GIORGIO ARMANI|作曲家・荻野清子が着こなすジョルジオ アルマーニ
FASHION / MEN
2015年5月22日

GIORGIO ARMANI|作曲家・荻野清子が着こなすジョルジオ アルマーニ

GIORGIO ARMANI|ジョルジオ アルマーニ

ブレない強さとクリエイティビティ、そしてフェミニニティの競演

作曲家・荻野清子がジョルジオ アルマーニを着こなし、語る(1)

作曲家として、女性として。今回ジョルジオ アルマーニを着こなしてくれたのは作曲家・ピアニストの荻野清子(おぎのきよこ)さん。撮影で着こなした洋服のことから、作曲家としての活動についてまで語ってくれた。

Photographs by JAMANDFIXStyling by ISAKA Megumi(dynamic)Hair&Make-up OKADA Tomoko(A.K.A.)Edit by NAKAMURA Akiko(OPENERS)

日本アカデミー賞受賞のときに選んだ、ジョルジオ アルマーニ

その場にいるひとたちをふわっと優しい気分にさせるようなフェミニンで可憐なたたずまいと、ブレない芯の通ったパーソナリティ、そしてスパークするようなクリエイティビティの共存――今回ジョルジオ アルマーニを着こなしてくれた荻野清子(おぎのきよこ)さんは、作曲家、ピアニストとして、舞台、映画、ドラマ、CM等の音楽を中心に活動している女性だ。

三谷幸喜監督作品の映画『ザ・マジックアワー』で第32回日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞、映画『ステキな金縛り』で第35回日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞、現在放映中のNHK連続テレビ小説『純と愛』の音楽も手掛けるなど、近年の活躍も華々しい。

その荻野さんが、日本アカデミー賞音楽賞受賞のさいに着用したのが、ジョルジオ アルマーニだったことから、今回の撮影とインタビューが実現した。

「映画『ザ・マジックアワー』で日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞したときに着たのが、アルマーニ コレツィオーニの白のスーツだったんです。ファッションに詳しい昔ながらの友人に買い物に付き合ってもらって、いろいろ試着してみて、これがいいね、となって。それもあって、つぎの『ステキな金縛り』での受賞式のときには“バージョンアップしよう”ということで、ジョルジオ アルマーニで選びました。シンプルに見えるけれどラインがとても綺麗で、“ただ立っているだけでも絵になるよ”と言われて。自分自身でもとても綺麗な服だなと思い、即決でしたね」

GIORGIO ARMANI|ジョルジオ アルマー|荻野清子 02

作曲家・荻野清子さん

そのときに荻野さんが選んだのは、マオカラーにアシンメトリーなフロントデザインなど、オリエンタルな雰囲気のあるスプリングコート。コートだったが、あえてロングジャケット風に、上からベルトでウエストマークしたのだという。

「大きな受賞式のような場所だと、男性はカチッとスーツを着るし、女優さんはみなさんドレスを着る。私はどちらかというと裏方の人間なので、そんなに華美な恰好はできないというのもありますし。ただ、ふつうのスーツだと地味になってしまうので、もう少し華やかなものがいいなぁと思いながら探していたときにショップの方にお薦めされて、とてもしっくりきたんです。私もそのときちょうど、ショーウインドウに飾られているのを見て、かわいいなぁと思っていて」

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荻野清子さん。撮影中も、いくつか曲を披露してくれた。

必要なのはパーソナリティ──そのうえでの洋服

パーソナリティに合ったスタイリングをすること──そういう意味で、今回の撮影で荻野さんに着こなしてもらったコーディネイトも、まさにそれに当てはまる。ランウェイではふつうにパンツスーツとして登場しているコーディネイトを、あえて“舞台でドレスアップして演奏するとき”という設定でスタイリングしてもらった。

「ピアノを弾くとき、袖がきつかったり長すぎたりすると、それが縛りになってうまく演奏できなかったりするのですが、1コーディネイトめのジャケットはちょうど良かったです。いろんな意味で心地よく──ここがけっこう大事なのですが──なんのストレスも感じず、とても楽でした。長い丈のものや燕尾服だと、テールの部分が気になってしまったりしますが、今日くらいのやわらかい生地だとそんなことも気にならず、ピアノを弾くにもすごくいいジャケット」

「ドレープ感」はジョルジオ アルマーニの服の特徴のひとつだが、荻野さんが着こなしてくれたこのスーツは、ベルベットに細く畝の入った生地で、見た目では想像し得ない柔らかさを実現したアイテムだ。

「今日着たなかで、個人的に好きだったのは、2コーディネイトめに着た、きゅっとコンパクトなジャケットとバミューダパンツの組み合わせ。ベルベット素材にリボンモチーフがついて、とてもかわいかったです。3コーディネイトめに着たレザージャケットのようなコーディネイトは、稽古場に行くようなときによくします。デイリーに着こなすのにぴったり」

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GIORGIO ARMANI|ジョルジオ アルマーニ

ブレない強さとクリエイティビティ、そしてフェミニニティの競演

作曲家・荻野清子がジョルジオ アルマーニを着こなし、語る(2)

ふだん、舞台に立つときなどの衣装についても伺った。

「ちゃんと衣装担当の方がいて、決まったものを“着てください”と言われるときもあるし、なんでもいいから黒っぽいものを、と言われるときもあります。その演目によってそれぞれですね。今まで着たなかでいちばん好きだったのはタキシード。女性ってタキシードを着こなすチャンスはそんなにないと思うのですが、周りにも好評でしたね(笑)。パーソナリティが想像できるような衣装も楽しいですね。先日の例だと“『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアのイメージで先生みたいな恰好を”というお題のあるときがあって、それは本当におとぎの国に出てくるようなスタイリングに仕上がって、楽しかったですね」

音楽から役柄が想像できることもあるし、逆に役柄のパーソナリティや身に着けるものからインスピレーションを得て、音楽が浮かんでくることもあるのだという。

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「舞台の新作って、稽古しているあいだには台本がすべてできあがっているわけではないことが多くて。役者のみなさんも、ちょっとしたヒントを探しながら役づくりをしていくのですが、私もみなさんの佇まいや、衣装さんの描いたラフスケッチなどから登場人物をイメージして曲を作ることがありますね。

女性として作曲家という職業を選び、また選ばれ、活躍している人物というものは、存在はするがやはり数は少ない。もともと荻野さんが作曲という道へ惹きつけられ、進んできた経緯というものはどこにあったのだろうか。

「子どものころから映画音楽が好きでしたね。両親が映画音楽特集というようなLPをよく聴いていて、私も大好きで。『大脱走』や『ロミオとジュリエット』や、西部劇系のもの、それにポール・モーリアなどもよく聴いていました。小さなころから音楽教室に通っていて、そこで作曲のレッスンもあったというのも大きいかもしれませんね。楽譜どおりに弾くのではなく、自分なりにアレンジして好きなように弾くことも、とても好きでしたし。最初に触れた楽器がエレクトーンだったので、ムードミュージックに触れるタイミングが多かったというのもあります」

“作曲すること”“作りあげること”への真摯さ

女性として、作曲家としての前線にいることについてもこう語る。

「作曲家は、男性の方が圧倒的に多いですし、この世界は男性社会ではあります。曲を作るということは本当に孤独な戦いですし、夜中の作業になることも多いし、追い込まれることも多いし、体力や精神的にタフじゃないとできない。実際に曲を作ったあとも、現場にそれを持って行き、大勢いるミュージシャンたちに指示を出していかないといけない。いろんな意味で、ひとりで戦っている時間が多いです。それに自分が耐えながら──耐えられているのかは分からないですけれど──ひとつの曲や作品を作り上げていくということは、結構きつい作業だとは思います。でも私の場合は、それを越えた先の出来上がったものに対して、“いい曲だね”と言ってくださる方がいると、一気にそれまでの苦労が消えてなくなる。もうやめようって何度も考えたりもしますが(笑)、またやろう、また曲を作ろう、って思えるんですよね」

創造することに対するストイックな姿勢、徹底した完璧さを目指すそのアティチュードは、デザイナーであるジョルジオ・アルマーニ氏にも通ずるものがある。

「作曲するときには家に引きこもるのですが、そのようすは多分ひとにはお見せできません(笑)。曲づくりに集中して、のってくると徹夜することもままあるので、それが終わったときにいつでも睡眠に入れるような恰好ですし。徹夜していると眠たくなることもあるけれど、集中しているのを途切れさせたくないので、“寝ちゃダメ!”と自分でビンタして、眠らないようにしたり……(笑)」

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ストイックな仕事ぶりながら、話しぶりはあくまでもチャーミング。そこにまた、芯がありながらもしなやかな感性をもった荻野さんの人柄というものが浮き彫りになるかのようだ。

作曲家として、クリエイターとして。目指すところはまだまだ先を見つづけている荻野さん。いまの夢についてもこう語ってくれた。

「オリジナルで大きなミュージカルというものを作ったことがないので、世界な通用するようなミュージカルを作ってみたいですね。それをいつかブロードウェイで公演できれば、すてきだと思います」

荻野清子|OGINO Kiyoko
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。作曲家・ピアニスト。舞台、映画、ドラマ、CM等の音楽を中心に活動。ミュージカルやコンサートで演奏活動もしている。映画『ザ・マジックアワー』で第32回日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。映画『ステキな金縛り』で第35回日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。音楽を担当したNHK連続テレビ小説『純と愛』も放映中。

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