BMW 5 Series|スポーティなDNAを継承しつつ環境性能も向上
BMW 5 Series|BMW 5シリーズ
スポーティなDNAを継承しつつ環境性能も向上
BMW5シリーズがフルモデルチェンジ。2010年4月よりビー・エム・ダブリュー株式会社の手により日本発売される。従来より燃料消費率が約40パーセント向上したのが特徴のひとつに挙げられている。
文=小川フミオ写真=BMW
モデルラインナップは3種類
第6世代になる新型5シリーズは、3リッター直列6気筒を搭載するBMW528i(715万円)、おなじエンジンにターボチャージャーを装着したBMW535i(835万円)、そしてV型8気筒ターボのBMW550i(1040万円)の3車種が日本市場に導入される。従来型と比較して、排気量を縮小しながら同等のパワーを確保しているのも、環境性能を重視する現代に対応した高効率化のたまものだ。
BMWでは独自技術の組み合わせによる環境性能を総称して「エフィシエント・ダイナミクス」と呼ぶ。端的にいうと、より少ないエネルギーでより高い性能を可能とすることを目指した技術。新型5シリーズでは、ギアの多段化でパワー伝達効率向上をはかる8段AT、燃焼の高効率化を実現するダイレクト・インジェクション、排気量を抑えつつハイパワー化を目指したBMWツインパワー・ターボテクノロジー、燃費に寄与する軽量化、バッテリーの小型化などに貢献するブレーキエネルギー回生システムといったものが挙げられる。
過給による高性能/低燃費化は、従来の大排気量エンジンと同等のパワーを縮小した排気量で実現しているのが特徴。BMW535i(835万円)の3リッター6気筒エンジンも同様にターボチャージャーと燃料直接噴射システムで高出力および低燃費を実現している。出力は先代540iの4リッターV8と同等。いっぽう、ラインナップの頂点に位置するBMW550i(1040万円)は4.4リッターV8に2基のターボチャージャーを装着することで407psの出力と、61.2kgmもの大トルクを1750~4500rpmのあいだで発生。燃料直接噴射システムとともに、効率のよいハイパワー化に成功している。
やや大型化されたボディ
新型5シリーズのボディ外寸は全長×全幅×全高=4,910×1,860×1,475mmで、従来型と比較すると、全長で55mm延び、全幅で15mm広くなっている。ホイールベースは2,970mmで、60mmも延長されている。タイヤ径は528iで17インチだが、あとは18インチが標準採用されている。
スポーティな操縦性というDNAも先代から引き継いだ新型5シリーズ。コクピットのフェイシアを7度ドライバーのほうに傾けている「セントラルテーマ」を採用しているのも上手な演出だ。
テクノロジーの面では、前輪にくわえ後輪にも舵角を与えることで低速では縦列駐車がしやすくなる一方、ワインディングロードでは俊敏性が高まるなど速度に応じて操舵角を適切にコントロールするアクティブステアリングホイール、車体のロールをコントロールするアクティブ・ドライブ、ワインディングロードを飛ばすときも起伏のある道を走るときも、ともに乗員に最適な乗り味を提供することをめざしたというダイナミック・ダンピング・コントロール、そして室内のボタンでエンジンレスポンス、変速タイミング、ハンドルへのパワーアシスト量などを3つのモードへと切り替えられるダイナミック・ドライビング・コントロールが備わる。
BMW 528i
ボディ|全長4,910×全幅1,860×全高1,475mm ホイールベース2,970mm
エンジン|2,996cc 直列6気筒DOHC
最高出力|190kW[258ps〕/6,600rpm
最大トルク|310Nm[31.6kgm〕/2,600-3,000rpm
駆動方式|後輪駆動
トランスミッション|8段AT
タイヤ|225/55R17
価格|715万円
BMW 535i
ボディ|全長4,910×全幅1,860×全高1,475mm ホイールベース2,970mm
車両重量|1,820kg
エンジン|2,996cc 直列6気筒DOHC+ターボチャージャー
最高出力|225kW[306ps〕/5,800rpm
最大トルク|400Nm[40.8kgm〕/1,200-5,000rpm
駆動方式|後輪駆動
トランスミッション|8段AT
タイヤ|245/45R18
価格|835万円
BMW 550i
ボディ|全長4,910×全幅1,860×全高1,475mm ホイールベース2,970mm
エンジン|4,394cc V型8気筒DOHC+ツインターボチャージャー
最高出力|300kW[407ps〕/5,500rpm
最大トルク|600Nm[61.2kgm〕/1,750-4,500rpm
駆動方式|後輪駆動
トランスミッション|8段AT
タイヤ|フロント:245/45R18 リア:275/40R18
価格|1040万円
BRAND HISTORY
“キドニーグリル”と丸目四灯ヘッドライトにより、ひと目でそれとわかるフロンマスクが特徴のBMW。日本の輸入車市場においても常に高い人気を誇っているが、その名前が何を意味するのか、即座に答えられるひとは意外に少ないのではないだろうか。
Bayerische Motoren Werke(バイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ)。直訳すれば「バイエルン地方のエンジン工場」という意味だ。前身だったラップ社は、カール・フリードリッヒ・ラップが1913年にドイツのバイエルンに設立した航空機用エンジンのメーカーで、おなじバイエルンの機体メーカーのオットー社と組んで、ビジネスを成功に導く。1916年にはバイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ有限会社と改称。2年後には株式会社に組織変更するとともに、バイエルンの青い空と白い雲をイメージしたプロペラのロゴマークを登録している。
その後も革新的な技術により存在感を高めたBMWだったが、第一次世界大戦の敗戦により、航空機エンジンの製造中止を余儀なくされた。そこでBWMは、もてる技術をモーターサイクルに注ぎ、1923年にはシャフトドライブの「BMW R32」を発表して注目を浴びることに。しかし、それだけでは飽きたらず、オースチンセブンをライセンス生産するディクシー社を買収。これにより自動車ビジネスの足がかりをつかみ、1929年には「BMW3/15 PS」を発売、自動車メーカーとしての歴史をスタートさせている。
ちなみに、BMWと深い関係にあったオットー社は、ガソリンエンジンの理論を確立したニコラウス・アウグスト・オットーの実の息子であるグスタフ・オットーが創立した会社。BMWが内燃機関にこだわるのは、このあたりに理由がありそうだ。