特集|2014年国際映画祭速報|ベルリン国際映画祭
MOVIE|第64回ベルリン国際映画祭
各部門の受賞作品を最速リポート!
2月16日に閉幕した第64回ベルリン国際映画祭。毎年2月、ドイツ・ベルリンでおこなわれる世界三大映画祭のひとつだ。人呼んで「映画ファンのための映画祭」。商業ベースの作品よりも、芸術的に優れた作品にスポットを当てることで知られている。
今年は脚本家・映画プロデューサーのジェームズ・シェイマス率いる7人の審査員が、20点の候補作品のなかから受賞作品を選出した。最高賞にあたる「金熊賞」は、中国出身のディアオ・イーナン監督が手がけたスリラー『白日焔火(ブラック・コール、シン・アイス)』が受賞。「最優秀男優賞(銀熊賞)」には、同作品で主演を務めたリャオ・ファン、「最優秀女優賞(銀熊賞)」には、山田洋次監督の『小さいおうち』で主演を務めた黒木華が輝くなど、中国勢、ひいてはアジア勢がベルリンを席巻した年となった。
Text & Edited by TANAKA Junko and Winsome Li (OPENERS)Photographs by Berlinale
金熊賞
『白日焔火(ブラック・コール、シン・アイス)』
製作国:中国
監督:刁亦男(ディアオ・イーナン)
金熊賞と銀熊賞をW受賞!
舞台は中国北部の小さな町。何体もの遺体が発見され、町は騒然となる。犯人を突きとめようと、捜査に当たっていた4人の警察官のうち、2人が死に、もう1人が大けがを負うという事態に。唯一の生存者となったザン・ジリは、停職を命じられる。それから5年。再び奇妙な殺人事件がこの町を襲う。警察時代の元同僚たちと、独自に捜査を進めることにしたザン。だが容疑者と思わしき女性に魅せられてしまったことから、事態は複雑さを増していく。
審査員グランプリ(銀熊賞)
『The Grand Budapest Hotel(グランド・ブダペスト・ホテル)』
製作国:アメリカ・ドイツ
監督:Wes Anderson(ウェス・アンダーソン)
6月公開予定
http://www.foxmovies.jp/gbh/
“悲喜劇”の達人、初の栄冠に輝く
ヨーロッパ随一のホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」を切り盛りするグスタヴ・H。“究極のおもてなし”を信条とする彼の人生は、ある日を境に一変する。長年懇意(こんい)にしていたマダムDが殺されたことから、莫大な遺産を巡る争いに巻き込まれたのだ。信頼を寄せるベルボーイ、ゼロとともに事件の解決に乗り出すグスタヴだが……。『ダージリン急行』や『ムーンライズ・キングダム』など、ウィットの利いた悲喜劇を世に送り出してきたウェス・アンダーソン監督が、国際映画祭の舞台で初の栄冠を手にした。
最優秀女優賞(銀熊賞)
黒木華
『小さいおうち』
製作国:日本
監督:山田洋次
公開中
http://www.chiisai-ouchi.jp
4年ぶり、4度目の快挙
2010年に直木賞を受賞した、中島京子の同名小説が原作の『小さいおうち』。一貫して“家族の絆”を描いてきた山田洋次監督が、“家族の秘密”をテーマに新境地を切り開く。舞台は昭和初期から終戦直後、そして平成の東京。郊外に建つ赤い屋根の家で、奉公人として働いていたトキ。ある日、慕っていた女主人のある秘密を目にしたことから、苦渋の選択を強いられることになる──。話題作への出演が相次ぐ黒木華が、日本映画界に『キャタピラー』で同賞を受賞した寺島しのぶ以来となる、4年ぶり4回目の快挙をもたらした。
監督賞(銀熊賞)
『Boyhood』
製作国:アメリカ
監督:Richard Linklater(リチャード・リンクレイター)
脚本賞(銀熊賞)
『Kreuzweg(Stations of the Cross)』
製作国:ドイツ
監督:Dietrich Bruggemann & Anna Brüggemann(ディートリッヒ・ブルッゲマン、アナ・ブルッゲマン)
芸術貢献賞(銀熊賞)
『推拿(ブラインド・マッサージ)』
製作国:中国
監督:ロウ・イエ