アストンマーティン創立100周年をロンドンで祝う|Aston Martin
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2015年4月3日

アストンマーティン創立100周年をロンドンで祝う|Aston Martin

Aston Martin Centenary Celebration|
アストンマーティン創立100周年記念イベント

これが英国流のアニバーサリーイベント

アストンマーティン一色に染まったすばらしき祝典

今年7月、イギリス・ロンドンの中心地にある王立公園「ケンジントン・ガーデンズ」を舞台に、アストンマーティン創立100周年記念イベントが開催された。過去最大規模となったこの祝賀式典には、英国内外から合計550台もの車両が一堂に展示。5万人を超える来場者を集め、盛大な盛り上がりをみせた現地から、九島辰也氏がリポートをお届けする。

Text by KUSHIMA Tatsuya

想像以上の世界がそこにはあった

これが英国流のアニバーサリーイベントなのか──


アストンマーティン生誕100周年のセレモニーに参加して、私はそう実感せずにはいられなかった。これまでもランドローバー65周年、MINIの50周年云々と、さまざまな行事を見てきたが、今回のスケールはまるでちがう。まさに英国伝統のお祭り。想像以上の世界がそこにはあった。


7月の中旬におこなわれたそれは、「アストンマーティン ウィーク」として一週間のプログラムが用意されていた。ファクトリーやデザインスタジオのあるゲイドンでは見学ツアーが、英国全域では『007』縁の地を訪ねまわるイベントを開催。

Aston Martin Centenary Celebration|アストンマーティン創立100周年記念イベント

Aston Martin Centenary Celebration|アストンマーティン創立100周年記念イベント

またヨーロッパ全体を巻き込んだ“Road to LONDON”は、イタリアのミラノからロンドンまでを走るオーナーズカーツーリングイベントで、各車”Road to LONDON”のステッカーを貼って、都市間ラリーを楽しんだ。


そして週末。イベントのクライマックスを飾るのはカーショーだ。歴代モデルはもちろん、レーシングカーからボンドカー、さらにはコンセプトカーまで一挙に並び、史上最高の数のアストンが集結。主催となるアストンマーティン•ラゴンダ社を中心に、伝統あるアストンマーティン・オーナーズクラブと、このブランドの遺産を管理するアストンマーティン・ヘリテージ・トラストが手を組んでの大々的なイベントとなった。

しかも開催場所にはさらに驚かされた。なんとロンドンのど真ん中、ケンジントンガーデン。そう、ここはロイヤルガーデンのひとつ、つまり王立の公園なのだ。そんな由緒正しい場所を、いち自動車メーカーに貸し出すのだから恐れ入る。

王室の心が広いのか、それともアストンマーティンというブランドがそれほど王室に近いのかは定かではない。が、2011年におこなわれたウィリアム王子のロイヤルウエディングで、「DB6 MK2ヴォランテ」がパレードに使われたのは記憶にあたらしい。

Aston Martin Centenary Celebration|アストンマーティン創立100周年記念イベント

もちろんそんな公園だけに、ここは観光客をはじめ、ロンドン市民の憩いの場としても広く愛される。市内観光のついでに足を運ぶとわかるが、平日も週末も多くの人がジョギングやピクニックを楽しんでいる。


そこにクルマをドーンと並べるのだから、「これが英国流なのか!」と言いたくなる。家族でピクニックを楽しみながら、並べられたアストンを親しみある眼差しで見つめる光景がなんとも素敵で、かつうらやましく思えた。入場無料というのもいいはからいだ。

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アストンマーティン創立100周年記念イベント

これが英国流のアニバーサリーイベント

アストンマーティン一色に染まったすばらしき祝典 (2)

目玉は戦前のモデル

ヘリテージカーの目玉は戦前のモデルだ。現存する最古車「A3」や、グランプリ用につくられた「レーザーブレード」、エレガントな装いの「ツァラー」や「クローバー・リーフ」などが顔を連ねる。30年代のモデル、ル・マン以前のクルマがこれほど並ぶのは珍しい。


戦後は……、「DB4 GT ザガート」など数あるが、そのなかに我が目を疑うモデルがあった。1980年代のコンセプトカー、「ブルドッグ」だ。ガルウィングのスーパーカーをまさか実際に拝めるとは。実車がいまだ存在するとは、さすがである。

Aston Martin Centenary Celebration|アストンマーティン創立100周年記念イベント

Aston Martin Bulldog(1980)

Aston Martin Centenary Celebration|アストンマーティン創立100周年記念イベント

Aston Martin Bovis LM(手前)
Aston Martin DBR9(奥)

歴代レーシングカーがしっかり保存されているのも、このブランドならではだ。創業年の1922年から39年は、グランプリレースやル・マンに多くのモデルを送り込んだ。そして戦後は、グッドウッド、ミッレミリア、セブリング、シルバーストーン、ニュルブルクリンク、そしてル・マンとその活躍の場を広げる。そもそもレースをおこなうためにはじまったアストンマーティンのクルマづくりだが、そのイデオロギーは現代にも受け継がれている。


個人的に嬉しかったのは「DBR9」を間近で拝めたこと。LMPクラス以前、GTクラスで活躍する勇姿をサルテサーキットで目にしたことがあるからだ。やはり実体験というのは特別である。

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アストンマーティン創立100周年記念イベント

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アストンマーティン一色に染まったすばらしき祝典 (3)

アストン100周年と日本人

いっぽうで、そんな実体験とはまったく逆のクルマも数多く展示された。ボンドカーだ。先だって公開された映画『007 スカイフォール』で登場した「DB5」や、『慰めの報酬』でマシンガンで穴だらけになった「DBS」は、多くの人を集めた。やはり“ボンドカー=アストンマーティン”という図式は世界共通のようだ。『ダイ・アナザー・デイ』の「V12ヴァンキッシュ」もいい感じだった。


このほかにも会場では、ふたつのニューモデルが発表された。ザガートが100周年を祝ってつくった「DB9 スパイダー ザガート センテニュアル」と、「DBS クーペ ザガート センテニュアル」である。これはその名の通り各モデルをベースに、ザガートのチーフデザイナーである原田氏が線を描いたものだ。アストンマーティンのDNAにイタリアのエキゾチックさを取り入れた。


1960年からスタートした両社の関係だけに、いい雰囲気に仕上がっている。ちなみに、DBSクーペをオーダーしたのは日本人とか。アストンマーティン100周年アニバーサリーに少なからず日本人が関わっているのは鼻が高い。

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DB9 Spyder Zagato Centennial(手前)
DBS Coupe Zagato Centennial(奥)

Aston Martin Centenary Celebration|アストンマーティン創立100周年記念イベント

アストンマーティンを集めたイベントとしては史上最高の規模でおこなわれた今回の催しだったが、じつはその前日にもあきれるほど素敵な夜が用意されていた。それはロンドンの中心街フリーメーソンホールでおこなわれたパーティ。世界中のセレブがそれはまさにきらびやかな社交界の催しものだった。

入り口に飾られ、ライトアップされた100周年エディションの「ヴァンキッシュ」と「DB5」は、富の象徴のように思えた。タキシードを身にまとったジェントルマンとのマッチングは、さながら映画のワンシーンようである。


これが英国流のアニバーサリーイベント。いつか日本のメーカーが100歳になったとき、こんな素敵な誕生会ができることを心から願う……。

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