PROJECT|陸前高田まちのリビングプロジェクト 仮設リビング『りくカフェ』オープン
陸前高田まちのリビングプロジェクト
仮設リビング『りくカフェ』オープン
昨年の東日本大震災でもっとも甚大な被害をうけた岩手県陸前高田市。町場のほとんどが被災して、喫茶店のように、地域の方が気軽に集まる場所が消滅してしまった。そんななか、地域住民を中心とする「陸前高田まちのリビングプロジェクトチーム」により、“地域住民が気軽に立ち寄れる居場所=まちのリビング”となる、仮設リビング『りくカフェ』が1月9日についにオープンした。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
高齢化が進む地域のコミュニティの拠点としても注目したい
まちのリビングプロジェクトは、地域の人びとが気軽に集まれる場所を地域につくりたいという住民自らの発意によりスタートし、専門家や企業が支援することで実際に居場所をつくることを目指す取り組み。「あたらしい公共」をかたちにするプロジェクトといえる。
今回の『りくカフェ』は、東京大学大学院の小泉秀樹准教授(都市工学専攻)と、建築家の成瀬友梨さん(東京大学 助教)・猪熊純さん(首都大学 助教)、後藤智香子さん(UDCKディレクター)をふくむ、東大・首都大の都市計画・まちづくり・建築の専門家と学生、住友林業をはじめとする企業のサポートによってオープンを迎えた。
被災地では、仮設団地内の談話室や集会室は団地内住民を主たる対象者としており、『りくカフェ』のように、誰でも自由に使える場所が必要とされていた。
簡単なお茶やコーヒーを飲みながら会話を楽しんだり、パンやお菓子を購入したり、休憩所として利用したり、おなじ敷地内の病院や薬局の待ち合いスペースとして利用したり、寒いなかでバスを待つひとが利用できたりと、さまざまな“利用”が想定されている。
実際の運営は地域の女性が集まって結成したNPOがおこない、たんに被災地のコミュニティスペースというだけでなく、今後高齢化が進む地域において、クルマがなくてもみんなが歩いて通えるシェアスペースとしての期待も込められている。
このプロジェクトは、今回の仮設カフェ完成を経て、来年には本設のカフェを建設予定。息の長いプロジェクトに注目したい。