Volkswagen GOLF blue e-motion|フォルクスワーゲン ゴルフ ブルー e モーション LAモーターショーにて公開
Volkswagen GOLF blue e-motion|フォルクスワーゲン ゴルフ ブルー e モーション
駆け抜ける5ドアEVゴルフ
フォルクスワーゲンはロサンゼルスオートショーの期間中、2014年に発売開始予定というゴルフのEV「ゴルフ ブルー eモーション」を報道陣に公開し、試乗する機会をあたえた。
文=松尾 大
欧州最大のポピュラーカーの未来形
ヨーロッパ最大のポピュラーカーについにEVがデビューする。ブルー eモーションという名前があたえられた次世代の実用車は、最高出力85kW(115ps)と最大トルク270Nm(27.5kgm)を発揮するモーターを通常のエンジンと同様にボンネットの下に搭載。前輪を駆動し0-100km/h加速は11.8秒、最高速度は135km/hとなっている。
また、リチウムイオンバッテリーを車体最後部に搭載し、現段階での最大航続距離は150kmとしている。ただし、EVはドライビングスタイルやモーターパワーをつかうヒーター、エアコンなどの使用によって、電気の消費量がことなるということもあり、あくまでも参考的な数値である。
2013年から生産を開始し2014年には発売される予定だが、生産開始までさらに航続距離を延ばすべく、技術革新を急ぐ予定だ。
BRAND HISTORY
フォルクスワーゲンは1936年に設立された自動車メーカー。スポーツカーなど手がけないため、実直なイメージの強いメーカーだが、技術力は高く、世界でもトップクラスの乗用車メーカーの地位を守っている。フォルクスワーゲンで特徴的なのは、欧州では珍しく戦後本格的にスタートした自動車メーカーであること。そして、創設者といえる技術者、ドクター フェルディナント・ポルシェの自動車づくりへの情熱を、いまもヘリティッジとして大切にしている。タイプ1ともよばれる、いわゆるビートルで礎を築いたあと、買収したアウディの技術力でより広い市場をカバーする乗用車づくりを手がけるようになった。ブレークスルーは1974年発表のゴルフで、使い勝手のよさと走りという自動車に求められるふたつの機能をみごとに両立させたことで大ヒットとなった。そのクルマづくりの精神は今も受け継がれており、フォルクスワーゲンのモデルは実直だが、運転する楽しさもきちんと備えている。先代ゴルフではいち早くデュアルクラッチシステムを採用したのも注目点。
フォルクスワーゲンは同時にマーケティングが巧みな会社でもある。ゴルフにGTIを設定してホットハッチ(速いハッチバック車)というジャンルを確立したのは、自動車史に残る偉業ともいえる。ブランドの使い方にも長けている。傘下のアウディには独自の4輪駆動技術であるクワトロを採用して、先進的なイメージでフォルクスワーゲンとは異なる市場の開拓に成功。さらに現在は、ランボルギーニ、ベントレー、そして世界でもっとも高性能かつ高価なスポーツカーともいえるブガッティをもち、ポルシェの筆頭株主でもある。
1990年代の後半には、日本車を凌駕することを目標に、品質の向上に大きく力を入れた。結果、つくりのよさでは世界基準となるまでに。さらにこのところ、静粛性向上も著しく、かつての日本車の牙城は大きく脅かされているといえる。
日本におけるラインナップは、コンパクトハッチバックのポロ、ゴルフとステーションワゴン版であるゴルフ・バリアント、マルチパーパス・ミニバンのトゥーラン、ゴルフのセダン版のジェッタ、大ぶりなボディをもつパサート・バリアントが中心。くわえて、2ドアクーペのシロッコと、4ドアだけれどクーペのようなスタイリッシュさが売りもののパサートCC、そしてSUVではティグワンと、大型のトゥアレグが並ぶ。
ゴルフはとくにバリエーションが豊富で、1.2リッターターボエンジン搭載車から、GTI、そして4輪駆動システムに256psのエンジンを組み合わせたゴルフRまで。燃費よく快適なモデルから、走りを楽しむドライバー向けのモデルまで、フォルクスワーゲンの自動車づくりにおける幅と奥行きがここにもよくあらわれている。