フォルクスワーゲン ポロ ブルーGTに試乗|Volkswagen
CAR / IMPRESSION
2015年4月6日

フォルクスワーゲン ポロ ブルーGTに試乗|Volkswagen

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT
エコもスポーツも満たすコンパクトハッチ

フォルクスワーゲン ポロ ブルーGTに試乗

フォルクスワーゲン「ポロ」に「ブルーGT」がくわわった。ダウンサイジング化された直列4気筒1.4リッターTSIエンジンに、ACTと呼ばれる気筒休止技術をはじめとする最新テクノロジーを組み込み、JC08モードで21.3km/リッターとポロファミリー中もっとも省燃費でありながらも、発生する最大トルクはGTIとおなじ250Nmを誇る。スペック上ではエコとスポーティを兼ねそなえるこのブルーGT、すでに海外試乗記も掲載済みであるが、国内導入を機にあらためて、日本の道で小川フミオ氏がためす。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ABE Masaya

無理のないエコを実現する、フォルクスワーゲンのテクノロジー

燃費と動力性能、ともに“自慢”という、オールマイティな「ポロ ブルーGT」が登場した。

市街地で使い勝手のいいサイズで、人気が高いフォルクスワーゲン(VW)ポロ。去る2013年9月10日に、その魅力をさらに拡大する車種が日本で追加発売された。それがブルーGT。「高い動力性能とポロ史上最高の低燃費の双方を兼備していることを最大の特徴」(フォルクスワーゲングループジャパン)と謳うモデルなのだ。

ブルーGTというサブネームがあらわしているように、このモデルの特徴は2つ。VWが得意とする環境燃費技術であるブルーモーション テクノロジーを、1.4リッター4気筒エンジンに採用していること。もうひとつは、高い動力性能を有するGTIなみのトルキーな過給エンジンと、しっかりした足まわりによる、高い運動性能だ。

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT

技術的に見るべき点としては、新型「ゴルフ TSIハイライン」とおなじ気筒休止エンジン1.4 TSI アクティブ シリンダー マネジメント(ACT)の採用があげられる。これがリッター21.3km(JC08モード)という燃費を実現している。その背景にはさらに、エンジンをはじめ各部の軽量化、そしてボディ各所に手をいれ空気抵抗値を減らすという技術の積み重ねが貢献している。

かといって、それが操縦性に悪い影響をあたえてはいない。自然吸気エンジンなら2.5リッタークラスに相当するトルクを1,500rpmから発生し、最高速は210km/hに達するとされるターボエンジンが、従来の「ポロ GTI」と「ポロ TSI」のあいだに入るこの新型の個性を際立たせている。

ドライブしての印象をひとことでいうと、いい意味でナチュラル。燃費技術をふんだんに採用しているが、どこにも無理がない。昨今のVWの高い技術力のたまものだろうが、まさにいま乗るべきクルマに仕上がっている。価格は263万円で、75パーセントのエコカー減税適用となる。

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT
エコもスポーツも満たすコンパクトハッチ

フォルクスワーゲン ポロ ブルーGTに試乗 (2)

演出の妙とオーナーの心をくすぐる装備

ブルーシルクメタリックと名づけられた専用色が用意されたポロ ブルーGT。見た目の雰囲気は、意外なほどアグレッシブだ。スポーツサスペンションを組み込まれ、車高はTSIにたいして15mm落ち、17インチホイールが迫力をつけくわえている。リアには、GTIのようにルーフスポイラーをそなえ、さらにディフューザー付バンパー、デュアルエグゾーストパイプなども目を惹く。

室内にはブルーを差し色にしたアルカンターラとファブリックを組みあわせたスポーツシートを採用。ドアを開けると、気持ちがたかぶる演出が上手だ。

GTエンブレム入りの革巻き3本スポークのステアリングホイール、グレーステッチ入りの革巻きハンドブレーキ グリップ。それにシフトノブなど、こういうところにもきちんとお金をかけているのが、オーナーの心をくすぐる。

日常的につきあうクルマだからこそ、接触する部分が大事だとよくわかっている。

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT

徹底した省燃費化

インタークーラー付きターボチャージャーをそなえた1,394cc 4気筒DOHCユニットは、140ps/4,500-6,000rpmの最高出力と、250Nm/1,500-3,500rpmの最大トルクをもつ。メカニズム的な特徴としては、さきに触れた気筒休止システムにくわえ、軽量化や高効率化があげられる。

アルミダイキャスト製のクランクケースをぜいたくに採用したことで従来の同排気量のエンジンにたいして22kgの軽量化。クランクシャフトやコネクティングロッドも設計変更で、20パーセント台の軽量化を実現している。さらに排気マニフォルドの設計変更で、熱効率の大幅な改善をおこない、省燃費化をはかっている。

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT
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フォルクスワーゲン ポロ ブルーGTに試乗 (3)

走り出してもかわらない印象

走りだしての印象も、最初の期待を裏切らない。メーカーの喧伝どおり、エンジンはトルキーで、全長4メートルに満たないコンパクトな4ドアボディをぐいぐいと引っ張る。250Nmの最大トルクはこのクルマにはじゅうぶんで、アクセルペダルを強く踏み込まなくても、驚くほどの加速力をみせる。そしてハンドルの操舵感は自然。中立ふきんから左右に少し切り込んだとき、クルマは反応よく向きを変えていく。この気持ちのよさもよい。

ポロ ブルーGTの操縦感覚は、ドライバーを選ぶものではない。自分はクルマの運転に熟達していないと考えているひとにも勧められる。いきなりスポーツカーはいきすぎかもしれないが、加減速や操舵において反応がよいクルマは、乗っていてラクだし、安全である。クルマを“着ている”という表現があるように、ぴったりと自分に合ったクルマがベストで、ポロ ブルーGTは、最適なパートナーになってくれるような気がする。

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT

ポロ ブルーGTはバランスのいいクルマだ。GTのサブネームのとおり、コーナリングでサスペンションはよく踏ん張る。軽い操舵感だが、路面とのコンタクトはしっかりとれている。この感覚はすばらしいとおもう。

握る個所によってグリップ径がちがう凝った造形のステアリングホイールは、気持ちよさだけでない。クルマの扱いやすさに貢献している。くわえて、車体の動きはゆるやかでコントロールしやすい。どんな道でも問題なく操縦を楽しめそうだ。

いっぽうで乗り心地は意外なほどよくて、スポーツサスペンションというわりには、路面の凹凸はよく吸収するし、突き上げも抑えられている。シャシーやシートのできもいいのだろうが、路面騒音も、エンジンノイズの、風切り音も抑えられ静粛性が高い室内にいると、りっぱな高級車と感じるほどだ。

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT
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フォルクスワーゲン ポロ ブルーGTに試乗 (4)

ポロ ブルーGTにみる、フォルクスワーゲンの狙い

ポロ ブルーGTはさきにも触れたように263万円というプライスタグを提げている。日本車だと、トヨタ「プリウス」と同じ価格帯だ。ここに近い将来世界でナンバーワンの自動車メーカーになる目標を掲げるフォルクスワーゲン グループの意図的な狙いを感じたりする。

なにしろ、ポロ ブルーGTの燃費は、リッター21.3km(JC08モード)。以前、同社では新型ゴルフ導入のさい、「高速道路走行が多ければ、ガソリンエンジンの優位性が生きて、プリウスより燃費がいいこともある」としていたように、ACTとVWが呼ぶ気筒休止システムを有効に使うことで燃料消費を劇的に引き下げようとしている。

2番目と3番目のシリンダーが休止するのは、エンジン回転数が1,400-4,000rpm、発生トルクが25-100Nmのあいだとされる。VWによると“欧州のドライビングサイクルのほぼ70パーセントをカバーする”領域だそうだ。気筒休止と再開に要する時間は1,000分の13-36秒だそうで、たしかに、4気筒と2気筒の移行を体感するのは難しかった。とても自然だった。

搭載される衝突安全装備は、ESP(エレクトリック スタビリゼーションプログラム)、ABS(アンチロック ブレーキングシステム) 、 ブレーキアシスト、パークディスタンスコントロール、オプティカル パーキングシステムなどだ。ポロ シリーズの中では、唯一クルーズコントロールが装備されたのも特徴である。

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT

乗ってからの結論としては、できのよいクルマで、誰も失望させることはないだろう、というものだった。

Spec|スペック

Volkswagen Polo BlueGT|フォルクスワーゲン ポロ ブルーGT
ボディサイズ|全長3,995×全幅1,1685×全高1,460 mm
ホイールベース|2,470 mm
トレッド 前/後|1,440 / 1,435 mm
重量|1,170 kg
エンジン|1,394 cc 直列4気筒 直噴DOHC インタークーラー付ターボ
最高出力| 103 kW(140 ps)/ 4,500-6,000 rpm
最大トルク|250 Nm(25.5 kgm)/ 1,500-3,500 rpm
トランスミッション|7段オートマチック(7DSG)
駆動方式|FF
タイヤ 前/後|215/40R17
燃費(JC08モード)|21.3 km/ℓ
CO2排出量(JC08モード換算値)|109 g/km
価格|263 万円

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