格段に高まったシャシーの洗練度

この新型ゴルフGTIを最初に走らせたのは今年の4月。ニースからサントロペへ向かうルートはワインディングのパターンも豊富だったが、道幅は全般にタイトで路面状況も決して恵まれてはいない。そこで強く印象に残ったのは格段に高まったシャシーの洗練度だった。不快な音・振動の低減はベースモデルであるゴルフ6のレベルアップに沿うところだろう。が、18インチを履くホットハッチとしては破格ともいえる乗り心地の良さは、まちがいなくDCCの効果といえる。大きな衝撃も柔らかくいなしつつもボディの動きをつねにフラットに保とうとするその乗り味は、スポーツコンパクトとはかけ離れた、ひとクラス上のサルーンに乗っているかのような大物感すら抱かせる。

先代から引きつづき採用されるDSGも発進時のクラッチリンケージマナーが改善され、穏やかになった低速域でのスロットルマネジメントにピタリと変速プログラムが符合、通常のATとほぼ遜色のないなめらかさをもつにいたった。総じて新型ゴルフGTIは、街乗りからハイアベレージの高速巡航まで、上質なデイリーカーとして満足できる快適性を身につけているといえるだろう。

ベストバイは18インチ＋DCCにDSGの組み合わせ

左右輪の制動を調整しながら旋回能力を高めるというXDSは、とくに中～高速域でのコーナリング時にその恩恵がみてとれる。前型ではこの域で強く感じられたアンダーステアがしっかり抑えられており、公道を走らせる限りは限界状況などうかがわせないほどに、そのマナーは徹底的にニュートラルだ。

シャシー自体がもつ旋回力も極めて高く、この辺りは低重心＋ワイドトレッドのシロッコにも劣らない。このようにワインディングを楽しむ状況ではDCCをスポーツモードにすることで、車体の無駄なロールをキッチリ抑え込んだソリッドなフィーリングが味わえる。

日本での試乗では標準の17インチ仕様にも乗ることができたが、こちらは静粛性や高速域での乗り心地に一定の進化が感じられた。が、やはり18インチ＋DCCがもつクラス越え的なオーラを感じるまでにはいたらない。オプション扱いとなるため一定のエクストラを払うことにはなるが、このクルマがもっとも活きる仕様といえばやはり18インチ＋DCCにDSGトランスミッションの組み合わせということになる。いわばそれは、素晴らしい快適性や実用性、安全性を備え、環境にも優しいというプレミアムコンパクトを手に入れるということだ。一級のスポーツカーたる要素を備えてなお、一級のコンパクトカーでもあるというところが、このクルマが代々守りつづけるとんでもなさということになるのだろうか。

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