藤原美智子|2010年1月エッセイ「目標は“創意工夫”で乗り切る!」
「目標は“創意工夫”で乗り切る!」
明けましておめでとうございます!
新しい年を迎えて、きっと、多くのひとが今年の目標や誓いを立てたのではないかしら。もちろん、私もそのひとり。といっても、私が目標を立てるのはいつも前の年の暮れ。そして大整理整頓したあと、というのが恒例。
写真・文=藤原美智子
“継続”すると、“成長”するという法則
本の一冊一冊から書類や雑誌などの切り抜きの一枚一枚、机の中の文房具のひとつひとつ。または食器やお箸の類、洋服や靴はもとより下着一枚にいたるまで「これは要る、要らない」と仕分けして整理する。だから“大”がつくのである。これだけ整理すると家のなかがスッキリと片づくのはもちろん、頭の中もクリアになる。自分の思考がどこに向かっているのか、なにを自分に求めているのか、どうしたいと思っているのかがハッキリとする。これこそが私の大整理の目的であり、それが次の年の目標になるというわけである。
さて、こうした仕分け作業(!)の結果、私の今年の目標は“コツコツと継続”というものとなった。また、これは昨年、マラソンレースに挑戦しているうちに生まれてきたものでもある。なにしろ、“走る”という行為は急には上達しない。日々、少しずつ練習して積み上げていかなければ、速くも長くも走れるようにはならない。でも時間や距離という数字にハッキリと表れるからこそ、モチベーションも上がる。そして練習して努力した分だけ成長できる(ある程度までは、と思うのだが)というのがマラソンなのだ。
そんな“継続”すると、“成長”するという法則を身体で知りはじめ、走ることが楽しくなってきたころ、私は自分の“三日坊主”体質を打破するコツがなんとなくわかってきた。それは、「感情を主役にしない」ということだ。つまり、「今日は疲れているから、やらなくてもいいか」などと、怠けるための言い訳がどんなに湧いてきても、そうした感情に耳を傾けない、振り回されない、左右されない。感情に蓋をするというよりも、それを客観的に眺めながら「やると決めたから、ただやるだけ」とこころをフラットに保つ。そんな感じをつかめてきたのだ。そして、もうひとつ。モチベーションを保つために創意工夫するということ。たとえば、走ることは走行距離やラップタイムを計れる時計を購入したことによって、より楽しくなったし、「もっと走ろう!」というやる気につなげることができた。ただ努力するだけではつづかない。やる気を起こさせるように工夫すればいいんだ! と、私はあらためて気づいたというわけである。
自分の三日坊主体質が封印できるか
ところで、私の性格というのは(習性といえばいいだろうか)「あっ、おもしそう!」と思うと、すぐに夢中になって集中してやるが、ある程度できるようになると(でも、本当はできていないのだが)、いつの間にかやめてしまうというもの。これは子どものころからのものであり、悩みのタネであった。が、ある時に逆転の発想が閃いた(開き直ったともいえるだろう)。「まっ、いいか。こんな性格だからこそ、いろんなことが体験できるんだもん!」と。若いときにいろいろなことを経験するという意味では、それはそれで良かったと思っている。でも、去年の年末に整理整頓しているときにフッと思ったのだ。「本当に自分がやってみたかったことを絞って、ひとつでもいいから、ちゃんとできるようになりたい……。そろそろ、そんな時期かもしれない」と。
そのときに、あることを思いだした。あれは17年くらい前だろうか。ヨガに興味をもって、個人で教えてくれる先生に習いに行っていたことがあった。が、あまりにも身体が固かったので練習にはならず、結局、先生にマッサージしてもらって終わり、という日々があったことを。もちろん、そのヨガもいつの間にかやめてしまったっけ……。「そうだ! ストレッチを10年つづけてきて身体の歪みもだいぶ緩和してきたし、柔らかくなってきたいまならできるかも――」。そう思いついたのも、走ることで継続するコツや自信がついてきたからこそ、なのだろう。
というわけで私はいま、ヨガのなかでもハードであり、休みなくポーズを連続しておこなうさまが美しい「アシュタンガヨガ」を習いに行きはじめたばかり。まだ、一回教室に行くと何日間もひどい筋肉痛に悩まされるし、ポーズも不格好にしかできないが、きっとつづけていくうちには少しずつでも自分なりにできるようになっていく、と確信している。なにしろ、その過程は“走る”ことで体験しているのだから。ただ、走りはじめたときは何月何日のレースに向けて、という具体的な目標があったからつづけられたし頑張る気持ちにもなれたが、ヨガのそれは「身も心も、しなやかな強さを身につける」とか「身も心も、軽やかで自由な自分」とか、ほかにもあるが、どれも抽象的なことばかり。これでは、習いはじめのただただ辛い時期を乗り切ることができない。だから当面は、「こんな、難しいポーズができるようになったら格好良いなー」ということを目標とモチベーションを保つ方法にすることにしてみた。そして週一回は教室に通うこと(これが一番の難関!)、ということも自分に課してみることにした。
さて、これで自分の三日坊主体質が封印できるか、そして今年の目標である“コツコツと継続”がどこまで達成できるか。自分でも興味があるし、楽しみでもある。もちろん、“コツコツと継続”にはランニングも入っていて、いまも週2日程度だが定期的に走っている。いつかはフルマラソンを体験してみたいという目標もあるからなのだが、それよりも「せっかく走れる身体になったんだもの。つづけないともとにもどってしまう」という“もったいない精神”が自分のなかでは強く働いているようだ。なにがモチベーションを保つためのタネになるかわからないものである。あっ、こんなふうに公表してしまうと、やらざるを得ないし、ね!!