オリス 人気の角型シリーズがやっと復活|ORIS
ORIS|オリス
人気の角型シリーズがやっと復活
月齢・曜日・日付・GMT機能搭載の高C/P時計
ペアウォッチとしても人気の高かったオリスのレクタンギュラーケースが廃番になってしまったのは4~5年前。その後、2009年に発表されたボブ・ディラン リミテッドエディションを除いてオリスのカタログには丸型しかなかったが、待望のレクタンギュラーモデルが再登場、入荷が始まった。
Photographs & Text by parametric
ムーンフェイズを楽しみたい
ケース形状はクラシカルな長方形だ。従来のレクタンギュラーモデルより薄型になっている。インデックスはアールデコ調。このおかげで、ケースサイズに対して小さいサイズのムーブメントを使用しているにもかかわらず、文字盤に無駄なスペースがない。文字盤全体のバランスもいい。
このケースを纏ったモデルは中三針の「レクタンギュラー デイト」とムーンフェイズやカレンダー機能搭載の「レクタンギュラー コンプリケーション」の2タイプ。ここで紹介しているモデルは「レクタンギュラー コンプリケーション」だ。
時計は腕に装着して楽しく感じられるものがいい。いろいろな選択肢があるが、カレンダーの充実した時計はその第一候補といえるだろう。
曜日や日付は「時」に関係する重要要素であり、時計に必要な機能だ。月相もまた時間に関連する大事な項目。太陰暦とは疎遠の現代社会では何の役にも立たないが、この機構は所有者を楽しくさせる。
夜空を見上げて同じ形の月を見たときの喜びは格別だ。頭の中で、太陽・地球・月の位置関係を想像したりするのも面白い。「コンプリケーション」(このネーミングには違和感があるかもしれないが)というだけに、月相・曜日・日付・GMT機能を有している。
欲をいえばこれに月表示があれば最高なのだが、この価格でそれは無理か。20万円を切る価格でこれだけの機能というのは、十分すぎる。なにしろ「レクタンギュラー コンプリケーション」はクォーツ時計ではなく機械式時計なのだから。ムーンフェイズ初心者にも打って付けの時計だろう。
ムーンフェイズ初心者は、たぶんムーンフェイズの調整(セット)方法で戸惑うはず。新聞やネットで調べた月齢にはほとんどの場合、小数点以下第一位に0以外の数字がついている。それをどうやってムーンフェイズのディスクにセットするのか……。
ムーンフェイズは日本語でいえば月相だ。新月とか満月とか半月とか、見た目の月の様子を表す。しかし、時計のムーンフェイズ機能が表示するのは月齢。月齢とは、新月(朔)を0とし次の新月までの経過日数のこと。
月の公転周期は一定でないため月相と月齢はイコールではない。月齢は正午を基準に新月の経過日数を割り出すので、新月が正午ピッタリでない限り端数がつく。
また、時計のムーンフェイズ機能は2年8ヵ月ほどで月齢1日分の誤差が生じてしまう(122年以上で1日分というムーンフェイズもあるが)。この誤差は日差とか月差とかとの類いの誤差ではなく、設計段階からわかっている宿命の誤差。朔望月、つまり新月から新月までの平均周期(公転周期ではない)は29.5305…日だが、29.5日として設計しているので誤差は避けられないのだ。
少々面倒な内容になってしまったが、要はムーンフェイズの調整はざっくりでいいのでは?ということ。そもそも正確な月齢をセットできるかは朔望月次第(小数点以下が0のとき)だし、使っていれば数年で1日分の誤差が生じてしまうのだ。また、数年間一度も止めることなく同じ時計を動かし続けることはないだろう。ということはセットし直さなくてはいけないということだ。止まっている期間が1~2日程度ならリュウズで時針を回して調整してもいいが、それ以上だとプッシュピースを使うことになる。すべてをセットし直すか、あるいは「時刻だけを修正して」使うか……。
なお、搭載しているカレンダー機構はパーペチュアルでもアニュアルでもないので、大の月に変わったら調整が必要だ。
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