店舗自体がアート。“谷口イズム”が全館に香る、約850坪のファッションの魔法

バーニーズ　ニューヨークのシンボルである、ジョン＝ポール・フィリピ氏がデザインしたスカルプチャーウォールは2階の吹き抜けへと高々と伸び、夜になれば、全世界のバーニーズ　ニューヨークではじめての試みとなる“光を放つ壁”がインパクトある外観と存在感を強くアピールする。

バーニーズ　ニューヨークならではのデザインを実現するために、ビルの基本設計から参加し、ときには施工業者や工場にまで実際に飛び込んで、理想とするかたちを求めるためみずから手をほどこすこともあるというバーニーズ　ニューヨークのクリエイティブディレクター 谷口勝彦氏。

「そこまでこだわり抜かないと、スペシャリティストアであるバーニーズ　ニューヨーク独特の空気感＝バーニーズエアは出せません」という。

谷口氏が設計・デザインで一番力を入れているのは、床・壁・天井の基本環境。「どんなすてきなアートをほどこしても、どんな立派な什器を配しても、基本となる床、壁、天井が凡庸ならば、結局最終的にはありきたりなものになってしまいます。4層あるフロアごとに展開するファッションを細部まで思い浮かべながら、それに一番マッチする素材やデザイン、カラーを反映させています」。

ライティングの演出をふくめた天井の形状、各階のキャッシュラップ（お会計場）の上や壁面に描かれたミューラルアート、関ヶ原の石工場に通いつめて実現した3階のヘリンボーン状の石床など──それでは、知るほどに楽しい、バーニーズ　ニューヨーク福岡店へ。

1階──世界ではじめての外観デザインと、
2層にわたって屹立するジョン＝ポール・フィリピのスカルプチャーウォール

「吹き抜けの目的は、2階を感じさせる大事な装置」。1階の天井の高さは4メートル、スカルプチャーウォールは9メートル。吹き抜けの楕円の穴と波紋の天井にシンクロする1階の床の楕円デザインのモザイクタイルにも注目。ポルトガルで採れたライムストーンを採用し、モザイクデザインはオリジナル。「モカクリームはバーニーズ　ニューヨークの色のアイコンとして、1階ではじまる約束事」と谷口氏。

1階の正面にある、和紙をとおして光を放つ“光の壁”は、バーニーズ　ニューヨークらしいプレゼンテーションが自由におこなえる壁となっている。

そして、美しい光を放つ外壁。宮崎県都城市のキャスト専門工場で何度も試作したというアルミ素地そのままの約9メートルの光が入る外壁は、世界初。アルミ列柱は全部で12列、そしてビジュアルプレゼンテーションが楽しいウィンドウは7ヵ所。

店の外にはためく「BARNEYS」のみのシンプルな懸垂幕はアルファベットが縦にならぶ珍しいデザインで、サンフランシスコのバーニーズ　ニューヨークと福岡店だけで使用されている、美しいサインだ。

＜バーニーズ　ニューヨーク福岡店 1階＞

フロアの中央にそびえ立ち、楕円形の吹き抜けへと伸びるジョン＝ポール・フィリピがデザインした巨大なスカルプチャーウォールがある1階。さらに見上げると、水の波紋のように楕円が広がっていく天井デザインが印象的。
おとなの男女の上質なライフスタイルを実現する服飾雑貨アイテムを提案し、中央にジュエリー、左手にバッグなどのウィメンズのファッション雑貨、ルームフレグランスなどが揃うアポセカリーコーナーが展開。右手は、シャツやネクタイなどメンズのファニシングアイテムが一堂に揃う。
エントランス正面の“海”をイメージした壁の前では、トランクショーなどさまざまなイベントが開催される。

2階──お買いもの心を刺激する美しいフィッティングルーム
そして、谷口氏が川島織物の本社工場でみずから絞ったタイダイのラグ

外光がたっぷり入る“いなづま階段”を上っていくと、ジョン＝ポール・フィリピ氏が描いた鳥のミューラルアートが出迎えてくれる。

各フロアを仔細に見ていくと、ところどころに色鮮やかなラグが敷布されている。たとえば2階には、谷口氏が織物工場でみずから絞ったオレンジのタイダイのラグ。「2階はウィメンズのコンテンポラリーカジュアルとデニムがメインなので、ヒッピーテイストやデニムにフィットするタイダイのラグを置きました」。約1年間かけて染めたラグは、フローリングの上に敷かれ、木のテーブルと個性的なコーディネイトを感じさせる。

「とくに各フロアにあるフィッティングルームは、お客さまがあたらしいファッションのときめきに接するスペースなので、デザインも異なり、カーテンやラグなどでフロアにマッチする雰囲気をつくりだしました」と谷口氏。

＜バーニーズ　ニューヨーク福岡店 2階＞

吹き抜けをつうじて階下から堂々とそびえるスカルプチャーウォールが印象的な2階。
デニムを中心とする女性のコンテンポラリーカジュアルウェアとシューズがラインナップ。注目のニューカマーブランドから、海外ブランドのディフュージョンラインなど、おとなの女性のためのラグジュアリーなカジュアルウェアも満載。旬のスタイリングが多彩に楽しめる。
シューズは、国内のクリエイターとのコラボアイテムや、イタリアのブランドの別注品など、ここでしか買えない限定品にも注目。

3階──福岡店4層のフロアのなかでもっとも広い3階。
横幅50メートルの圧巻の空間に花咲く、時代の最先端ファッション

今回、ジョン＝ポール・フィリピ氏のミューラルアートは鳥がテーマ。2階から3階への階段も、落ち着いた雰囲気のなかに、軽快なミューラルアートが楽しませてくれる。

3階の横幅はなんと50メートル。「銀座店2階の対角線が約50メートル」なので、その広さを想像してほしい。

「横の広さを活かして、イメージをビジュアルで変化させていくように工夫しています。階段を上がってすぐのリアルクロージングのエリアに対してはオーガニックなデザインを配し、奥に進むにつれてデザイナーの主張が感じられるように、ラグやテーブルなどで徐々に移行する雰囲気をつくりだし、いちばん奥のデザイナイーズエリアでは、しな材を使った木製の壁面など、エッジの効いた幾何学模様で、ゾーンの空気や空間を演出しています」と谷口氏。

床材は、最大限の狭角に挑戦した天然石（ビアンコ・ドマール）。張り地を張り替えた1950年代のイタリアのアンティーク椅子。曲線が美しいステージや、空間にアクセントをくわえる曲線のハンガー。ゾーンごとのオリジナルのラグ。3ミリ厚のアンティークゴールド仕上げで、ハンマーフィニッシュの脚をもつテーブルなど、モダンアートの美術館のような個性的なしつらえが見事にマッチする。

＜バーニーズ　ニューヨーク福岡店 3階＞
3階は、ウィメンズウェアとギフトアイテム、ブライダル関連商品をラインナップ。バーニーズ　ニューヨークオリジナル商品はもちろん、デザイナーズコレクションもラインナップ。
階段とエレベーターがある“コンテンポラリーゾーン”から、奥に進むと“ラグジュアリーゾーン”となり、ちょうど中間位置にあるステージでは、訪れるたびに何かと出会える楽しさやおもしろさをアピールする。
さらに奥にはインテリア雑貨やステーショナリー、食器、ベビー用品などギフトに最適なアイテムを揃える「チェルシーパッセージ」、ドレスや引出物を選べる「ブライダルサロン」も完備。

地下1階──メンズフロアのデザインは、あえてミスマッチ。
緩急を感じる空間で、楽しくショッピングを！

スーツゾーンの床は、ナラ材を男が好きなモチーフのチェッカー柄に組み、壁はサペリマホガニー（1階のネクタイコーナーはアフリカンマホガニー）、ウィリアムモリスの柄の張り地の椅子や、1930年代にコロンビア大学の図書館で使われたテーブルなど、「異なる素材とカラーをミックスし、一見バラバラに見えるモノを組み合わせることで、ひとつの強いメッセージとし、独特なクラシックでモダンな空気感をつくりだしています」と谷口氏。

その一方、スポーツウェアゾーンは、グリーンのラグやヘリンボーン柄を、ジーンズがディスプレイされているテーブルの下のラグは、藍のタイダイ、さらに、建築家ジャン・プルーヴェをイメージしたキャンティレバーの什器など、造形とカラーがゾーンごとのテンポをつくりだして、おとなの男のオンとオフを演出する。

クリエイティブディレクター 谷口勝彦氏

谷口氏は、「850坪のスペシャリティストアの空間を存分に楽しんでいただきたいし、ショッピングはホビー、お買いものという行為はおもしろいものという、アミューズメント感も楽しんでいただきたいと思います」と語る。

また、店長の渡邉裕康氏は、「福岡店はまだ産声をあげたばかり、“全員がコンシェルジュ”をスローガンに、ストアからさまざまな情報を発信するのもサービスの一環です。皆さまに長く愛して育てていただけるような店づくりを目指します」と決意を述べる。

＜バーニーズ　ニューヨーク福岡店 地下1階＞
ダークカラーのフローリングに、重量感溢れるアンティーク家具を配し、さらにユニークなラグで遊び心をくわえた地下1階は、メンズのオン・オフのファッションアイテムが一堂に揃うトータルスタイリングのフロア。
スーツコーナーではシャツとタイも陳列して提案するなど、オンからオフまで心弾むアイテムがラインナップ。人気ブランドと連動したエクスクルーシブアイテムや、イタリアのファクトリーとつくりあげた別注オリジナル商品なども豊富に揃う。

バーニーズ　ニューヨーク福岡店
福岡市中央区天神2-5-55 レソラ天神
Tel. 092-715-1020（代表）
営業時間｜11:00～20:00
店休日｜不定休