My Own Watch|小山薫堂さんが愛用する腕時計とは
第5回|小山薫堂×ピエール・クンツ「キュピドン」 KUNDOモデル
自分の時を刻む、世界1本だけのスペシャルウォッチ(1)
各界で活躍するクリエイターたちの愛用腕時計を紹介する連載、第5回目に登場するのは放送作家/脚本家の小山薫堂さん。時計好きが思わず唸ってしまう、スペシャルウォッチが登場した。
Photo by KADOI TomoText by NAKAMURA Akiko (OPENERS)
ピエール・クンツ本人と意気投合してできた“KUNDO(薫堂)”モデル!
「バーゼル取材のさいに、オーナー時計師であるピエール・クンツ本人が僕のためにつくってくれたのが、このキュピドン“KUNDO”モデル」と小山さん。おなじ年代のおなじレンジローバーを所有していたという共通点、また“クンツ” “薫堂”と、名前の響きが似ていたことなどで意気投合したのがきっかけだそうだ。
「ピエール・クンツのキュピドンは、もともとは彼が奥さんのために設計したモデルなんです。取材でお会いしたときにそのエピソードもいろいろ聞いたのですが、シースルーバックから見ると、小さな天使がいたりとか、ハートのリンゴを狙う蛇がいたり、そのようすを見ているハトがいたり……機械をまるで絵画のようにストーリー性のあるものにしている。その繊細さや感性に惹かれましたね」
この“KUNDO”モデルは世界限定でたった3本しかないのだという。「3本あるなかでも、ひとつずつ微妙に石の色がちがうのですが、僕はオレンジが好きなので石の色もベルトもオレンジにしてもらいました。もうひとつキュピドンをもっていて、レトログラード機構のものを買ったのはそれが最初で、今回は2本目。キュピドンは秒針が3つに分かれていてその動きを見ているだけでも飽きないところが気に入っています」
数ある腕時計のなかからこの“KUNDO”モデルを身に着けるときはというと「僕は“オレンジ”という会社をやっているのですが、そこで何か大切なプレゼンがあるときや、みんなで食事にいくときに身につけます」とのこと。ちなみに取材当日には、トム・ブラウンのジャケットにあわせ、モダントラッドな着こなしを披露してくれた。
第5回|小山薫堂×ピエール・クンツ「キュピドン」 KUNDOモデル
自分の時を刻む、世界1本だけのスペシャルウォッチ(2)
数あるウォッチコレクションの一部をここで公開!
時計好きであり、またコレクターとしても知られる小山さんであるが、ほかに所有する腕時計もいくつか紹介してくれた。ブレゲの「TYPE XX」、ロレックスの「デイトナ」、フランク・ミュラーの「MASTER BANKER」、パテック フィリップの「WORLD TIME」、ジャガー・ルクルトの「LIMITED SERIES No.0623 Aston Martin」、カルティエの「ロードスター」、ジャガー・ルクルトの「レベルソ クアドラ」、ウブロの「ビッグ・バン」、そして2009年に映画『おくりびと』にてアカデミー賞最優秀脚本賞を受賞したときの賞品だというジャガー・ルクルトの「レベルソ」――かなり豪華なラインナップだ。
これだけ数があると毎日どのようにその日に着けるウォッチを選ぶのだろうか。「そんなに毎日変えることはなく、気に入ったものがあったらわりとずっと着けていますね。そのかわり、旅に出かけるときにはその状況に応じて変えます。ヨーロッパであちこち行くときにはGMT機能がついたパテック・フィリップの「WORLD TIME」、何かの発表だったり願掛けのときにはウブロ「ビッグバン」とか。ハワイなんかでビーチに行くときにもいいですね」
そんな小山さんにつぎに欲しいと思っている腕時計は? と聞くと、「今年これから発表される予定のリシャール・ミル」だそう。
「今年のジュネーヴサロンのなかでもとくに惹かれた1本です。リシャール・ミルは開発順に番号が振ってありますが、その番号にも惹かれました。3月23日までどのモデルか公表できないのが残念ですが、すごく軽くてシックだし、これは欲しい」
最後に、小山さんにとって腕時計とはどんな存在かと聞いた。「腕時計は自分の時を刻むものですから、“足跡”みたいなものですよね。もっとも近いところにあって、自分のために動いてくれて、するとすごく愛情が湧いてくる。自分の分身のようになってくるから、自分が死んだあとも時計を形見としていろんなひとに受け継ぎたいなと思いますね」