Gamila Secret|ガミラシークレット|ガミラ・ジアー インタビュー
Gamila Secret|ガミラシークレット
ガミラ・ジアー インタビュー
人生をかけてつくりあげた魔法のレシピ
日本でも“魔法の石けん”として話題となった「ガミラシークレット」の生みの親であるガミラおばあちゃんことガミラ・ジアーさんは、現在70歳。彼女の生まれ育ったイスラエル北部ガリラヤ地方は、雄大な自然に囲まれた“神の恵みが宿る土地”として知られる歴史ある場所だ。ガミラさんは、ガリラヤ地方に伝わる伝統的な薬草の知識を用い、30年以上にわたる試行錯誤のすえ、植物成分100パーセントの石けん「ガミラシークレット」を完成させた。多くの人びとに驚きと感動を与えたその石けんのレシピは、いまではスイス銀行の金庫で大切に保管されている。そんな「ガミラシークレット」初となる「フェイスオイル」の発売にあたり、ガミラさんご自身が来日。製品の魅力と、多くの困難を乗り越え歩んできた70年の軌跡について語ってくれた。
Text by OPENERS
Photo by JAMANDFIX
“薬草の宝庫”で生まれた魔法の石けん
――「ガミラシークレット」が生まれたイスラエル北部ガリラヤ地方は、どのような土地ですか?
歴史の深い由緒ある場所です。2000年前にイエス・キリストが活動した場所であることからも皆さんはご存知かもしれませんね。私たちの地域には小さな村が点在していまして、信仰のことなる4つの宗派が住んでいます。山の上で暮らしているので、子どものころは、舗装道路も電気も水もなく、泉から水を汲むような生活をしていました。
――“薬草の宝庫”でもあるとお聞きしました。
そうですね。山の合間には多くの薬草が生息しています。ですから昔から伝統的に伝えられてきたことが数多くありまして、実際に私の両親も目薬や耳の薬を薬草からつくっていました。私の母は、こういった伝統ある薬草の知識が自分の世代で途切れてしまうのは非常にもったいないといつも言っていました。そして、つぎの世代に伝える使命があるとも言っていました。私は自然のなかで生まれて、自然に育てられたのです。
――ガミラさんにとって植物を使った製品を世に送り出したいという気持ちが湧いたのは自然なことだったのですね。では、石鹸というアイデアはどこから生まれたのですか?
肌をきれいにして、良い成分を取り入れるという考えは、私の信条や信仰から生まれたものだと思います。さまざまな宗教において、大切なのは清潔であることだと言われています。顔を洗ったり、手足を洗ったりするわけですけれど、肌をキレイにすることと薬草をどう結びつけるかを考え、石鹸という結論に達しました。石鹸であれば、いろいろな世代のひとに使ってもらえると考えたのです。「ガミラシークレット」のなかには、ふたつの効果をもつ成分がふくまれています。ひとつは、いろいろな肌のトラブルを治す効果、もうひとつは、お肌をきれいに洗浄してつるつるに仕上げるという効果です。そのどちらも薬草のチカラによるものです。たとえば、薬草をつぶしてエキスを抽出し肌に擦り込むと、クリームのようなはたらきをして肌をツルツルにするのです。
――今回お持ちいただいたのは、実際に使用されている薬草ですか?
そうです。これは、フェイジャンという薬草で、母はこれを使って耳の薬をつくりました。この薬草は、いろいろな種族のなかでも非常に貴重な草と考えられていまして、その素晴らしさから“使いの天使”という意味をもちます。
次にこれは月桂樹です。預言者の樹と呼ばれています。これは我々ドルーズ族に限らず、ヨルダンやエジプトなどいろいろなところで使われています。肉料理や漬物などにも使われていますね。月桂樹の樹から採れる実を潰しますと脂が出てきまして、これには身体をあたためる作用があります。咳が止まらない子どもの胸に塗ると、咳が止まったり、お歳を召した方の膝の痛みや腰の痛みにも効きます。石鹸のなかにもこのエキスが入っていまして、血行を良くします。このように、自然というのはオープンカレッジのような場所でして、終わりのない学びの場と言えます。わたしの石鹸にはこういった植物や薬草が15種類入っているのです。
Gamila Secret|ガミラシークレット
ガミラ・ジアー インタビュー
人生をかけてつくりあげた魔法のレシピ
人生の半分以上をかけて完成した秘密のレシピ
――そして完成したのが秘密のレシピなのですね。
ひとつひとつが、強い作用、弱い作用、お肌つるつる作用、トラブル解消作用などさまざまです。そしてそれぞれがお互いを助け合って、ひとつの作用を生み出しています。ですから、ガミラシークレットの「シークレット=秘密」というのは配合具合にあるのです。絶妙なバランスで配合されることで不思議な力を引き出すのです。葉っぱだけでなく根っこもつかっています。なかには葉っぱはつかえないけれども根っこはつかえるという薬草もあります。いま、このように話すと簡単に聞こえますが、私の人生の半分以上である40年を費やしここにいたったのです。
――諦めることなくやり遂げることができたのはなぜだと思いますか?
目標を掲げたら絶対にそれを成し遂げるまでやめないと心に決めていました。そしてなにより、私は薬草のことを信じていました。しかしその道は、本当に困難なものでした。私の属すドルーズ族は、かつて非常に閉鎖的で、女性が学ぶことや外で働くことなどはもってのほかという環境でした。とにかく家で良き妻でいることが、私たち女性の唯一の道だったのです。しかし私は、そういった伝統を破ってでも、これを広く知ってもらわなければいけない、私の手だけにおさめてしまうのはもったいないと思い、敢えて乗り出しました。
その代償はとても大きなものでした。最初、主人は非常に反対しまして、離婚の危機も何度もありました。そして私のおこないが新聞やマスコミに取り上げられると、ドルーズの人間がこんなことをしていると、非難をうけました。けれど、最後には主人は援助してくれるようになりましたし、私は工場をもつまでになりました。いまでは貧しい家庭に育った女性を雇って、雇用を促しています。いまでこそ、まわりが尊敬の念をもって接してくれるようになったのです。
――ガミラさんには夢があると聞きました。
3つの夢があります。石けんが世界中に知れわたり、トラブルをもつ多くのひとの役に立つこと。地元で働く機会のない女性に仕事を与えること。世界中にいる、飢えている子どもたちのためになにかしたいということです。ふたつの夢は実現したと言えます。「ガミラシークレット」によってみなさんが笑顔になることを幸せに思っていますし、石鹸をつくるために50人の女性を雇っています。もっと多くの女性を雇えるようになりたいと思っていますが、それは神様の助けがあればですね。3つ目の夢は、もう少しこの事業が拡大したら、出た利益を世界中の子どもたちに還元したいということです。私自身が貧しい家庭に育ちましたから、貧しい子どもたちをみるとなんとかしたくてたまらなくなるのです。
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ガミラ・ジアー インタビュー
人生をかけてつくりあげた魔法のレシピ
洗い流さないガミラシークレット誕生
――ふたつの夢がかなったことで、ガミラさんご自身に変化はありましたか?
子どもにはよりハードに働くようになったと言われます(笑)。私が子どものころに食べていたものはピタとチーズ1切れでしたが、今もその食事は変わりません。着ているものも、最低限の非常にシンプルなものしか身につけませんし、そういった意味での生活は変わっていないと言えます。私は生きているかぎり、できるかぎりの貢献、援助を必要としている子どもたちを手助けしていきたいと思っているのです。じつは先日、弁護士の立会いのもと遺書というものをしたためました。そこには、私が死んだあとに、息子たちが儲けだけを考えるのではなくて、事業から得た利益をできるだけ助けを必要としている子どもたちに還元するようにと記しました。私のこどもたちは、きっと母親の言いつけを守ってくれることでしょう。
――では最後に、新製品のオイルについて教えてください。
日本には新商品として紹介していますが、開発したのは石鹸にいたる40年のなかです。多くのお客様から、石鹸以外にスキンケアはないのかという声をいただき、商品化することになりました。これも私のシークレットのうちのひとつです。ひとつ注意していただきたいのは、このオイルというのは、強く潰していない植物から抽出されたものです。普通のオリーブオイルは、ビタミンやミネラルを取り除いたあとに残った油になるのですが、そういった栄養分を残したまま製品化しています。
これは100パーセントピュアなオイルで、肌にとても良いものです。石鹸で顔をきれいにしたあと、クリームの代わりにこのオイルを塗ることをお薦めします。清潔になった肌ですので、そこに深くオイルが浸透します。私はクリームや化粧品などは人生で一度も使ったことがなく、石鹸とオイルしか使っていません。日本人の肌は非常にキメが細かいとは知っていますが、60代なるまでにこういったケアをしておかないとちがいがでてくるのですよ。今日、いろいろな汚染などで肌が汚されていますし、食べものもジャンクフードなどが増え、肌に良くない環境だと思います。そういった肌に魂を吹き込んでくれるのがこのオイルです。
そして最後にひとこと言いたいのは、もしこの石鹸とオイルはなんなんだというひとがいたら、ぜひ使ってみてほしいということです。2週間経ったら、そのひとの肌が証明してくれることでしょう。
――ありがとうございました。
Gamila Hiar|ガミラ・ジアー
1940年、イスラエル北部ガリラヤ地方、ピキイン村に生まれる。両親は植物の専門家。ハーブを活用する術を母親から受け継ぎ、6歳のころから見よう見真似でハーブに触れる。本格的な石鹸づくりのスタートは20歳のころ。石鹸のづくりの知恵は母から受け継いだが、そこに植物オイルをくわえたのがガミラの知恵。生まれ育ったガリラヤの地に生息するオリーブやハーブをもちいた薬効効果のある石鹸をつくりたいと独学で学びはじめ、30年以上の歳月を経て独自のレシピを確立。その石鹸は「ガミラシークレット」と名づけられた。いまでもそのレシピはスイス銀行の金庫に預けられ、かぎられた者しかそのレシピを見ることはできない。