集中して向き合ったか。そうした過程のほうが大事だし、そのほうが結果というのはついてくるものだ。もう一度、初心に帰って、物事に真摯に向き合おう! よしっ、新年の目標は決まった!!

今年も読んでくださって、ありがとうございました。あたらしい年も皆さまにとって、よい年でありますように!

           
Photo Gallery