藤原美智子× 永富千晴| 「美を追求しつづけるトップランナー“藤原美智子”の生き方」(前編)
メイクアップ・アーティスト 藤原美智子さんを迎えて
藤原美智子×永富千晴 対談(前編)
「美を追求しつづけるトップランナー“藤原美智子”の生き方」(1)
連載 第2回目を迎えた「永富千晴のビューティ・クローズアップ」では、メイクアップ・アーティストの藤原美智子さんをお迎えしました。ご存知のとおり、藤原さんは「美しくなりたい」という女性の理想をスタイリッシュに実践して、私たちに伝授してくれる美のカリスマです。そしてその生き方に憧れている女性も多いのではないでしょうか。そこで、前編では、人生&美の哲学をたっぷりおうかがいします。そして後編では、秋のトレンドメイクとそのポイントについて、プロの視点から語っていただきます。“藤原美智子スタイル”に欠かせない美しさへのパスポートとは?
文=オウプナーズ
写真=原恵美子
欠点はなおらない、だから長所で補う
永富 小さいころってどんなお子さんだったのですか?
藤原 直感型、いまもそう、人生直感です(笑)! 計画を立てたりとか、じっくり考えたりとかができない性格というのもあるのでしょうけど。
永富 直感型で生きていこうと決めたエピソードなどあれば教えてください。
藤原 たとえば、小学生の夏休みに兄と毎朝マラソンをする計画を立てたんですけど、ある日の朝、なぜか走りに行きたくなくて、でも結局は兄に連れられて走ったんです。そうしたら、なぜか何度も何度も靴紐が解けて、結局、帰り道にいまだに跡が残るようなけがをしてしまったの。私、直感を無視してなにかをすると必ず脚に大けがをするんです。それと、「計画を立てたりとか、じっくり考えたりとかができない性格」というは、20代のころ、それがコンプレックスだったんです。けどあるとき、“欠点はなおらない、それは仕方ないこと”と、自分のありのままを受け入れようと思ったの。そうしたらね、すごく気持ちが楽になって、自分らしさをのばす、いいきっかけになった。
永富 欠点をなおそうともがくと、“あ~自分ってなんてダメな人間なんだ……”とさらに落ち込むことが多いので、今日、この話を聞けただけですっきりしてきました。欠点ばかりに目をむけていると、結局長所が何なのかもをわからなくなってしまうし。
藤原 そう。それよりも欠点を補ってくれるような何かをみつけて、くっつければいいと思うんです。たとえば、私はすごく集中力があると自分では思っているのだけど、飽きっぽい。原稿を3つ抱えていたとしたら、私の場合はAを30分つづけて、疲れたら掃除したりご飯を食べたりして、つぎにBを10分してまた何か別のことをして、つぎにCを15分する。それを交互にやっていくのね。ようは、飽きっぽいという欠点を集中力で補う。長所と短所を上手に組み合わせればいいと思うの。
メイクアップ・アーティストの藤原美智子さんをお迎えして
藤原美智子×永富千晴 対談(前編)
「美を追求しつづけるトップランナー“藤原美智子”の生き方」 (2)
永富 ランニングもその流れではじめたのですか?
藤原 ランニングは去年からなんですけど、骨盤が随分整ってきたから、このからだを使って何かしたいと思ったのね。でも、何をしたらいいのか分からなくて。そんなときにニューヨーク・ハーフマラソンの企画をいただいたんですよ。“うん、これだ!”って。これも直感。それでランニングをはじめたら、今度はつづけるコツが分かった。
永富 飽きっぽい藤原さんが!
藤原 そう。自分なりにモチベーションを保つ方法っていうのかな、工夫してやっていけばつづくということが分かって。それで、今度はつづける自信がついたから、去年の年末にずっとやりたかったアシュタンガヨガもはじめました。こんどは“使える体からだ”になりたいなと思って。
永富 いまでも十分すぎるほど、無駄のない身体なのに! 今日の装い、全身をお見せできないのが残念なくらいですが、きゅーっと引き締まった無駄のない脚を拝見して、“こういう脚の持ち主だからこそ、サンダルもジーンズも似合う!”と。それに、多分、私だったら、努力して努力して、それでも怠けて目標に到達できず……の繰り返しになりそうなのに、藤原さんって“努力してます”というよりも“楽しんでいます”というオーラでキラキラしていらっしゃる。それにしても、アクティブですねー!
藤原 昔から腰は軽いのよ(笑)。「あ、これおもしろそう」と思うとすぐにはじめるんです。でも長つづきしなくて、長つづきしたのは仕事くらいってよく言っていたんですけど。今回は、だんだん歳も重ねてきて、そろそろ「これをやりたい」ってものをなにか絞って突き詰めてモノにしたいなっていう気持ちが湧いてきたことが大きなきっかけです。私、軽やかな自分になりたくて。そのための具体的な方法がヨガだったんです。
永富 “軽やか”ってどういうことですか?
藤原 あくまでもイメージなのだけど、からだつきも軽やか、動作も軽やか、心も軽やか。ようは、ドテーっとしているカラダとか思考は嫌だな、と。考え方ってからだつきにもあらわれてくると思うので、私は無駄なものもなく、しなやかで、軽やかな自分になりたい。
メイクアップ・アーティストの藤原美智子さんをお迎えして
藤原美智子×永富千晴 対談(前編)
「美を追求しつづけるトップランナー“藤原美智子”の生き方」 (3)
藤原 そう。人生は意識している方向にしか行かないんだって思った。このあいだオウプナーズの連載でも書いたけど、人生って意外にシンプルなんじゃないかなー。
永富 すてきな方のお話をうかがうと、本当にそういうものなんだな、と思います。ところで、どうしてもうかがいたいんですが、結婚生活はいかがですか?
藤原 楽しい。なんか合宿生活みたい(笑)。ほら、大人婚だから妻の役、母の役とかなくて、同志みたい。すごくラク。
永富 結婚したいなとは思っていらっしゃったんですか?
藤原 ううん。まったく(笑)。でも出会う少し前に、そろそろ私も日常生活も楽しんでもいいころかも、生活を一緒に楽しめるひとがいるといいなーって思いはじめたの。もちろん自分の意思で仕事中心の忙しい生活を送っていたんだけど。そしたら翌年出会ったのね。もともと顔見知りではあったのだけどしゃべったこともないし好みでもなかったし(笑)! まぁ、向こうもそう思っていたみたいなんですけどね(笑)。でも、ごく自然に結婚することに。だからやっぱり無意識ってこわいなって思う。
永富 無意識、というか、呼び寄せの術な気がします。だって、失礼かもしれませんが、藤原さんって「コレ!」と思ったことが「待ってました!」といわんばかりに、あちらからくる感じがするんです。「あら、きちゃった、てへっ」という感じも、すごくチャーミング。そのうえ、無意識だし、迷いがないし、無理矢理感も変な計算もない。だから、もっともっと「これもどうぞ、あれもどうぞ!」となりたくなる感じがします。それで藤原さんから目が離せなくなるのだと思うんですけど、みなさんはどうですか? では最後に質問なのですが、藤原さんにとっての“美の三種の神器ってなんでしょうか? これ、絶対聞いてほしい、とうちのメンバーさんに言われていまして……。
藤原 諦めない、面倒くさがらない、自分を楽しむ。その気持ちが手を動かすし、物を選ぶと思うし、美に繋がると思う。
永富 メモメモ。みなさーん聞きましたよー。ありがとうございました! 後編では、秋冬のメイクアップについてうかがいたいと思います。