KEN OKUYAMA DESIGNによるNIPPONのスポーツウオッチ維新|SEIKO
SEIKO|セイコー
新たなる称号。その名は、
“セイコー プロスペックス LXライン”
奇しくも令和元年と重なったBASELWORLD 2019において、セイコーが高らかに宣言したのは、プロスペックスブランドにラグジュアリーラインを設けることでした。日の丸ブランド初の“スポーツラグジュアリー”アイテムの誕生です。スペックにおいてプロフェッショナルたちがそのまま使える本格仕様であることは従来通りなのですが、それに加えて日常使いに俄然、映えるスタイリッシュなデザインをフェイスおよびボディに与え、スイス勢を凌駕するオーラをまとうことを標榜しています。世界的工業デザイナーの奥山清行(おくやま・きよゆき)氏を商品開発アドバイザーに迎え、腰を据えた取り組みをスタートさせたのです。
Text by TSUCHIDA Takashi
腕元にスポットが当たるごとく、輝き出したNIPPONのスポーツウオッチ
LX(ルクス)とは、光を意味するラテン語。ユーザーに輝きを与える存在であってほしいという願いを込め、この名前が付けられました。これだけ豪快なシルエットを持たせたら、注目されないわけがありませんね。グラマラスなのに、まったくゴツさがなく、むしろエレガントな雰囲気すら感じさせてくれるのですから。
3D曲面というハンドクラフトでしか表現できない面取りは、同クラスのスイス勢には見られない、JAPAN MADEらしさ溢れる特徴です。その美観を最大限に生かし、グローバル基準で通ずる骨太のルックスに仕上げているのです。ですから「あれっ!」と思っても、無理はありませんよ。そう、これがプロスペックスに登場した上級ラインの姿です。
ポイントは、左右のケースサイドを縁取っている斜面です。この面は、ザラツ研磨という工程を経て生み出されます。歪みのない美しい鏡面、しかもその鏡面が3D曲面になっていることが“ミソ”です。しかもケースデザインの重心が低く、スポーツカーのボディように、時計ケースがユーザーの腕をガチッと捉えています。それゆえ、時計の存在は目立っても、身に着けた時のトータルバランスを崩しません。
実際、今回のモデルのベースとなっているのは、1968年にリリースされた当時世界最高水準のハイビートムーブメントを搭載したプロフェッショナルダイバーズウオッチです。昨年のジュネーブ時計グランプリにおいて、「スポーツ」部門賞を獲得した復刻モデルの原型として、記憶に残っている方々も多いと思いますが、つまりすでに世界で認められたモデルをもう一度ベースにして、今度は復刻としてではなく、正統進化させたうえで、新たに息吹を与えたというわけです。
文字盤の表情にも注目です。視認性を高めるための機能向上を狙った最新デザインは、正統派の印象を薄めることなく、キリリと仕上げています。ポイントを大きくしたドットインデックスも、太針でルミブライトの塗布面積を広げた針も、質実剛健なディテールです。しかし、あらゆるデザインが、2019年に生まれた“突然変異”ではなく、これまでのセイコーによるスポーツウオッチの進化の延長線上に行き着いたものとなっていることが誇らしいではありませんか!
またこのLXラインにはスプリングドライブが搭載されています。温度変化による悪影響を受けにくい、耐衝撃性にも優れるという利点が、スポーツシーンにふさわしいと判断されました。
LXラインには陸・海・空モデルそれぞれに、通常モデルとブラックエディションが存在します。冒頭の画像は、ブラックエディションのダイバーズモデルでした。まったく同じフォルムながら、色彩のあるなしで表情もぐっと異なりますが、実物を観た私の個人的な感想は、ブラックエディションでエクストリームに攻めてみたいなと思いました。日本のモノづくりらしい真面目さと、グローバルスタンダードとなっているプレシャスなパッケージング、このふたつのコンセプトの邂逅は、新たなトレンドを予見させるような、抜群のポテンシャルを秘めている気がしてならないんです。
<セイコー プロスペックス>LXライン ブラックエディション
<セイコー プロスペックス>LXライン