鏡リュウジ×中野香織 2008 SPECIAL対談(1)
鏡リュウジ×中野香織 2008 SPECIAL対談(1・全4回)
「2008年はマナーの年!?」
縁は奇なもの。『ハーパース・バザー』の副編集長でOPENERSにもコメントを寄せている東野香代子さんから「占星術の鏡リュウジさんによれば、2008年はマナーの年ですって」と教わりました。
2008年はマナーの年!? いったいなにを根拠にそうなるのか?
遠回りに憶測するより、鏡さんご本人に教えてもらうのが早かろうと思い、連載をもつ共通誌というご縁で『FRaU』副編集長のWさんに仲介してもらったところ、鏡さんはたいへん親切にメールで「2008年はマナーの年」の占星術的根拠をレクチャーしてくださったのでした。
<占星術はイメージの解釈という知的なゲーム>という鏡さんの、世の事象に対する解釈はあまりにもおもしろく、その一部は朝日新聞の「コロモのココロ」という欄に書いたのですが、<知的ゲーム>の豊かさすべてを伝えきれる紙幅があるはずもない。機会があればもっとじっくり占星術的発想を教わりたい……と思っていました。
そんな折、OPENERSを通して「モエ・シャンドン」からパーティーのお誘いをいただき、会場の三井倶楽部で偶然、鏡さんとばったり。同行してくださったOPENERS発行人のOさんの鶴の一声「じゃ、こんど対談やりましょう!」により、この企画が実現するにいたりました。対談、というよりほとんど私が生徒として質問し、教えていただく、という類のものですが。
科学がこれだけ発達している時代に、人はなぜ占いに頼るのか?
いま、占星術にどんな意義があるのか?
占星術の方法とは、具体的にはどういうものなのか?
占星術によってどんなふうに世の中の事象を読み解くことができるのか?
そして2008年は占星術の視点で見るとどんな年になるのか?
そんなおそろしく素朴なギモンの数々を抱え、お話をうかがいに行きました。
文=中野香織Photo by Jamandfix
なぜ、「2008年はマナーの年」になるのか?
中野 「マナーの年」問題ではていねいなご教示をありがとうございました。きょうは、あらためてゆっくりとお話をうかがう機会に恵まれて、感謝しています。なにか人の縁や偶然があれやこれやと重なってきょうに至る……っていう感じで、しみじみしております。
鏡 ほんとにそうですね。こちらこそ、よろしくお願いします。
中野 さっそくですが、「2008年はマナーの年」。はじめてこのテーゼを聞くOPENERS読者のために、もう一度詳しくレクチャーしていただけますか。そもそも、天体の配置と地上のできごととの間には、関係なんてあるものなのですか?
鏡 「ある」という前提のもとに星占いがおこなわれております(笑)。占星術という一種の解釈体系、解釈ゲームのなかにおいては、天体の配置と地上とのできごとの間に、なんらかの因果関係、照応がある、と考えるわけです。
中野 占星術は解釈の術。そうそう、このことばにやられたんですよ、私(笑)。当たるも八卦というおなぐさみじゃない。星の配置のイメージと地上のできごととの間に、意味を読み込む。占星術というのはそんな知的なイメージゲームだと教えていただいて、占星術に対する見方が、がらっと変わりました。
鏡 占星術は地球中心説の時代に生まれているので、地球を中心に星たちが回っている……という構造なんですね。太陽の見かけ上の通り道に並ぶ星座が12個。何座生まれ、というのは、地球から見て太陽が何座の方向にあったか、ということをさします。
中野 ……天体の話になると理解しきれないところもあるんですが(涙)。それで、2008年がマナーの年になるというのは、どういう根拠で?
鏡 昨年の9月に、土星が乙女座に入りました。土星は、「限界」や「現実」を、乙女座は「秩序」を表します。この組み合わせは相性がよすぎるくらいによく、強迫的に秩序を作り上げ、ミニマルな部分にまで規則性を打ち出します。
中野 そんな星のイメージってどこから生まれるんですか? ギリシア神話などとも関わってくるんですか?
鏡 そうです。それで、星のなかでもとくに大事なのが、木星や土星といった動きの遅い星たちなんです。ひとつの星座に木星は1年、土星は2年半、とどまります。こういう動きの遅い天体が社会のムードを表す、と考えるわけです。
中野 土星―乙女座が、現実―秩序。で、木星のほうは?
鏡 木星は昨年12月に山羊座に入りました。木星は「拡大」、山羊座は「伝統」を象徴します。それで、伝統や格式に高い注目が集まる、ということなんです。
中野 木星―山羊座で、伝統―拡大。土星―乙女座の現実―秩序、と組み合わせて「マナーの年」と。うーん、そういうキャッチーなコピーをずばり導くというのが、すごい。しかも世はまさに品格ブームなので、説得力がある。
エリカ様バッシング、タイドアップ復活、KY,パスポート取得率低下と天体配置
鏡 土星が乙女座に入ったとたん、それまでやんちゃで人気だった人が、手のひらを返したようにバッシングの対象にもなりました。朝青龍とか、沢尻エリカちゃんとか。
中野 あ、そういえばそうですね。天体との関わりで説明されると偶然として片づけられない気がしてきます。ファッションもきちんとしようって方向へ向かってるんですよ。メンズではタイドアップがいいよね、とか。ウィメンズも淑女風スカートスーツとか。コアクマが下火になって、品格のある女がやはりいいよね、というムードになってきてますし。
鏡 でも、あくまで解釈ゲームだから、逆に、この天体の配置からマイナスイメージも読めるんですよ。「自分の秩序からはみ出す者への排除」とか「一糸乱れぬ動き」とか。
中野 KY(空気よめないこと)に対するバッシングがまさにそれですよね。私は今の異様なまでのKYへの敏感さを「KYフォビア(空気読めないことに対する恐怖症)」と名づけているんですけど。こわいですよね、この異物排除の動き。
鏡 「空気が読める」ためには、声のトーンやタイミングなど、微妙な差異に対する目配りが必要になってきますよね。京都で「ぶぶづけでも」と言われたら「あ、帰れと言われてるんだな」と理解しなくてはならないとか。微細なソーシャルコードを読み解くことが知性と感情の能力の指標になるという世界って、まさに乙女座的です。
中野 KYバッシングも天体と関わる……!
鏡 日本だけの現象かもしれませんが、若者のパスポート取得率の低下も、乙女座的な現象ではないかと見ています。内輪の微細なコミュニケーションで満足しちゃって、外へ、異文化との軋轢のなかへ、出て行こうとしないっていう意味で。
中野 パスポート取得率低下まで天体の動きで説明できる……おもしろすぎです。
サターン・リターンは「成人式」
中野 過去に同じような星の配置があった年は?
鏡 29年前ですね。1978年。サターン・リターン(Saturn Return)っていって、生まれた時から29年して土星が一周して戻ってくるんですよ。そういう意味では29歳は、転機というか成人式ですね、占星術上の。
カメラマンN君 あ、今29です(笑)。
中野 30歳直前って、それまでの自分を振り返っちゃったりする焦りのでる年でもありますね。サターン・リターンっていう視点を入れることで、「いまこそが、成人式」と発想を前向きに変えられる。
鏡 占星術はそんなふうに、よりよく生きるために使える便利なツールでもあるのです。
鏡リュウジさんから新春プレゼント!への応募は 2008年2月15日(金)で締め切りました。
鏡リュウジさん著・監修の『ソウルフル タロット』(説話社)のサインプレゼント当選は、発送をもってかえさせていただきます。
多くのご応募ありがとうございました。(オウプナーズ編集部)
撮影協力|株式会社サイバード
鏡リュウジ公式サイト|http://www.ryuji.tv/
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