新たなる世界戦略SUV

次世代のフォード「エッジ」のプレビューとなるコンセプトカーが、LA オートショーでワールドプレミアされた。北米（と一部地域）専用モデルのため、日本には導入されておらず馴染みが薄いものの、今年10月までの販売実績では、強豪ライバルモデルを32パーセント以上も上回る販売実績を残し、3年連続“アメリカ ベストセラー ユーティリティカー”の栄誉にも輝いているモデルだ。

ひとあし早いフォード エッジのプレビューとなるフォード「エッジ コンセプト」は、現行モデルのテイストを残しながら、あたらしい進化したフロントデザインを採用。現行モデル以上に彫刻的な、質感の高いエクステリア デザインが目をひく。あらたに採用されたLEDのヘッドライトは、フロントグリルとの一体感を強調、さらに洗練されたスポーティなフォルムに磨きをかけている。

また、フォード自慢のインテリジェントドライバーアシスト技術にくわえ、半自動化技術も搭載。フォード エッジ コンセプトには、高度なエンジン制御システムや、「フォーカス」でもお馴染みとなった衝突回避テクノロジーだけでなく、ユーザーがボタンに触れるだけで、あるいは車外からリモコン操作だけで、フォード エッジ コンセプトが自動で駐車をおこなう「アクティブパークアシスト機能」という驚きの新技術も取り入れている。

エンジンは次世代のEcoBoost。スタートストップ技術や空気抵抗削減に有効なアクティブグリルシャッターのほか、車両前方からの空気を利用し、ブレーキの冷却性能向上やダウンフォースの適正化をはかるユニークなエアカーテン技術も採用、燃費をふくめた環境性能向上に余念はない。

インテリアでは、手縫いで作り上げた本革仕様のインパネや、10インチのタッチスクリーンディスプレイを搭載した「MyFord タッチ」、メカニカル開閉を可能にしたセンタースタック、特徴的なデザインのステアリングホイールやシフト、ドアリリースレバーとエアコンの吹き出し口での統一された新感覚のデザインなどなど、見どころは多い。クラフトマンシップがもたらす個性的で、クオリティの高いインテリアが構築されている、といえそうだ。

しかし、デザインや仕上げの良さ、そして先進のドライバーアシスト技術だけが次期フォード エッジのハイライトではない。今まで北米専用車として好調なセールスを記録したこのクルマの次世代モデルは、実は、ミドルクラスSUVの世界戦略車として開発が進められているというのだ。

2015年モデルとして登場が予定されている次期フォード エッジは、ほぼLAモーターショーのプレビューモデルの姿のままで生産に移行するが、北米のほか、ヨーロッパを含むいくつかの世界市場での販売も予定している。フォードは、9月にカナダのオークビル生産工場に新規の投資をおこなうと発表。次期フォード エッジはここで生産され、あらたにグローバルモデルとして全世界にデリバリーされると見込まれているのである。

これが事実だとすれば、フォード フォーカスやフォード「クーガ」などとおなじ、「One Ford」戦略があらたな段階に入ったといえそうだ。現行フォード エッジは日本での販売をおこなっていなかったが（姉妹車リンカーン MKXは導入済み）、都会的でスタイリッシュな魅力あふれるSUVなだけに、今後の日本導入にも期待が高まる。

フォードでは、北米に次ぐ販売先として中国市場の正式決定をアナウンスしているが、フォード「フィエスタ」につづく最新グローバルモデルとして、日本にも正式導入を強く希望したい新型車である。