ハンマー形状の振り子だから“ハマティック”。その往復運動でゼンマイを巻き上げる歴史的ピース｜MORITZ GROSSMANN

MORITZ GROSSMANN｜モリッツ・グロスマン

ドイツ魂を見せる振り子式自動巻き機構を搭載。超マニアックブランドの存在意義を高らかにアピールする素晴らしきモデル

モリッツ・グロスマン独自の振り子式自動巻き機構を搭載した「ハマティック」より、ダイアルに古典的なシルバーフリクションコーティングを採用し、ケース素材に18Kローズゴールドまたは18Kホワイトゴールドを用いたふたつのバリエーションモデルが、2021年12月以降取り扱い開始される。それぞれ数量限定8本の希少なモデルだ。

Text by OZAKI Sayaka

そしてダイアルの表情もまた格別！　シルバーフリクションコーティングが美しい

モリッツ・グロスマンは、「ハマティック・ヴィンテージ」のバリエーションモデルとして、18Kホワイトゴールド製ケースと18Kローズゴールド製ケースを採用した、それぞれ世界限定8本の希少なタイムピースをリリースする。

本作の特徴は、モリッツ・グロスマン独自の振り子式自動巻き機構を搭載していることにあるが、さらにダイアルに施されたシンプルかつ上質な印象を与えるシルバーフリクションコーティングにも着目したい。視認性に長け、ベルベットのようにきめ細かな粒子が輝く見事な仕上がりを見せるこの製法は、19世紀にグラスヒュッテで行われていた伝統的なものだ。

ハンマー形状の振り子だから“ハマティック”。その往復運動でゼンマイを巻き上げる歴史的ピース｜MORITZ GROSSMANN

予めダイアルの汚れを徹底的に落とし、粗目に仕上げた表面に、銀の細粒と塩を含む粉に少量の水を加え、ブラシで擦りつけることでコーティングを施す。ダイアルのインデックスやロゴ部分はコーティングの前に、手作業でエングレービングが施され、そこに銀のパウダーをはじくブラックラッカーを充填。こうしてインデックスやロゴはコーティングの影響を受けることなく、ブラックラッカーが残り、輝くようなシルバーのダイアルと美しいコントラストを成すのだ。ダイアルは、酸化や環境の変化による影響から守るために、表面にさらに保護コーティングが施されている。これらの工程はすべて手作業で施されており、熟練したスキルと高い集中力、そして経験を必要とするこの技術を習得しているのは、現代ではわずかな職人のみだ。光沢感とマットな質感の両方を併せ持ったダイアルは独特のコントラストを生み出し、その魅力を長く楽しめる。

ダイアル上に配された細く繊細なローマンインデックスは、19世紀に時計師モリッツ・グロスマンが製作した懐中時計にインスピレーションを得たもの。さらに、1875年に使われていた「M. GROSSMANN」のロゴがクラシカルなデザインを強調し、繊細な梨型に手仕上げされ、1本ずつ直火でブラウンバイオレットへ焼き戻された針が、視認性を高めている。

また、ハマティックの革新的な機構を搭載したムーブメントのアイデアも、同じ時代の技術にインスピレーションを得たものだ。モリッツ・グロスマンにより完璧に設計されたキャリバー106.0は、重りを用いた振り子式の古典的なメカニズムと、現代の優れた技術を結び付けた、独自のハンマー式巻き上げ機構を備えている。この機構はゼンマイの高い巻き上げ効率によって、安定した高い精度と、完全巻き上げ時から72時間のパワーセービングも備えている。ムーブメントのパーツは、グラスヒュッテの時計職人が外観だけではなく精度にも関わる細やかな仕上げに注力してきた伝統に倣い、他の部品に隠れてしまうような小さなものも含めて丹念に磨き上げ、手作業でのエングレービングを施している。こうした精巧な仕上げは、ムーブメントを覆い隠すことのないハンマーフレーム越しに、細部まで堪能することができる。

ストラップは、ケースの色味に映えるよう、18Kローズゴールド製モデルにはダークブラウンのアリゲーターレザー、そして18Kホワイトゴールド製モデルにはブラックのアリゲーターレザーが組み合わされ、いっそうヴィンテージな佇まいを際立たせている。モリッツ・グロスマンのクオリティの高さを見事に表現した本作は、各世界限定8本のリミテッドモデルとして、2021年12月以降取り扱い開始予定だ。