特集|もつ喜びのあるカメラ デジタルのメリットを活かすユニークなデザイン
ユニークなデザインにはわけがある
デジタルのメリットを活かす新スタイルカメラ(1)
デジタルカメラだから撮影できる写真がある。デジタルデータとして被写体を捉えるカメラだからこそ、変幻自在の写真が簡単に残すことができる。デザインも描写される写真も、フィルムカメラのカタチから解きはなたれ、肉眼で見える世界とは異なったエモーショナルな景色を見せてくれるデジタルカメラが、あたらしいカメラをもつ喜びをあたえてくれる。
Photographs by JAMANDFIXText by TSUCHIYA Motohiro (OPENERS)
デジタルのメリットを活かすデザインと写真
エントリーモデルのコンパクトデジタルカメラでも2000万画素を超える製品が増え、一眼レフを中心に最上位のデジタルカメラではフルサイズセンサーを搭載するモデルもあらわれている。しかし、デジタルカメラの進化は画質面ばかりではない。フィルムカメラから受け継がれてきたフォルムと、写真のあり方を変えて、撮影の楽しさを広げてくれる。新感覚のスタイルを提案するユニークなデジタルカメラで、これまでにない“カメラをもつ喜び”を味わいたい。
三次元の撮影データでピントを後から変更できる
ライトロ「LYTRO ILLUM」
巨大なレンズと斜めのカメラボディが目を引く「LYTRO ILLUM(ライトロイルム)」。従来型のデジタルカメラの形状に捉われないボディラインは奇をてらったものではなく、ユーザービリティーに基づいて設計されたものだという。斜めのカメラボディを採用することで、操作性と視認の高さが実現されている。
外観もさることながら、このデジタルカメラが捉える映像も、従来のデジタルカメラとは異なる世界を写す。一般的なカメラで写真を撮ると、手前の被写体にピントを合わせると背景はボケる。全体的にピントを合わせることもできるが、ピントが甘くなったり、味わいのない平面的な写真になりがちだ。ところが、米国のライトロ社が開発した「LYTRO ILLUM」で撮影すれば、撮った写真のピント位置を、後から任意に変更できるという。
「LYTRO ILLUM」でこの機能を使うには、どこからどこまでピントを合わせるか設定して撮影する。一般的なカメラは光の強弱を捉えて陰影を描くのにたいして、「LYTRO ILLUM」は特殊なイメージセンサーを備え、光の強さにくわえて、すべての光の方向まで記録する。両方を記録することで、前景から背景へと広がる奥行きの情報を残し、風景を立体的な映像として切り取ることができる。
「LYTRO ILLUM」が残すデータには、立体的な情報が残っているので、映像のなかの位置関係が明確になる。専用の現像アプリケーション「LYTRO デスクトップ」を使うことで、平面的な景色ではない「空間」を捉えたデータを取り込み、思いのままにピント位置を調整したり、視点を立体的に変えたりできる。一枚の撮影データから、ピントの異なる写真、3D映像などが出力が可能だという。
また、被写体とレンズとの距離が0mm(ワイド側レンズ前面から0mm)から撮影ができるという。被写体にレンズを限りなくて近づけける究極のマクロ撮影も、三次元で被写体を捉えてピントを自在に操ることができる「LYTRO ILLUM」だからこそ生み出せる写真のひとつだろう。
あたらしいデザインとテクノロジーによって、撮影の楽しみを広げる「LYTRO ILLUM」。従来のデジカメとは異なる、あたらしい価値をもたらすはずだ。
LYTRO ILLUM(ライトロイルム)
価格|18万1440円前後
本体サイズ|W145×H86×D166mm
重さ|940g
撮像素子|1/1.2インチCMOSセンサー
レンズ|F値:F2.0、ズーム:光学8倍、
最短焦点距離:9.5mm
有効画素数|ライトフィールドセンサー
4000万光線(出力画素数:400万画素)
ISO感度|80~3200
ライトロジャパン
Tel. 03-6434-0209
http://www.lytro.jp/
ユニークデザインにはわけがある
デジタルのメリットを活かす新スタイルカメラ(2)
肉眼では捉えきれない360度の世界を描写
リコーイメージング「RICOH THETA」
難しい撮影テクニックや特殊なアクセサリーを使わずに、シャッターボタンを押すだけで360度全方位をひとつの写真に収めることができるデジタルカメラ「RICOH THETA(リコー・シータ)」。最新モデル「RICOH THETA(m15)」では、静止画だけではなく、ムービーも撮ることができるようになった。
360度を撮影できるという特徴から、カメラ自体の表裏に捉われることなく撮影できる形状を目指したというデザインは、操作ボタンが少なく、とてもシンプル。スマートフォンと連携することを前提に設計されており、スマートフォンのかたわらにあっても邪魔にならないフォルムだ。
Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA
このシンプルなボディに搭載した表裏のレンズによって、360度の球体を内側から見たような情景をワンショットで残すことができる。360度撮影のメリットのひとつは、撮影者自身も写すことができること。ワンショットで集合写真に自分自身を入れることができ、大人数の集合でも左右が見切れてしまうようなことはない。また、撮影者自身が目の届かない範囲まで撮影できるから、その場の臨場感をそのまま残すことができる。
「RICOH THETA」が捉える世界は、目の前に広がる世界だけでなく、自分自身の表情や背後の景色まで、切り取った映像だ。臨場感溢れる映像のなかには、撮影したときには気づかなかった“発見”が、あるかもしれない。
RICOH THETA(m15)
価格|オープン(実勢価格3万4700円前後)
本体サイズ|W42×H129×D22.8mm
重さ|約95g
レンズ|F値:2.1mm、ズーム:光学ズームなし、最短焦点距離:100mm
ISO感度|100~1600
リコーイメージング お客様相談センター
Tel. 0570-001313
http://theta360.com/ja/
ユニークデザインにはわけがある
デジタルのメリットを活かす新スタイルカメラ(3)
スマホでは写せない映像をスマホで撮る
ソニー「ILCE-QX1L」
「スマートフォン用の交換レンズ」をコンセプトにデザインされたソニーのレンズスタイルカメラ「ILCE-QX1L(QX1)」は、スマートフォンに取り付ける“高性能のレンズ”であることが明快に伝わるよう、象徴的な円筒のフォルムを採用している。“スマートフォンといっしょに使うことが大前提”となっているユニークなフォルムには、機能が凝縮されている。
「QX1」での撮影は、スマートフォンの画面がモニターになる。スマートフォンから離して手持ちで自由なアングルでも撮影できる。もちろんスマートフォンとの連携機能が充実しており、撮ってから写真を選んでシェアするまでの一連のフォトコミュニケーションをシームレスに実現するアプリが用意されている。
さらに、「QX1」ではソニーのEマウントレンズを採用することで、撮影の幅をレンズで選択できる。対応レンズのなかには、世界中のフォトグラファーの憧れ、ZEISS(ツァイス)レンズも含まれる。このレンズシステムを活用すれば、超広角、超望遠、マクロ、魚眼レンズまで、レンズを交換して本格的な写真撮影ができる。その表現領域は、ほかのデジタル一眼カメラとほとんどおなじだ。
ユニークなデザインであるだけに、敷居の高い印象を受けるが、スマートフォン撮影の操作性をそのままに、デジタル一眼カメラ画質を取り入れた、“いいとこ取り”のデジタルカメラと見ることもできる。あらたなスマートフォンをもつ喜びをあたえてくれるレンズスタイルカメラは、誰もがスマートフォンをもつ時代にふさわしい、気鋭のモデルだ。
ILCE-QX1L
レンズスタイルカメラ
パワーズームレンズキット
価格|オープン(実勢価格5万4950円前後)
本体サイズ|W74×H69.5×D52.5mm
(本体のみ)
重さ|約158g(本体のみ)
マウント|ソニーEマウント
撮像素子|APS-Cサイズ
"Exmor" CMOSセンサー
有効画素|約2010万画素
ISO感度|100〜16000
キットレンズ|SELP1650
(E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS)
ソニー 買い物相談窓口
0120-777-886
http://sony.jp/lsc/