My Own Watch|田中知之(FPM)さんさんが愛用する時計とは
アンティークウォッチと過ごす日々
第1回|田中知之(FPM) × ブレゲ タイプ XX
身につけることで自分が“上がれる”かどうかが大事
各界で躍進する著名人に愛用の時計を紹介してもらう新連載。その第1回は、DJ、リミキサー、そしてプロデューサーとして国内外で活躍する、FPMの田中知之氏が登場。世界を駆けめぐり活躍する田中氏に、愛用のアンティークウォッチについて聞いた。
Photographs by JAMANDFIXText by Nogami Aki
武骨感に絶妙を感じる愛用の一本、ブレゲのTYPE XX
FPMの田中知之氏は、アンティークウォッチをこよなく愛するひとだ。今愛用の時計は、ブレゲの「TYPE XX(タイプトウエンティ)」。ブレゲがフランス空軍のために開発したリスターティングクロノグラフだが、この時計に出会ったのはひとつの縁からだ、と田中氏は語る。
「時計好きの先輩から最近譲り受けたものなんですよ。エレガントなイメージのメーカーが創った軍用時計ってところにすごく心を惹かれるんですよね。そうした意味ではこの時計は究極の1本かなあ、と。持っているのは基本的にスポーツウォッチが多いですね。DJやってるときに、いろんな機材にガンガンあたったりしますので(笑)。このTYPE XXは復刻もされていますが、やっぱりオリジナルが持ってる絶妙な“武骨感”がないですよね。時を経たものだけが放つそのオーラがちがうと思います。TYPE XXは、リューズを巻いた時のフィーリングも好きですね」
そして最近これも友人から譲り受けて手に入れたお気に入りのもう一本。それがロレックスの「オイスター コスモグラフ」。通称ポール・ニューマンと呼ばれるエキゾチックダイヤルが目を惹くこの時計、しかもカルティエとのダブルネームだ。
「そもそもアンティーク時計にハマったきっかけは40歳になったときのこと。自分が誕生した年の手巻きのデイトナが欲しくて調べていたら、自分が思っていた数倍の値段だったんですね。それに驚いて、なんで値段がここまであがっているんだろうって気になってあれこれ調べるようになったのがはじまりです。リーマンショック以降、プライスも少し正気を取りもどしたように思って、手に入れるなら今かなと」
ロレックスをきっかけにはまっていったアンティークウォッチのコレクション
それからすっかりアンティークウォッチの魅力にはまっていった田中氏。しかしなかなか欲しいと思っても手に入らないのがコレクションの世界だ。ずっと欲しかったものに巡り会えたときは、やはり「運命」を感じるとか。
「買おうと思ってもなかなか買えるものではない、というところがいいのかもしれません。ふっと忘れたときなんかにチャンスが巡ってきたりして。時計以外もミッドセンチュリーのものが基本的に好きで、やっぱり“エピソード”のあるものに惹かれるんでしょうね。結局洋服も時計もおなじだと思いますが、他人から見られてどうかというよりは、それを身につけることで自分が“上がれる”かどうか。たとえばこのロレックスをしていると背筋が伸びるような気がするんです」
田中 知之 (FPM)|TANAKA Tomoyuki
1966年、京都市生まれ。FPMとは田中知之のソロ・プロジェクト。DJをはじめ、リミキサー、プロデューサーとして国内外で活躍。昨年末には自身6枚目のオリジナルアルバム「FPM」をリリース。世界三大広告賞でそれぞれグランプリを受賞したダンスミュージック時計「UNIQLOCK」、「UNIQLO CALENDAR」の楽曲制作も手掛けるなど多方面で活躍している。8月4日には新DJ-MIXシリーズ「Versus(ヴァーサス)-JAPANESE ROCK VS FPM」をリリース。本来の守備範囲以外のあらゆるタイプの音楽に真っ向から挑むというコンセプトのもと立ち上げられた本シリーズの第一弾は「日本語ロック」を対戦相手とし、独自の視点で選り抜いた全22アーティスト、全22曲をハウスマナーでノンストップミックスしている。