INTERVIEW|映画『セレステ∞ジェシー』の脚本・主演のラシダ・ジョーンズにインタビュー!
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2015年2月16日

INTERVIEW|映画『セレステ∞ジェシー』の脚本・主演のラシダ・ジョーンズにインタビュー!

INTERVIEW|女性のリアルな心理に迫る、全米大ヒットのラブストーリー
映画『セレステ∞ジェシー』

脚本・主演のラシダ・ジョーンズにインタビュー(1)

大物ミュージシャンであるクインシー・ジョーンズの娘、ハーバード大学卒の才媛、米ピープル誌が選んだ「世界で最も美しい女性」の一人、誰もが憧れる人生の持ち主──ラシダ・ジョーンズ。俳優のウィル・マコ―マックとタッグを組んで、2人とも新人脚本家としての初挑戦となったのが、ラブコメディー『セレステ∞ジェシー』である。5月25日(日)より全国ロードショー。映画の魅力、恋愛、仕事について、ラシダ・ジョーンズが語ってくれた。

Interview & Text by Winsome Li (OPENERS)Photographs (portrait) by JAMANDFIXHair & Make (portrait) by Kubo Mariko

離婚しても別れない!? アメリカで流行るモダンな恋愛事情を暴く

<『セレステ∞ジェシー』ストーリー>

セレステとジェシーは、学生時代に知り合って結婚。キャリアウーマンのセレステは充実した生活を送る一方、ジェシーは売れないアーティストで、マイペースに過ごす日々。彼のだらしなさに耐え切れず、セレステは離婚を決意した。永遠に親友でいられるように、2人は離婚を決めてからも一緒に暮らしている。しかし、あるジェシーの出来事から、2人の関係が思わぬ方向に展開する。

──『セレステ∞ジェシー』の脚本は何からインスパイアされましたか?

自分の経験からインスパイアされたシーンが多いですが、友達の話もいろいろ参考にしました。私のまわりに、セレステとジェシーのような関係を経験したカップルが多くいて、その関係をうまく続けられるケースが少なかった。実はモダンな恋愛事情だと思います。

──セレステとジェシーのように、離婚寸前にして親友のような関係をどう思いますか?

「これからの人生はこの人と歩んでいく」と決意して、結婚の道を選択した人が多いと思います。一緒に成長するうちに、それぞれ違う方向に変わっていく、考え方もズレが出てきて、夫婦としていれなくなる。でも家族のような存在だった相手とすぐに離れられなくて、夫婦の関係を捨てても親友のままで居続けるという新たな関係を見つける。でも結局は互いのことを傷つけるだけです。 一度本気で離れないと、ズレた関係は修復できないと思います。

──離婚したカップルは友達になれると思いますか?

時間と距離をおいて、お互いとも新しい人に出会ったら可能性はあるかもしれないですが、離婚してすぐに友情に転換するのは無理だと思いますね。

『セレステ∞ジェシー』 02

『セレステ∞ジェシー』 03

──自分と他人の行動に「正しい」と「間違い」を厳しくジャッジするシーンがありました。何を伝えたかったのでしょうか?

それは1つの大きなテーマです。映画のなかで、セレステが新しく出会ったポールは「自分に素直でいたい? それとも、幸せになりたい?」とセレステに聞きました。セレステは自分らしく、正しく生きていれば幸せになれるとずっと思い込んでいましたが、現実にはその正しさが、幸せの邪魔すると思います。

──ご自身の性格はセレステに似ていると思いますか?

悲しいけど似ています。私はセレステほど気難しくはないけど、物事の正しさに執着がありました。成長の一部だと思いますが、年を重ねるほどに、他人の行動に気にならないようになりました。

INTERVIEW|女性のリアルな心理に迫る、全米大ヒットのラブストーリー
映画『セレステ∞ジェシー』

脚本・主演のラシダ・ジョーンズにインタビュー(2)

──ラシダさんの恋愛経験を教えてください。

離婚の経験はないのですが、婚約者と別れたことがあり、とても悲しかったです。まだお互いのことが好きだったけど、私たちのタイミングが悪かったんですね。セレステとジェシーもタイミングに左右され、それぞれが違うときに互いに未練がありましたし、すべてはタイミングですね。

──『セレステ∞ジェシー』の中で印象的なシーンは?

やはりバーの外でのジェシーとの喧嘩のシーンですね。ジェシーを演じるアンディ・サムバーグとは長年の付き合いで、役者として、親友としてもこんな風にお互いに激しく言い合うことはなかったです。リアルに演じるには思い切ってやるしかないと思いました。撮影は心が痛むほど悲しかったけど、役者としてはとてもいい経験で、自分でも誇れる芝居ができました。

──映画の中にセレステとジェシーはいつもお別れのときに、腕を交差させるようなジェスチャーをしていましたが、それは誰のアイデアですか?

私とウィルの2人ですね。セレステとジェシーの間に、なにか2人だけの暗号みたいな、インサイドジョーク的なものがほしくて、このジェスチャーを考えました。彼らは学生時代からの付き合いで、若いときにやっていたばかばかしいしぐさを、大人になってもやり続けている。10代からの恋愛関係はずっと成長していない、という暗喩です。

『セレステ∞ジェシー』 05

© C & J Forever, LLC All rights reserved.

『セレステ∞ジェシー』 06

© C & J Forever, LLC All rights reserved.

──映画の音楽製作には参加されましたか?

今回の音楽製作を担当したのは私の甥っ子のサニー・レヴィンと、彼のパートナーのザーチ・カーウィーです。主人公の感情を表すために、ふさわしい音楽を使うことが重要です。とくにインディペンデント映画の音楽は、時代性が強いものが多くてその映画に制限がかかってしまう。『セレステ∞ジェシー』のサウンドトラックはいつになっても聞きたくなるようなものを目指して作りました。

──挿入曲の「リトレスト・シングス」はリリー・アレンさんのものですね。

実は元婚約者(マーク・ロンソン)がプロデュースした作品で、私がずっと好きだった曲です。彼といまは友達ですが、その曲が主人公の感情を伝えてくれる気がします。

──脚本の制作で大変だったことは?

一番大変だったのは、「詳しく表現しすぎないようにすること」ですね。詳しく言い過ぎないほうがいいので、すべてを説明しなくても観客は分かってくれると信じながら、脚本を何度も修正したり、シーンを削ったりしました。

──これからも脚本家を続けたいですか?

そうですね。脚本を書くことは仕事の大部分を占めることになりそうです。次回はラブストーリーではなく家族を題材にしたいですね。今回脚本を一緒に作ってくれたウィルと他のものを進めているので、近いうちに新しい作品を作れたらいいなと思っています。

『セレステ∞ジェシー』 07

『セレステ∞ジェシー』

5月25日(土)渋谷シネクイントほか全国ロードショー

監督|リー・トランド・クリーガー

脚本|ラシダ・ジョーンズ、ウィル・マコーマック

出演|ラシダ・ジョーンズ(セレステ)、アンディー・サムバーグ(ジェシー)、イライジャ・ウッド、エマ・ロバーツ

配給|クロックワークス

2012年/アメリカ/カラー/92分

celeste-and-jesse.com

           
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