Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアント “あたり”がやわらかく優しいクルマ
CAR / IMPRESSION
2015年3月5日

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアント “あたり”がやわらかく優しいクルマ

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアント

“あたり”がやわらかく優しいクルマ

フォルクスワーゲンの新型車が続々日本上陸中。ゴルフのワゴン版であるヴァリアントも先頃モデルチェンジを受け4代目になった。自動車ジャーナリスト、小川フミオによる試乗記をお届けする。

文=小川フミオ写真=河野淳樹

3タイプのエンジンをラインナップ

ゴルフ・ヴァリアントは1995年にゴルフ3(現在はゴルフ6)のステーションワゴン版としてわが国に導入されたのが初。以来、2000年、2007年にフルモデルチェンジをおこない、今回は先にデビューした新型ゴルフと共通性を感じさせるフロントマスクを与えられるなど、アップデート化がはかられた。

ゴルフ・ヴァリアントのラインナップはエンジンを中心に考えると3タイプとなる。

・1.4リッター4気筒にインタークーラー付きターボチャージャーを備えて122馬力を発生する「TSIトレンドライン」(272万円)
・ベースはおなじ1.4リッター4気筒でインタークーラー付きターボチャージャーとスーパーチャージャーを備えた、いわゆるツインチャージャー式で160馬力の「TSIコンフォートライン」(322万円)
・2リッター4気筒エンジンにターボチャージャーというもっとも高出力の「2.0TSIスポーツライン」(383万円)

新型の大きな特徴としては下記のものがあげられる。

・ゴルフに準じた内外装デザインの採用(とくにフロントマスクの新意匠)
・静粛性の向上
・燃費の向上
・購入後のメインテナンス費用が3年間無償となる「Volkswagen Professional Care」付帯

このなかで1.4リッターエンジンにツインチャージャーを組み合わせた「TSIコンフォートライン」(322万円)に試乗した。燃費は10・15モードでリッターあたり16.2kmとなっている一方、最高出力は160psと、燃費ばかり重視した仕様でないことがわかる。現在の6代目ゴルフが5代目のシャシーを使いながら、遮音性の高いウィンドシールドをはじめとする騒音対策をほどこすなど上手なアップデート化を図っているのと同様、ヴァリアントもやはり先代のシャシーを用いながら洗練度を向上させたのが特徴となっている。

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細部の作りこみが高級感につながる

ゴルフ・ヴァリアントTSIコンフォートラインをひとことで定義しろと言われたら、“あたり”がやわらかく、優しいクルマだ。このクルマの前にかなりスポーティなゴルフGTIを試乗したので、印象が弱いかなと思っていたが、そんなことはなく、別のよさをすぐ感じさせてくれた。日常では充分なトルク感は、まずスーパーチャージャーが低回転域から働き、次にターボチャージャーに引き継ぐ、その途切れのない上手な設定から生まれる。

かつ乾式クラッチを使った7速DSGは、スムーズなつながりと、ダイレクトな感覚で気持ちがよい加速感を伝えてくる。このマッチングのよさは、接するたびに、日本車はなぜ作らないのか疑問に思う。まあ、開発しているようだけれど。それとともに、ゴルフ・ヴァリアントに限らずフォルクスワーゲンが上手にクルマづくりをしていると感心するのが、たとえばハンドルのグリップ。しっとりとした革の感触とともに、断面がたんなる楕円でなく、複雑なカーブが組み合わされているのだろう。それが心地よい握り心地になっている。意外に見落とされがちだが、こういう細部が高級感につながることを再認識させられる。

普段使う車にもそれなりの走りと雰囲気が欲しいひとに

乗り心地はよく、サスペンションは丁寧に動いて路面のショックを吸収する。後席も欧州製ワゴンは往々にしてリアサスペンションのダンピングを固めに設定する傾向にあるが、ゴルフ・ヴァリアントでは快適に感じた。いっぽうハンドリングはスポーティというほどではないが、カーブの連続する道では楽しさすら感じさせる。それなりのドライビングプレジャーがある。

スタイリングは少しエモーショナル。リアのゲートをやや寝かせて単なる実用性最重要視の商業車(ドイツでは乗用ワゴンをヴァリアント、商業用ワゴンをコンビと呼び分けたりする)ではないことを強調しているようだが、リアまわりのデザインは先代とほぼおなじ。まあ、仕方ないのだろうが、これでは買い換え需要は望みにくい。ゴルフより高級なイメージで人気なクルマなので、このままでもう少し市場のパイを奪えるという判断もあったのだろう。

個人的にはあたらしいフロントグリルは好ましい。少なくとも以前のクロームを強調した通称「ワッペングリル」よりスポーティなイメージで、よく走るゴルフ・ヴァリアントにはこちらのほうがよく合っているのではないかと思う。ふだん使うクルマでもそれなりの走りと雰囲気が欲しいひとには、ゴルフ・ヴァリアントは一考に値いするクルマだ。かつ燃費のよさは驚くほどだ。

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Volkswagen Golf Variant TSI Confortline
ボディ|全長4545×全幅1785×全高1530mm
エンジン|1.4ℓ直列4気筒DOHC+インタークーラー付きターボチャージャー+スーパーチャージャー
最高出力|118kW[160ps〕/5800rpm
最大トルク|240Nm[24.5kgm〕/1500~4500rpm
駆動方式|前輪駆動
トランスミッション|7速DSG
価格|322万円

フォルクスワーゲンカスタマーセンター
0120-993-199

           
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