小林ひろ美|2009年秋冬ビューティトレンド(2)「ミッドナイトエステ用コスメ編」
小林ひろ美の2009年秋冬ビューティトレンド(2)ミッドナイトエステ用コスメ編
「寝ているあいだのケアが美肌をつくる」
オウプナーズBEAUTY恒例、ビューティディレクター・小林ひろ美さんに聞くビューティトレンド。2009年秋冬の 第2弾は「ミッドナイトエステ用コスメ」です。
まとめ=染谷晴美写真=高田みづほ
“寝ている時間”をどう活用するかで、肌のきれい度が変わってくる
この秋はエイジングケアコスメが各社からたくさん出ていますが、そのなかでもとくに目を引くのがミッドナイト用のクリームや美容液。
夜間は肌の新陳代謝が活発になる時間。いわゆる シンデレラタイム というやつですね(笑)。
日中はつねに、紫外線や大気汚染、乾燥など外的環境との戦いで、防御するいっぽうだった肌が、寝ているあいだはせわしなく細胞の再生をはじめます。さらに、睡眠中は血液の流れもよくなることで、肌にもじゅうぶんに栄養がゆきわたる。つまり、代謝活動が活発な夜の肌は、スキンケアの効果をとても受け入れやすい状態にあるというわけです。
となれば、寝ているあいだの6時間だったり7時間だったりを放っておくはもったいない。私たちは平均すると、1日の3分の1くらいは寝ているわけですから、その時間をどう活用するかで、肌のきれい度、すこやか度が変わってくる。これは私の美容術のなかにも入ってくるのですが、毎日とる睡眠、だったら“眠り時間できれいになりましょう”と。名付けて、ミッドナイトエステです。
これまでも、ナイトクリームなど夜用アイテムはいろいろありましたが、ひとの成長ホルモンがいちばん分泌されているときに、どういうアプローチを仕掛けるかという、いままであまり考えなかったような、ただのナイトクリームではない、21世紀型の夜用コスメが各ブランドから出ていますね。
からだのなかからおだやかに働きかける、飲むコスメ
アユーラのウェルバランス シリーズは、まさしくミッドナイト、“睡眠”に着目しています。「たっぷりの睡眠が美肌をつくる。であれば、心もおだやかに眠りについたほうが、きっと細胞の活性にもよいにちがいない」という考えのもと生まれたのが、肌のゆらぎを整える美白化粧液や、上質な睡眠へと誘う香りで肌と心を解きほぐす保湿クリームなど、夜ケアに特化したアイテムたち。
なかでも私がとくにお気に入りなのは、「ウェルバランス ナイトリートサプリ」。
これは、睡眠中の代謝のリズムに着目したサプリメントで、上質な眠りに誘いながら、睡眠中に体内の“水”のめぐりを整えてくれるというもの。睡眠効果をもたらすミルクペプチドが入っているので、これをひとつ飲むと、ちょうどホットミルクを飲んだような感じになってリラックスできます。もちろん美容成分もたっぷりだから、質のよい睡眠との相乗効果で翌朝は、お肌も目覚めもすっきり! お薦めです。
ポーラの美容ドリンク「ビューティアップ 美トロア」も、睡眠の質を意識してつくられた商品。ベルガモットの香りとGABAで、おやすみ前の時間も心地よくサポートしながら、コラーゲンをはじめとする7種のビューティアップ成分が、翌朝のきれいを目覚めさせてくれます。
エストの「リフトサポートマルチエフェクター」は、厳選のハリ付与成分が肌の角層まで浸透して、顔全体にイキイキとしたハリや弾力感をあたえてくれるハリ対策美容液です。夜ケア用というわけではありませんが、真皮に働きかける力強いアイテムなので、代謝が活発になる夜にこそ使いたい。ジェルベースで軽やかな使用感です。
睡眠中の肌細胞に働きかける、遺伝子系コスメ
ディオール カプチュールXPの夜用アイテム「カプチュール XP ナイトコレクター セラム/クリーム」は、最新の“ステソーム ナイト”処方で、睡眠中の肌機能にアプローチするというもの。東洋美容のアユーラと比べると、こちらはもっとサイエントっぽい、いわゆるハイテク系になってくるんですけど、寝ているあいだに、新しい細胞を生みだす“母細胞”を活性化させるという考え方は、とても説得力がありますね。
シャネルの「エクストレム コレクシオン ファーミング ニュイ クリーム」は、肌のたるみにアプローチするエクストレム コレクシオン シリーズの夜用クリームです。同シリーズは、肌細胞の弾力を維持するためのタンパク質“テンシン”に着目。年齢とともに減少するテンシンの生成を再活性化させる独自成分“エレミ PFA”を、全品に配合しています。
つづいて、エスティ ローダーの「アドバンス ナイト リぺア SR コンプレックス」は、エイジングの鍵である“時計遺伝子”に着目。独自のDNAテクノロジーで、日中受けた肌ダメージを即座に改善してくれるという頼もしい一品です。初代ナイト リペアの誕生から25年。文句なしに、夜用美容液のパイオニアですね。
クリニークの新商品も遺伝子系。夜用エイジングクリーム「ユース サージ ナイト」は、長寿遺伝子とも呼ばれる“サーチュイン遺伝子”の活性化のしくみを応用しています。
担当の方にお話をうかがったところ、「遺伝子をより長寿にさせてコピー&ペーストがしっかりできるようにするか、日中受けるダメージをいかに夜のあいだに改善するか、というのがポイントなんですよ」とのこと。予防や修復はもちろん、肌寿命の可能性をも見据えた発想に、なるほどと思います。
加齢による“睡眠障害”に着目したのが、ランコムの夜用集中美容液「アプソリュ βx ナイト コンセントレート」です。高濃度の整肌成分を睡眠中の肌に送りこむことで、肌の構造を支える“細胞間マトリックス”を集中的に再構築するというしくみで、しわ、たるみなど、エイジングのサインを改善してくれます。2万円超とちょっと高価ですが、それだけの価値はある。とろみのあるテクスチャーで、使い心地もいいですね。
ランコムからは、遺伝子系コスメも出ています。「ジェニフィック」は、若い肌特有のタンパク質をつくりだす遺伝子の活動を活性化させる、エイジングケア美容液。夜ケアに特化したものではないのですが、洗顔後、お手入れのいちばんはじめに使用するということで、浸透力が抜群。夜ケアの最初のステップとしてぜひお薦めしたいアイテムです。
エスティ ローダーにしても、クリニークにしても、「長年の研究の成果で誕生しました」という遺伝子系のものにしてはお値段がリーズナブル。
不況のせいもあるのかもしれませんが、メーカーのみなさんのお話をうかがっていると、「ひとりでも多くの方に使っていただきたい」「利益はほかで出すから、これはこの価格でいい」というニュアンスで、ものすごいお得感があります。このジェニフィックもどれだけ高いかと思ったら約1万円なんですよ。3~4万円はするかと思っていたのでびっくり。そういう意味でも、この秋、イチオシの商品です。
3Dシートマスクで、鼻や口まわりの凹凸もフェイスラインも隙間なくケア
夜のケアといえばマスクも欠かせません。マスクも年々進化していますが、この秋はだんぜん“3Dシート”です。
インプレスの「コンセントレートマスク 3D」は、立体型シートで、小鼻のまわりやホウレイ線、さらには首までも、まさしく“つつみ込んでくれる”マスク。シワがよらないので、その姿はまるでウルトラマンのようですが(笑)、隙間なくフィットしてくれるので快適。高保湿成分がしっかりと浸透してくれます。
SK-II「スキン シグネチャー 3D リディファイニング マスク」は、上下2枚のストレッチ素材で、鼻のところが立体型になったデザイン。上下2枚にわかれていて、ストレッチが効いているから、鼻まわりはもちろん、フェイスラインまでしっかりとカバーしてくれる。リフトアップさせたいひとにはとくにお薦めです。
朝と夜の肌は、肌そのものの状態もちがえば、仕上げたい状態もちがう。やっぱり朝はしゃっきり男前の肌で、夜はまったり女らしい肌がいい。
細胞を育むための準備、そしてリラックスとリフレッシュというものを、上手に使い分けるということで、私はずっと、「朝美容・夜美容」というものを提案してきましたが、化粧品もそういうコマがだいぶ揃ってきたなっていうのが、この秋の印象。この流れからすると、2010年もおおいに期待できそうです。
※商品はすべて私物