麗しの名品図鑑|vol. 2 メイクを落としたら、肌が以前より綺麗になるシュウ ウエムラのオイル
shu uemura|シュウ ウエムラ
vol.2 アルティム8∞ スブリム ビューティ クレンジング オイル
“早すぎる人”がいる。着眼点が鋭く、見通せてしまう人。美容界において、植村秀とはまさにそういう人だったと思う。だから彼の美容界におけるパイオニア伝説は枚挙にいとまがない。たとえば1983年、表参道にオープンした「シュウ ウエムラ ビューティ ブティック」は、訪れた女性たちが製品すべてを自由に試せるオープンテスター形式を導入した初の店舗といわれる。
「モードは掟を破る権利がある」「伝統とは、革新の連続である」と語り(彼の名言もまた数知れない)、メイクアップにモードのエッセンスを融合することや、自然の力を化粧品に応用することの大切さにいち早く気づいた人。その表現すべてが「世界中の女性を美しくしたい」という純粋な気持ちから生まれていたというから敬服してしまう。
なかでも、美しい素肌をキャンバスと捉えて“洗顔の大切さ”を説き、W洗顔不要のクレンジング オイルという概念を日本に持ち込んだ功績は大きいだろう。植村秀は、そのキャリアをハリウッドのメイクアップアーティストとしてスタートさせた。
ときは1950年代、ハリウッドの俳優たちは日に何度もハードなメイクを落とす必要があり、現場では決まってクレンジング オイルが使われていたという。メイクが簡単に落ちるだけでなく、使うたびに女優たちの肌が美しくなっていく現象を目の当たりにした植村は、日本の女性たちにもこの存在を知らせたいと思った。そうして1967年、シュウ ウエムラ最初の製品である「アンマスク」が誕生した。
今でこそ、オイルでの洗顔は当たり前、オイル美容も当たり前。オイルを肌につけることに抵抗をおぼえる人のほうが少ないはず。しかし当時は、油といえば連想されるのは“天ぷら油”。こんなもので顔を洗えというの? という反応が一般的だったというから、受け入れてもらうのがいかに難しいことであったか。しかし機能性に惚れ込んだ美容のプロたちを発端に、時間をかけて次第にその価値は広まっていった。
肌には、自ら潤う機能がある。外的環境からガードする機能もある。しかし、自ら汚れを落とすことはできない。だから「メイクアップは洗顔に始まり、洗顔で終わる」と植村秀は語った。これはそのまま、今日まで続くシュウ ウエムラのブランド哲学の礎となっている。それだけに、この半世紀をかけてクレンジング オイルはブランドのなかで何度も刷新され、より時代性に合ったベネフィットを兼ね備えてきた。現在は6種のラインナップを取り揃える。
その最高峰ともいえるのが、昨年リニューアルを果たしたアルティム8∞ スブリム ビューティ クレンジング オイル。カシミヤのようなテクスチャーが肌を感覚から喜ばせ、ウォータープルーフのポイントメイクも難なく落とし、8種の植物オイルが素肌を潤いで満たしていく。
クレンジング オイルで肌を浄化すると、まっさらな自分に戻る。新しいスタートラインに立つ。ここから、どこへでも行けるという気になる。そうして、植村秀が語った以下の言葉を思い出す。肌とは、人生そのものと同義なのかもしれない。
自由に考えましょう
ともかく洗うことでしょう
洗っていらないものや汚れを取り除くと、
必要なものが入っていきます。
肌は生きているものなので、
愛情をそそいでいけば、
きっといい肌に変わってくれます。
そして
AYANA|アヤナ
ビューティライター。化粧品メーカーでの企画開発職を経験後、独立。美のために生み出されたモノや美に携わる人々について、言語化するのが主な仕事。女性たちが自分自身や世界を美しく捉えなおす、そのきっかけづくりをお手伝いしています。
Instagram:tw0lipswithfang
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