アヴェンタドール ロードスターに試乗|Lamborghini
Car
2014年12月5日

アヴェンタドール ロードスターに試乗|Lamborghini

Lamborghini Aventador LP 700-4 Roadster|
ランボルギーニ アヴェンタドール LP 700-4 ロードスター

アヴェンタドール ロードスターに試乗

ランボルギーニ伝統のミッドシップオープンスーパーカー。その最新モデル「アヴェンタドール ロードスター」が、ランボルギーニ創業50周年という記念すべき年の幕開けを告げる。

Text by NISHIKAWA Ju

猛牛ミッドシップ オープンの系譜

なんと豪勢なアペリティーボ(食前酒)だろうか。

ランボルギーニのフラッグシップ「アヴェンタドール LP700-4」のロードスターバージョン、ついに発進……

創立50周年の祝祭を前に、ファイティングブルが自ら放った祝砲の第一弾、というわけである。マイアミ ホームステッドレースウェイを起点に開催されたインターナショナルダイナミックローンチ(国際試乗会)に参加した。

ランボルギーニの12気筒ミドシップロードスターの歴史は、たった一台のみつくられたショーカー「ミウラ ロードスター」にまで遡ることができる。

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

アヴェンタドール ロードスター

Lamborghini Miura Roadster|ランボルギーニ ミウラ ロードスター

ミウラ ロードスター (1968年)

ファンのあいだではよく知られているように、「アヴェンタドール ロードスター」のイメージカラー、アズッロ・テティス(ライトブルーメタリック)は、そのミウラ ロードスターのボディカラーがモチーフになった、と公式には説明されている。

もっとも、マニアに言わせると、ミウラ ロードスターにまでその歴史を遡ろうというのは、少々ムリがあるというもの。

ここは素直に、「ディアブロ ロードスター」をその初代に仰ぎ、「ムルシエラゴ ロードスター」から新型アヴェンタドール ロードスターへとつらなる3世代を、市販の猛牛ミドシップオープンの系譜としたい。

Lamborghini Aventador LP 700-4 Roadster|
ランボルギーニ アヴェンタドール LP 700-4 ロードスター

アヴェンタドール ロードスターに試乗(2)

横倒しにして走りたい

それにしても、ドラマチックなスタイリングである。

オープンにすると、トップ位置がクーペにくらべて25ミリも下がる。ただでさえ低くかまえた車体が、よりワイド&ローに地面を這う。

トップビューも圧巻のひとこと。

スパイナルコラムとヘキサゴンウィンドウを組み合わせたエンジンフードと、それを取り巻く、まわりの新デザインは、カーボン繊維やガラス繊維を使った樹脂製パーツならでは。

できることならば横倒しにして走らせたいほどで、クーペユーザーが口惜しくなるほどに、エキセントリックで格好いい……

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

トップは、2分割“手動”取り外し式のハードパネルとした。パネルには、鍛造コンポジットを高圧RTM成型のCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)パネルでサンドイッチするという最先端の技術が採用されている。

スーパーカーはもちろん、小型車だって電動ハードルーフオープンを採りいれる今の時代に、自分でパネルを取り外してオープンにするんだって? そういぶかしんだ方も多いはず。

もちろん、これには理由があった。ひとつには、クーペ以上のデザインアピールを実現するためには、それが最適な手法であったということ。もうひとつは、電動化による重量増がもたらすダイナミックパフォーマンスへの悪影響を嫌ったこと、である。 

Lamborghini Aventador LP 700-4 Roadster|
ランボルギーニ アヴェンタドール LP 700-4 ロードスター

アヴェンタドール ロードスターに試乗(3)

クーペに劣らぬハイスペック

オープン化にともなって強度が多少なりとも落ちることから、ボディやシャシーまわりにも若干の仕様変更がほどこされている。

アヴェンタドールには、そもそも強固なCFRPモノコックボディが採用されており、それが最大の技術的な見どころだといえた。もちろん、設計当初から将来のオープン化も想定されている。

それでも、ルーフを開けたことによって、強度不足が生じてしまう。クーペと同等のパフォーマンスを実現させるために、サイドシルやピラーのカーボン構造を強化し、スプリングやアンチロールバーといったアシまわりのセッティングも、ややコンフォートよりに再チューニングされた。

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

パワートレインはクーペとまったくおなじだ。もちろん、7段シングルクラッチ「ISR」システムは日進月歩をみせており、初期モデルと比較すれば、ノーマルモードやコルサモードでのスムースさが際立っていた。

前述したボディまわりの強化や、転倒時対策のポップアップ式ロールオーバーバーの設置などによって、クーペ比およそ50kgの重量増となったが、パフォーマンスの劣化はごくわずかだ。0-100km/h加速で3秒フラット、最高速度は350km/hという数値が、クーペと変わらない高性能ぶりを証明している。現在、注文すれば誰でも買えるなかで、最速のロードスターだろう。

スーパーカーでもエコ対策

絶対的なパフォーマンスもさることながら、注目しておきたいのは、MY13(20013年型)のアヴェンタドールから、クーペ/ロードスターともに、気筒休止システムとアイドリングストップが採用されていることだ。

スーパーカーであっても、可能なかぎりの“エコ対策”は必要。否、高価なクルマだからこそ、あたらしい技術を積極的に導入して試すという役回りが、さらに求められる時代になりつつあるのかもしれない。その作動の様子も、のちほど、詳しく報告してみたい。

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

Lamborghini Aventador LP 700-4 Roadster|
ランボルギーニ アヴェンタドール LP 700-4 ロードスター

アヴェンタドール ロードスターに試乗(4)

まずはサーキットで

まずはダイナミックパフォーマンスの印象から語ってみよう。サーキットでルーフを付けたまま、ハイスピードドライビングを楽しんでみた。

走り出してまず感心したのは、ボディがまるで弱音を吐かないことだった。クーペとまるで遜色なく、ミシリとも言わない。どころか、クーペより運転しやすくなっている、とおもった。

わずかに柔らくなったアシまわりによって、ハンドルを切ったときにタメが生まれて、頭(ノーズ)の動きがだんぜん掴みやすいうえ、アクセルを踏みはじめるタイミングもわかりやすくしてくれるから、シロウトドライバーには、むしろ有り難いというわけだ。

要するに、ハンドルを切ったり、アクセルを踏んだり、何をするにしても、クーペよりキッカケをつかみやすい。

動きのダイレクト過ぎるクーペは、えてして扱いづらい場面も多かったけれども、ロードスターでは全域において神経質にならすぎずにすんだ。

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

オススメはスポーツモード

振り回して走らせることをある程度までゆるして、変速時間も十分に短く、ブリッピングサウンドも盛大な“スポーツモード”が、サーキット走行でもオススメである。より速く走らせるための“コルサ(=サーキット)モード”もあるが、オンザレールで安定して速い、というだけだから、何だかつまらない。“ストラーダ(=ストリート)モード”でサーキットを走ることは、変速ももたつき気味で、有り余るパワーをレスポンスよく使えないため、逆にストレスになる。

もっとも魅力的な乗り方は?

クローズドで走る際のオススメ、否、ひょっとするとロードスターでもっとも魅力的な乗り方を紹介しておこう。それは、電動リアウィンドウを下げ、“スポーツモード”にして走ること、だ。

慎重に設計されたエグゾーストシステムをつうじて、ドライバーの背後から、大排気量V12自然吸気エンジンの奏でる揚々なサウンドが流れこんでくる。それが、強固なCFRPキャビンに響きわたって、咆哮のシンフォニーを奏でるのだ。

シフトダウン時の盛大なブリッピングサウンドや、迫力の吸気サウンド、そして豪放磊落なエグゾーストノートを満喫すればするほど、なるほどスーパーカーの醍醐味は絶叫サウンドにこそあったな、と、あらためて納得せざるをえない。

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

Lamborghini Aventador LP 700-4 Roadster|
ランボルギーニ アヴェンタドール LP 700-4 ロードスター

アヴェンタドール ロードスターに試乗(5)

公道をオープンクルーズ

ホームステッドレースウェイから宿泊先のマイアミのサウスビーチはホテルWまで、ド派手なグリーンメタリックのロードスターを駆り、オープンクルーズも試してみた。

ここでもカーボンボディは弱みをまったく見せなかった。むしろ、クーペの隙のないしっかり感=力みもわずかに抜けて、突っぱりの減ったアシがよく動いてくれる結果、快適な乗り心地であるとさえおもった。

風の巻き込みも、サイドウィンドウさえ上げておけば、アメリカの速度制限内(時速55マイル=80km/h)なら、皆無にひとしい。マイアミの陽光と風が、ただただ、頭上に心地よかった。

エコ装備のふるまいは?

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

アイドリングストップ(ストラーダモードのみ、気筒休止も同様)の作動もまったく問題ない。エンジンの停止はもちろんのこと、スーパーキャパシタを電源とする素早い再始動時もショックの類はまるでなく、十分、日常利用にたえる。

気筒停止もまた、12気筒→6気筒→12気筒という作動シリンダーの変化を振動などで感じることはなかった。6速以下でアクセルペダルをほとんど踏まずに進むようなクルージング状態になると、エンジンサウンドが、“ボボボボーッ”とやぼったくくぐもった音に変わる。

すかさずインジケーターが点灯して、“ただいま6発ドライブ中”であることを教えてくれた。

十分に低速(50、60km/h/1,200rpm以下)で、しかも7速に入っている状態では、むしろ気筒休止は起動しない。

これぞスーパーカーだ

その日、マイアミは日曜だった。

目ぬき通りのオーシャンドライブは、あいにくの大渋滞である。けれども、海岸沿いの歩道やホテル沿いのカフェからの視線を一心に集めるロードスターに“座って”いれば、たった1ブロック進むのに5分もかかるノロノロ運転だって、かえって晴れがましい。

スーパーカーはかっ飛ばすだけが取り柄じゃない。

ゆっくり走っていても、気分が盛りあがる。乗って楽しいだけならスポーツカー。見て見せても幸せな気分になれる。それこそがスーパーカーの条件、というものだろう。

ランボルギーニ社設立、50周年。早くも、次なる祝砲への期待で、胸がめいっぱい、ふくらんだ。

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター

spec

Lamborghini Aventador Roadster|ランボルギーニ アヴェンタドール ロードスター
ボディサイズ|全長4,780×全幅2,030×全高1,136 mm
ホイールベース|2,700 mm
トレッド 前/後|1,720 / 1,700 mm
最小回転半径|6.25 メートル
重量|1,625 kg
エンジン|6,498 cc 60°V型12気筒 DOHC 48バルブ
圧縮比|11.8±0.2 : 1
ボア×ストローク|95×76.4 mm
最高出力| 515 kW(700 ps)/ 8,250 rpm
最大トルク|690 Nm/ 5,500 rpm
トランスミッション|7段ISR(シングルクラッチ セミオートマチック)
駆動方式|MR
サスペンション 前|プッシュロッド・システム付きホリゾンタル・モノチューブ・ダンパー
サスペンション 後|プッシュロッド・システム付きホリゾンタル・モノチューブ・ダンパー
タイヤ 前/後|255/35ZR19 / 335/30ZR20
最高速度|350 km/h
0-100km/h加速|3.0 秒
燃費(NEDC値)|16.0 ℓ/100km
CO2排出量|370 g/km
燃料タンク容量|90 ℓ
車両価格|4,660万3,200 円(税込)

           
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