アーノルド&サン|BASELWORLD 2015 バーゼルワールド速報|ARNOLD & SON
WATCH & JEWELRY / SIHH&BASEL
2015年5月12日

アーノルド&サン|BASELWORLD 2015 バーゼルワールド速報|ARNOLD & SON

ARNOLD & SON|アーノルド&サン

独創的な複雑機構により他の追随を許さない世界観を構築(1)

アーノルド&サンは18世紀後半にイギリスの時計師ジョン・アーノルドが興した時計工房をルーツとする。現在はスイスに本拠を置き、トゥールビヨンをはじめとした独創的な複雑機構を開発・製造する少量生産の工房として知られている。2015年の新作は、いずれも独創性を極めたモデルが揃った。

Photographs by NAGASHIMA TohruText by KAWADA Akinori

海洋クロノメーターの機構を腕時計に搭載

この「コンスタントフォース トゥールビヨン」は、時計の動作を一定の力に保つ「コンスタントフォース機構」と回転運動によって精度を保つ「トゥールビヨン」を同時に搭載したアーノルド&サンならではの複雑時計だ。文字盤はシースルーで、そこに見える時計のメカニズムは4つに分かれている。

右上と左上にはそれぞれ動力源となる香箱がある。ここから左下にあるコンスタントフォース機構に動力が伝わる。このメカニズムのなかには動力を貯めておくゼンマイがあり、巻き上がった後、1秒後に開放される。そこから放出されたエネルギーが右下にあるトゥールビヨン機構に伝わり、キャリッジが回転し、脱進機が時計の動きを制御していく。

一時的にヒゲゼンマイの動力を貯めておくことで、メインの動力源が弱まっても、常に一定の力がトゥールビヨン機構に伝わり、ゼンマイが完全に解けるまで時計の精度も一定に保たれる。創業者が存命の時代の海洋クロノメーターに採用されていた仕組みであり、それを腕時計で再現した手腕には頭が下がる。

ANOLD & SON|アーノルド&サン

コンスタントフォース トゥールビヨン
ケース|18Kレッドゴールド(5N)
直径|46mm
厚さ|12.25mm
ムーブメント|手巻き(Cal.A&S 5119)
機能|コンスタントフォース機構、トゥールビヨン、トゥルービート機構
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
発売時期|7月予定
予価|2266万9200円


ARNOLD & SON|アーノルド&サン

独創的な複雑機構により他の追随を許さない世界観を構築(2)

秒針が1秒ごとにジャンプするように動く

機械式時計の秒針の動きは非常に細かく1秒以下も小刻みに動いているため、人間の目には途切れなく動いているように見える。これを「スイープ運針(うんしん)」という。いっぽうで、駅などの掛け時計のように秒針がしっかりと1秒間隔で刻む。これを「ステップ運針」という。

機械式時計の秒針をステップ運針させようとすると、実際には、特別の仕組みが必要になる。この時計は、そうした仕組み=トゥルービートを搭載したトゥールビヨンであり、モデル名の「TBTE」は、「True Beat Tourbillon Escapement」の略称である。

秒針をステップ運針させる機構は時計の裏蓋側にある。シースルーバックから見ると脱進機のようなアンクルが、秒針下の歯車に絡んでいる。このアンクルが左右に動き、1秒毎に秒針と同軸の歯車の歯を送っては停め、送っては停めを繰り返す。これに連動して、秒針は1秒1秒を刻むように動くわけだ。

この機構は、当時ジョン・アーノルドが海洋クロノメーターに搭載した機構で、歴史の重みを感じさせる。シースルー文字盤からは、香箱、秒針回し機構、トゥールビヨンキャリッジの動きを腕にしながら鑑賞でき、歯車の先をよく見ると、運動の伝達効率のよい歯先であるウルフティース(狼の犬歯のような形状の歯)を採用するなど、細かなところまで独創性が満載だ。トゥールビヨンにプラスαを求めたい好事家におススメの1本である。

ANOLD & SON|アーノルド&サン

TBTE
ケース|18Kレッドゴールド(5N)
直径|44mm
厚さ|12.22mm
ムーブメント|手巻き(Cal.A&S 8503)
機能|トゥルービート機構(秒針をステップ運針させる)、トゥールビヨン
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
発売時期|6月予定
予価|1901万8800円

扇形のプレート上を数字が移動して計時する

3枚の透明回転ディスクを駆使して時刻を表示するユニークな時計である。文字盤のセンターには、モデル名の由来となった印象的なゴールドの歯車があり、その上には3つの回転ディスクがセットされている。

透明のこのディスクには数字が描かれており、10時位置から2時位置にかけてのホワイトの扇形プレート上にディスクがかかると数字が浮かび上がり、これが時刻である。数字は1時間かけて、ホワイトのプレートの端から端まで動くが、それに応じて60分スケールが印字されており、分を読み取っていくわけだ。

こうしてひとつの数字がプレートの2時位置の端に達すると、次のディスクに書かれた数字がプレートに乗ってきて、続く時刻を表示する。アイディアの原型は、17世紀の英国で作られたテーブルクロックである。過去の機構の独創的な再解釈が、さらに進化したコンプリケーションを生んだのだ。

ANOLD & SON|アーノルド&サン

ゴールデンホイール
ケース|18Kレッドゴールド(5N)
直径|44mm
厚さ|12.65mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.A&S 6018)
機能|ジャンピングデジタル時刻・分表示
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
発売時期|8月予定
予価|560万5200円

ブローバ ジャパン
Tel. 03-5408-1390

http://www.arnoldandson.com/

BASELWORLD 2015 バーゼルワールド速報

           
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