Richard Mille|一夜かぎりのリシャール・ミル ミュージアム
Richard Mille|リシャール・ミル
一夜かぎりのリシャール・ミル ミュージアム
去る12月11日、明治神宮外苑の聖徳記念絵画館を会場にリシャール・ミルの特別イベントが開催された。一夜かぎりのリシャール・ミル ミュージアム「Musée RICHARD MILLE」には歴代コレクションが一堂に会し、話題の新作「RM056」の特別展示もおこなわれた。
Text by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)
話題のサファイヤ時計「RM056」も展示
いまや伝説のマスターピースとなった「RM001」とともに、2001年にデビューを飾ったリシャール・ミル。“時計のF1”をコンセプトとし、現時点で求めうる最高の時計づくりを追求しつづけるこの超個性派ブランドが、今年で日本上陸10周年を迎え、明治神宮外苑の聖徳記念絵画館を会場に特別イベントを開催した。
一夜かぎりでおこなわれたリシャール・ミルのミュージアム「Musée RICHARD MILLE」には、独創的なコンセプトと徹底したこだわりとともに進化しつづけるブランドの軌跡が表現され、歴代コレクションがずらりと並ぶ。中でも最も注目を集めたのが、今年の「SIHH」で発表された最新作「RM056」の特別展示だろう。フロント、サイド、バック……時計を覆うケース、そのすべてが透明なサファイヤクリスタルで作られているのが最大の特徴だ。
「“クルマを透かして中に収まるエンジンを見てみたい”とおもう、少年の好奇心をそのまま形にした」と語るリシャール・ミル氏。ブランドの真骨頂とも言える強度と着用感を数年にわたり研究した結果、サファイヤクリスタルの巨大な塊を削りだすという手法に辿り着いたという。だが氏が求めるその要求は、実制作において極めて高度な技術を必要とするものだったことは想像に難くない。
ダイヤモンドに次ぐ硬度をもつサファイヤクリスタルだが、それ故、特定の方向に割れやすいという性質をもち、削り出しに430時間、研磨に350時間という途方もない職人の技を要求する。搭載されるムーブメントは、製作が最も困難とされるスプリットセコンド クロノグラフ トゥールビヨン。インラインレバー脱進機、高速回転バレル、トルク制限リュウズなどの凝った機構を満載し、世界でわずか限定5本のみの作成で価格は1億4700万円。
会場には本国フランスから同社CEOを務めるリシャール・ミル氏本人も来日。「同社は創業わずか11年、日本上陸10年と“若手”だが、このすばらしい舞台で今日という日を迎えられたことに、リシャール・ミルを愛するすべてのひとに感謝したい」と、その気持ちを披露。この記念すべき一日を来場者らとともに祝った。
17世紀頃からつづく時計界は、伝統的であるいっぽうで閉鎖的な産業であることもまた事実。そこへわずか創業11年目にして、200年以上もの歴史をもつ老舗メゾンブランドと並び称されるようになったリシャール・ミル。その伝統を軽んじることなく敬意を払い、大胆な発想で時計業界を革新へと導くそのスタイルに、これからも注目していきたい。
リシャール・ミル/リシャール・ミル銀座
Tel.03-5537-6688
http://www.richardmille.jp/