連載|藤原美智子|去年、成し遂げたこと。今年、やり遂げたいこと
「去年、成し遂げたこと。今年、やり遂げたいこと」 (1)
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします!
文・写真=藤原美智子
三日坊主を返上できるポイントは?
さて、昨年の1月のこのエッセイの内容を覚えてくれているひとはいるだろうか。それは「今年(去年)は三日坊主の性格を返上して、コツコツと継続できる自分になる!」という一年の目標について触れたもの。結果報告をすると目標は無事、クリア! なにを継続したかというとストレッチ、ランニング、語学の勉強、そしてあたらしくはじめたアシュタンガヨガである。とにかく進歩の度合いよりも“つづける”ことに重点を置いた結果、目標を達成できたというわけである。
どんなふうに実行したかというと、それぞれ週に何回やるかを決めて、それを手帳に書き出し、実行したらチェックマークをつけるという方法だ。別にどうということもないと思うひともいるかもしれないが、私にとってはこれこそが三日坊主を返上できるドンピシャな方法となったのである。
この方法にはポイントがある。まず、それぞれの回数を決めるのだが、簡単に達成できるのでは駄目。かといって現実離れした理想論ではつづけられなくなるのは目に見えているので、もちろん駄目。ちょっと頑張れば達成できるという回数にすること。言い変えると、少し頑張らないと達成できない回数にするということである。すると、どうなるかというと、達成感を得られるのだ。楽しさやよろこびを味わえるのだ。それが得られるからつづけようという気になるし、味わいたいがために頑張れるのだ。だから「偉いな~、自分!」と褒めたくなるように、少しだけ自分を追い込むぐらいの回数に設定するのが重要なポイントというわけなのである。
もちろん適切な回数はひとそれぞれだろうが、私の場合はこんな感じ。ストレッチや語学は週4回で、ランニングは2回。ヨガ教室に通うのは週1回で、自宅での練習は4回。本当はもっと細分化しているのだが、わかりにくくなるのでこれくらいで省略。そして語学とヨガは回数だけでなく、いつまでに、どこまでできるようにするのかも年初めに目標を立てた。たとえばヨガだったら、1月から3月までにこのポーズができるように練習する。6月までにはプラス、このポーズもというように具体的に進み具合を決めて、手帳に書き出した。語学も同様にして回数と進度を決めたのだが、この具体的な目標を掲げたこともつづけられた大きな要因となった。一週間に何回といった目先の目標と、1ヵ月あるいは数ヵ月先にはここまでというように具体的な目標を定めたことで長期間、ヤル気と集中力が保てたというわけである。
私はいままで、こんなふうに綿密に長期的に物事を計画的に立てたことはない。だから私の思考回路にあたらしい風が吹いているようでとても楽しい。なにしろ、私の性格を表すキーワードは“直感・突発・無計画”と言っても過言ではない。そのおかげで物事に対して凄い集中力で取り組めるのだが、その勢いは数ヵ月後まで。徐々に気が緩み出し、そのうち「まっ、いいか~」と止めるということの繰り返しをしてきたのだ。語学の勉強が、その最たる例だろうか。何年も、いや何十年も「今年こそは!」と勇んで年はじめから勉強をはじめるのだが、その意気込みは春ぐらいで薄れてきてなし崩しとなるのが常だったのである。
「去年、成し遂げたこと。今年、やり遂げたいこと」 (2)
今年の目標は「継続を、より深める」
ところで、それぞれの最終的な目標はなにかというと、語学にかんしてはそれを使ってなにかをしようというものはない。ただただ、いままで何度トライしてもつづけることができなかったという事実を返上したいという想いからであり、「忙しいから」「時間がないから」と言いわけする自分が嫌になったからだ。しいて挙げるとしたら、それを返上して自分で自分に信頼を取りもどすのが目標といえるだろうか。
唯一、10年以上つづいているストレッチは、もともとが硬い身体の私には必要なものだからであり、2年目のランニングはせっかく走れる身体になったのだからと目標にリストアップした。そして、どちらも練習の間隔を空けてしまうと、そのあとが痛いし辛いし大変。だから、ちゃんと定期的にやろうということでキチンと回数を決めたというわけである。
ヨガは“もし極められたら、自分はどんな考え方をする人間になるんだろう”という興味と、それを体験してみたいという願望からである。しかし、そうした達人の域になるには相当な時間がかかることは、去年一年間で十二分に身をもって知った。達人レベルが1メートルの尺だとしたら、私が去年で進歩できたのは0.01ミリぐらいだろうか。極めるためには、途方もない時間がかかりそうである。
そんな進歩ではあるが、自分を褒めたいこともあった。それは左手の親指を縫う怪我をしたり左鎖骨を痛めたりして、しばらく練習を中断せざるを得ない状況が2度あったのにもかかわらず、無事乗り越えてつづけられたことだ。なにしろ、こうした予期せぬことで継続の糸がプチッと切れたあとがあぶない。あいだが空いてしまうと教室に行くのが億劫になり、いつの間にか辞めてしまったということを私は過去、何度も体験しているのだから。そのときに「エイッ!」と気持ちを奮い立たせてくれるものが必要なのだが、そうした対処にも自分の目標達成のための設定が大いに役立ち無事、復活できたというわけである。そして、それは自分の大きな自信となった。
さて、今年の目標は「継続を、より深める」というものだ。つまり去年つづけた事柄を今年も継承して、より進歩・成長させるということである。去年はつづけることでいっぱいいっぱいだったが、いまは「遠い将来でもいいから、これらの達人になれたらいいなー」という欲と願望が出てきた。仕事以外にも「これが得意です」と自信をもって言えるものがあるひとになりたい、という長年の願望を達成したいとやっと本気で思えるようになったのだ。これも去年一年間つづけることで得ることができた、自信のあらわれといえるだろう。果たして来年のいまごろは、どんな結果報告をしているんだろう。楽しみのような、「どうかな~」というような……。いやいや、自分を信頼しなくてどうする! 計画を楽しみながら頑張ろう、っと!