「間合いという芯」

藤原美智子さんは無駄なくスムーズに仕事をしている雰囲気があるのですが、今回話してみて、じつはその動作のなかに絶妙な“間合い”をとっていることがわりました。
ものの考え方に関しても「そこそこ」とか「まいっか」という言葉もよく出てきます。この程よい“ゆらぎ”のような柔らかさが、藤原さんから漂う魅力の要素ではないかと思いました。

天然に備わった間合い

藤原さんの仕事に対する取り組みを聞いてみると、その節々に間合いの重要性を感じ取ることができました。
スパッとヘアメイクの仕事をこなしているかと思えば、時折、ボケが入ることがあるということです。それがちょうど良いタイミングで入り、場がコケることがあったりすると、「藤原さん、それわざとですか？」と言われるそうです。
「でも、私は吉本興業ではないから、そんな間はつくれてないって言うんです」。そもそも間って、理屈ではつくれないというわけです。
「それは天然ですね」と、笑いながら答える藤原さんでした。

間合いは新たな出会いをもたらす

じつは、間合いがもてるようになったから、新たなものに出会うことが増えたそうです。
間合いができた分、受け入れの範囲が広がってきている。かつては好きなものでも、嫌いなものでも、パッパッと口にしていて、メリハリがありすぎると言われていたそうです。
それが最近、自分の思ったことを一拍止めて言うことができるようになったということです。
「今までの藤原流ってものに、なにか柔らかなゆらぎが出てきている。それって良いですよね」。

このように間合いが絶妙にとれる藤原さんからは、話す言葉の合間合間に、なにか新しい企みが、あるいは、新しいアイデアが湧き出ているように感じました。
そういえば、考え方に合間のある人と話していると、なにかに包まれて、それがあたたかい魅力として感じられることがあります。まさに、藤原さんからは、その感覚を感じました。

そこそこのものはあなどれない

“間合い”とは、極端すぎる考え方に対するバランスのとれた中庸点かも知れません。
化粧品についての考え方に、その一端が見えました。「私は一人の女性として、あまりにも化学的すぎる化粧品には拒絶反応が出てしまう。だから、“そこそこ”のものが負担なく使え、一番効くと思うのです」とは彼女の化粧品観です。

人間も動物だから、化粧品というモノだけがあまり化学的過ぎるとついていけないし、自然なだけのモノではもの足りず、やっぱりそこそこのモノが一番良いと思うということです。
それは動物としての本能かも知れないと思っているそうです。案外、安心して心地良く使えるそこそこの化粧品を使いつづけることが一番効果を発揮するのかも知れません。これには私も賛成します。

下田ライフは間のある生活として

最近、藤原さんは伊豆の下田にも住居をつくったそうです。1カ月に1～2回くらい往き来しているとのことです。
ゆくゆくは海のそばに住み、畑を耕してみたいという夢が現実になりつつあるのです。このことも3年くらい前から思っていたら、タイミングよく土地が見つかったそうです。おそらく、藤原さんのもつ間合いが、タイミングを合わせてくれたのではないでしょうか。
焦ってなにかをしようとすればするほど良いものが見つからず、結果的に不満足な結果に終わってしまう話はよく聞きます。何事においても“間合い”はチャンスを引き込むために必要なことではないでしょうか。私はそう思います。

話をしていて、間合いの感じられる藤原さんから、ゆとりのあるあたたかな魅力をしっかりと感じ取ることができました。まちがいなく、間合いは藤原さんの魅力構成に欠かせない芯のひとつであると確信しました。

結局、藤原さんの魅力人としての芯は、「ヒラメキ」「素直」「間合い」の3つであるというのが私の結論となりました。
今後、ますます魅力に磨きがかかり、新しい面をたくさん魅せてくれることを楽しみとしましょう。