日本が誇るシューズメーカー「リーガル」の魅力 Vol.03｜REGAL

REGAL | リーガル

日本が誇るシューズメーカーの魅力 Vol.03

世界初、という偉業

ソールに設けた穴により、靴のなかを常にドライに保つ「ゴアテックス®サラウンド™フットウェア」。これを世界ではじめてグッドイヤーウェルト製法のシューズに搭載したコレクションが誕生した。商品化するまでの苦労もさることながら、やはり気になるのはなぜ老舗の「リーガル」が……という点だろう。しかしじつのところ、それはリーガルにふさわしい次の一歩なのである。

Text by TAKEGAWA KeiPhotographs by YUASA Tohru

満を持して登場した新旧タッグ

一日歩くと足はコップ一杯分の汗をかくといわれている。天の恵みである革は通気性に富んでおり、この点でさほど不快に感じることはない。いっぽう、戦後急速に広まったラバーソールの場合、靴内に生じた湿気は多くが逃げ場を失ってしまう。

この問題を解消すべく、リーガルが白羽の矢を立てたのがゴアテックス®ファブリクスである。念のためにおさらいすれば、ゴアテックス®ファブリクスはアメリカのWLゴア＆アソシエイツ社が製造販売する防水透湿性素材だ。モンベルやパタゴニア、ザ・ノース・フェイスといったアウトドアブランドですっかり有名になったマテリアルであり、登山家や冒険家といったその道のプロから高く評価されてきた。

最大の見どころはグッドイヤーウェルト製法を採っている点にある。複式縫いといわれるグッドイヤーウェルト製法は底付けにあたり2回にわたってミシンの針を入れる。足を包み込むように内蔵するゴアテックス®ファブリクスにおいて、こよなく繊細な気遣いが求められるコンストラクションなのだ。

試作と検証の繰り返しで、結局、完成までに2年かかったというからその慎重な姿勢には頭が下がる。技術的にどのような難問があり、そしてどのように克服したのかは企業秘密に属する話になるので詳らかにすることはできないが、つまるところ、世界有数のシューメーカーとマテリアルメーカーという名門の矜持のぶつかり合いにほかならない。

リーガル社がゴア社と契約を結び、ファーストコレクションを発表したのは、じつはいまから遡ること16年前のこと。ステッチダウン製法ながらこのときも開発期間には数年を要しており、おかげで立ち上がりからビジネスユースで履ける靴としてリピーターを獲得してきた。そして、グッドイヤーウェルトでゴアテックス®フットウェアの展開を始めたのが2001年。それはファンはもちろん、開発チームにおいても悲願だった。

その後もモデルチェンジを繰り返し、今回辿り着いた、その技術はゴアテックス®サラウンド™プロダクトテクノロジーと名づけられた。サラウンド＝360度の快適を謳うネーミングである。

Fabric Test in GORE® Company

GORE-TEX® SURROUND™ Movie

アメリカントラディショナルのDNA

リーガルは屈指のグッドイヤーウェルトメーカーながら機能開発にも率先して取り組んできた。最近では瞬時にシューレースが調整できるBoa®システムが記憶にあたらしい。靴内の空気を循環させるエアローテーションシステムも評判だ。

リーガルのこれまでを振り返ってわかることは、すべてが進取の気性という言葉で説明できる事実だ。靴をファッションに昇華した「ヴァン・リーガル」は言わずもがな、世の中のカジュアル化を先取りした「クラークス」を日本に紹介したのもリーガルだった。

しかし考えてみればそれももっともで、イギリスに範をとったアメリカントラディショナルがそもそも先進の塊である。万人にフィットするI型ブレザー、シルクをコットンに置き換えて爆発的にヒットしたシアサッカーのジャケットやパンツ、ポロ選手のユニフォームがヒントになったボタンダウンシャツ。あらたな時代の空気を思い切り吸い込んで固有の進化を遂げたアメリカントラディショナルの正統な後継者であるリーガルにとって、ゴアテックス®フットウェアへの挑戦は至極当然だったのだ。