Van Cleef & Arpels|ジュネーブサロン総力レポート!
WATCH & JEWELRY / SIHH&BASEL
2015年3月25日

Van Cleef & Arpels|ジュネーブサロン総力レポート!

Van Cleef & Arpels|ヴァン クリーフ&アーペル

「ポエティック コンプリケーション」に待望の新作

精密機械であると同時に、至高の宝飾芸術品である。時計専業ブランドの製品にはない「ヴァン クリーフ&アーペル」の腕時計の魅力はこの点にある。「ポエティック コンプリケーション」のシリーズは、まさにそれを体現するもの。今年も魅力的な新作が登場した。

Text & Event Photographs by SHIBUYA Yasuhito

世界最高峰の宝飾メゾンであると同時に、時計の世界では2006年以降、ロマンティックなストーリーを複雑機構で表現する「ポエティック コンプリケーション(詩的な複雑時計)」という画期的なコンセプトを打ち立て、時計愛好家からも目の離せない存在となった「ヴァン クリーフ&アーペル」。

今回の新作は、07年、ゆりかごで眠る赤ちゃんに妖精が「幸福と愛と喜び」をプレゼントするシーンを、レトログラード機構で表現した「レディ アーペル フェアリー」で始まったストーリーの最新バージョン。翌08年は、24時間かけて1回転する文字盤で、その女の子が成長しパリを散歩する姿を描いた「レディ アーペル ジュルネ ア パリ」に発展。さらに2010年にこの少女は青年と恋に落ち、セーヌ河にかかる橋の中央で、毎日0時と12時にキスを交わす――その様子をレトログラード機構で描いた「レディ アーペル ポン デ ザムルー」と展開してきた。

今回「ポエティック ウィッシュ」の名で発表されたレディスとメンズ2本のモデルは、この少女と青年のその後を描いた続編だ。これまでの一連のモデルとの最大の違いは、組み込まれた複雑機構の飛躍的な進化。従来のダブルレトログラード機構による時分表示を超えた、3つオートマタ(自動人形)による時刻表示と、5分単位で現在時刻を妙なる音で知らせる「5ミニッツリピーター機構」が搭載されているのだ。つまり、発展するロマンスがさらに贅沢な仕掛けと、芸術的な伴奏で彩られるようになったのである。

今回の新作モデルでは、ストーリーはまだ発展の途中。いささか気が早すぎるが、この次を想像する楽しみもこの腕時計にはある。

Van Cleef & Arpels|ヴァン クリーフ&アーペル 01

「“ミッドナイト ポエティック ウィッシュ” ウォッチ」

流れ星に願いを託す、恋する青年の姿

ノートルダム寺院の塔の上からひとり、いまは離れ離れの恋人のことを想ってエッフェル塔を望む青年。流れる雲、そして彼の願いを乗せてエッフェル塔の方向に進む流れ星の姿を、複雑機構を使って描いた「ポエティック ウィッシュ」コレクションのメンズモデル。2時位置のリュウズを操作すると、塔のテラスに立つ青年がダイヤルの中央に向かってゆっくりと進み、時を示す正確な目盛り位置で立ち止まる。同時にマザーオブパールの小さな雲が同じ水平線の上を進み、両者が出会うと5ミニッツリピーター機構によるノートルダム寺院の鐘の音が響く。その次にダイヤモンドがセッティングされた流れ星が雲の後ろから現れて、分を示す仕掛けである。ムーブメントはこのモデルのために、独自に開発されたもの。

手巻き、ホワイトゴールドケースに合計5.4カラットのバゲットカットダイヤモンド、ケースサイズ直径43ミリ。5313万円(予価)、受注生産。


Van Cleef & Arpels|ヴァン クリーフ&アーペル 02

「“レディ アーペル ポエティック ウィッシュ” ウォッチ」
空飛ぶ凧に、想いを乗せる乙女

恋人のことを想ってエッフェル塔の上からノートルダム寺院の方向を見下ろす乙女。流れる雲、その願いを乗せてノートルダム寺院に向かう凧の姿を、メンズモデルと同じメカニズムで描いたレディスバージョン。メンズモデルも同様だが、文字盤上のパーツは最高峰の職人によるゴールドの細密装飾、ミニアチュールペインティング、彫刻加工したクリスタルやマザーオブパールがきらめいている。そしてベゼルにセッティングされるダイヤモンドは、カラーグレードDEFクラス&クラリティグレードVVSというクオリティ。最高峰のジュエリー作品としての価値を備えている。

手巻き、ホワイトゴールドケースに合計3.4カラットのダイヤモンド、ケースサイズ直径39ミリ。4578万円(予価)、受注生産品。


Van Cleef & Arpels|ヴァン クリーフ&アーペル 03

「ピエール アーペル ウォッチ 38mm」
伝説の紳士の名を冠した、伝説のメンズウォッチ

ヨーロッパを代表する実業家であり、第二次世界大戦後、クリエイティブ・ディレクターのような存在として、現在のヴァン クリーフ&アーペルの栄光を築く立役者となったピエール・アーペル。彼が1949年に自身のために作らせたスペシャルモデルは、71年に商品化され、ヴァン クリーフ&アーペルのメンズウォッチを代表する名作として長く愛されてきた。控え目で抑制されたローマ数字文字盤、“完全な円”を実現するためにラグの代わりに考案されたケースとベルトをつなぐ独自のアタッチメント、そしてシャツに引っかかることなく、さりげなく袖から姿を見せるための極薄のケース。最新作は、このモデルを改めて現代的に解釈したものだ。

手巻き、ピンクゴールドケース、ダイヤモンドをセットしたリュウズ。ケースサイズ直径38ミリ。143万8500円(予価)、今秋発売予定。

ヴァン クリーフ&アーペル

0570-00-8202
http://www.vancleef-arpels.com/

           
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