Panasonic|ミラノサローネ「Photosynthesis ― 光合成 ―」現地リポート
DESIGN / FEATURES
2015年4月20日

Panasonic|ミラノサローネ「Photosynthesis ― 光合成 ―」現地リポート

Panasonic|パナソニック

巨大なパビリオンが一本の樹木のように光合成をする

「Photosynthesis ― 光合成 ―」現地リポート

今年でミラノサローネ5回目の出展となるパナソニックは、ミラノ大学をステージに衝撃的なインスタレーション「Photosynthesis - 光合成 -」を発表した。現地を訪れたアタッシェ・ド・プレス、デイリープレスの川村美帆さんがレポートする。

Text by KAWAMURA Miho (DAILY PRESS)

中庭と四方を囲む回廊が「Photosynthesis」の会場

例年にくらべ雨が多く寒い日がつづく4月のミラノ。そんななか、4月17日からはじまったミラノサローネの初日は、久しぶりに青空が広がり、気持ちのよいスタートとなりました。

今年で5回目の出展となるパナソニックは、建築家 平田晃久氏と組み「Photosynthesis - 光合成 -」をコンセプトに、循環可能なあたらしいエネルギー時代に向け、パナソニックのもつエネルギーマネージメントの概念を生体循環系の起点である植物の「光合成」になぞらえてインスタレーション展示を発表しました。

会場は15世紀の建築物としてミラノの重要建築のひとつであるミラノ大学。毎年INTERNI主催のイベントが開催され,フォーリサローネのなかでも注目の会場のひとつです。ミラノ大学はかつて修道院や病院として使われており、当時薬草園だった“コルティーレ・ファルマチア”という中庭と四方を囲む回廊が「Photosynthesis」の会場となります。

細い通路を通り会場に入ると、趣のあるレンガ造りの回廊に囲まれた中庭に、太陽光パネルと透明なポリカーボネートでできた大きなパビリオンが登場。このパビリオンが一本の樹木のように「光合成」をします。

ミラノサローネ2012|パナソニック 03

ミラノサローネ2012|パナソニック 05

樹々の葉っぱのようにさまざまな方向を向いているパネルが、太陽光を浴びてエネルギーを創り出し、ここで生み出されたエネルギーが養分をためる実のように蓄電池に蓄えられ、それらが回廊に送り出されます。回廊には、LEDや有機ELといった照明がエネルギーをセーブしながら花のようにキラキラと輝くという流れで会場全体を使って循環をあらわしています。

日中は太陽の光を浴びてイキイキと発電するパビリオン、透明なポリカーボネートに太陽光が反射し虹のような美しい輝きを放ち、中庭の植物や趣のある建物が映り込みます。日がしずむにつれ、パビリオンは眠りにつくように徐々に存在感を弱め、今度は回廊や地面に散りばめられたLED照明がキラキラと輝きを増していく。その輝きがパビリオンに映りこみなんとも幻想的な空間をつくりだします。昼と夜ちがった表情をもつこの空間で、自然と人工、歴史と現代、そして最先端のテクノロジーとが入り混じる光景を見ることができます。

太陽光パネルと聞くと、屋根の上や広大な敷地に平面的に敷き詰められるものを想像しますが、それを植物にたとえると地面を覆うコケや芝のような植物。自然界には樹木のように3次元に立体的に葉っぱをもつ樹木も存在します。であれば、3次元的な「葉」の配置をもったあたらしい樹木のような「種」があってもよいのではとの考えでつくられた今回のパビリオン。

樹木の下に草木が育ち、木陰でひとや動物がからだを休めるように、この人工物の下にも光や陰が落ちておなじように、自然と共存することができます。実際の会場でも小鳥がパビリオンの近くで戯れ、パネルの葉でやすんでいる様子をよくみかけました。効率だけを考えるのではなく、このように自然と人工物が互いに関係し合い共存する豊かな未来を感じられる展示となっています。

ミラノサローネ2012|パナソニック 06

ミラノサローネ2012|パナソニック 07

オープニングを終え、会場構成をおこなった平田氏は、今回の展示をとおして来場者に、「太陽の光、人工の光に対しての見方を変えて、光のさまざまな形を感じてほしい。エネルギーを創ること、使うことを理屈ではなく、光や風景として感じて体験してほしい」と話していました。

会期中は、雨の日も多かったにもかかわらず、毎日大勢の来場者があり、リピーターも多く、太陽の位置や天候によって、自然の光と人工の光を受けいろんな表情を見せる空間をゆっくりと楽しんでいる様子でした。

その昔、薬草園だったころ、先人たちがさまざまな思いを馳せ未来を考えながら歩いていたであろう歴史的な回廊を、今回はPhotosynthesisの展示を体感して、持続可能な豊な未来に向け、あたらしいエネルギー循環について考えをめぐらせながらゆっくり回ってもらったらと思っています。Photosynthesisは4月28日まで開催しています。

「Elita Design Awards」のグランプリを受賞!

パナソニック展示「Photosynthesis」が、フォーリサローネ(ミラノ市内展示:約500会場)のなかからベストインスタレーションを選ぶElita Design Awardsのグランプリを受賞した。
この賞はフォーリサローネ関係者およびデザイン学校関係者来場者がもっとも感動したインスタレーションにあたえるもので、Elita FestivalとIED(European Institute of Design)とFuorisalone.itとFuture Concept Labのパートナシップによって昨年から発足したアワードとなっている。

elita design awards
http://fuorisalone.it/2011/specials/design_award

ミラノサローネ2012|パナソニック 09

パナソニック「Photosynthesis」
「INTERNI LEGACY」会場
会期|2012年4月16日(月)~22日(日)9:00~24:00(展示説明時間 11:00~21:00)
2012年4月23日(月)~28日(日)9:00~21:00
INTERNI LEGACY
Università degli Studi di Milano: Cortile Farmacia
インテルニ ミラノ大学内 (コルティーレ・ファルマチア)
via Festa del Perdono, 7 - Milano

パナソニック ミラノサローネ2012 スペシャルサイト
http://panasonic.net/milanosalone

パナソニック
お客様ご相談センター
0120-878-365(受付9:00~20:00)

           
Photo Gallery