新コレクション「ドライブ ドゥ カルティエ」

男のための時計。2016年のSIHHのために、カルティエが用意していた腕時計「ドライブ ドゥ カルティエ」は、文字通りそんな時計である。

それは、本能に忠実で、活動的、それでいてエレガントなスタイルを持つ。緩やかで流麗なカーブを描くヘキサゴン（八角形）のベゼルとクッション型ケースの組み合わせは、1930〜40年代を彷彿とさせるレトロさを漂わせつつ、ダイナミックと優雅さを兼備する。まさに本能のままに自由に生きる男の腕にふさわしいスタイリングだ。力強いローマンインデックスと、繊細な文字盤装飾の組み合わせは、高級感と存在感を際立たせる。

Ⓒ Cartier 2016

John Balsom Ⓒ Cartier

この「ドライブ ドゥ カルティエ」は、男性に向けた機能的にも完成されたコレクションとして、このコレクションに賭けるカルティエの意気込みがうかがわれる。

卓越した自社製ベーシック・ムーブメントであるキャリバー1904-PS MCを搭載する３針仕様の「オートマティック」は、シンプルなデザインとラジエターグリルを想起させる文字盤装飾が一段と際立つ。

さらにこのベーシックムーブメントをベースに、今後はレトログラード式第2時間帯表示、トゥールビヨンを装備したモデルなども今後リリースされる予定。

Vincent Wulveryck Ⓒ Cartier

「ドライブ ドゥ カルティエ」は、ベーシックモデルを皮切りに今後、全7モデルリリースされることになり、選択肢も豊富である。クラシカルながらモダンさを備えたこのモデルは、幅広いシーンで着用できる。2016年の時計シーンで、大いに注目される存在である。

ドライブ ドゥ カルティエ
ケース｜18Kピンクゴールド、ステンレススチール
直径｜40mm
ムーブメント｜自動巻き（Cal.1904-PS MC）
ストラップ｜アリゲーター
防水｜日常生活
発売時期｜2016年5月予定
予価｜220万円（18Kピンクゴールド）、71万円（ステンレススチール）

Page02. 手仕事の芸術「パンテール」

手仕事の芸術「パンテール」

2016年、カルティエの手腕がメンズコレクションの「ドライブ ドゥ カルティエ」だけでなく、レディースにおいてもいかんなく発揮されている。特徴的なのは、芸術的な時計づくりを強く志向していることだ。フランス語に“メティエ・ダール”という言葉がある。“手仕事の芸術”を意味するが、外装・メカニズム両面において、その言葉を象徴するモデルが登場した。1914年以来、カルティエのアイコンである「パンテール」、すなわちパンテールをモチーフとした時計の数々である。

第一に紹介したいのは「パンテール ミステリアス」である。これには見るだけで驚かされる要素が２つある。１つはホワイトゴールドとダイヤモンド、そしてブラックラッカーによる見事なパンテールのモチーフを完成させていることだ。ケースの上方から左側にかけて、配されたパンテールは生きているかのような立体感があり、その生き生きとした立体感に息を呑む。

そして、そのパンテールが覗き込んでいるのは、1912年以来、カルティエの時計技術を代表するミステリークロックである。サファイアクリスタルの見えないディスクを利用して、針を回転させる技術はカルティエのみが成しえる「時計界の奇跡」である。

Eric Maillet Ⓒ Cartier

これとは対照的に、まったく新しいオートマタ機構を、パンテールと組み合わせ、詩情あふれる世界を展開したのが、「パンテール エ コリブリ ウォッチ」。「コリブリ」はハチドリを意味し、文字盤には18Kホワイトゴールドとブリリアントカットダイヤモンド、ブラックラッカー、ペアシェイプで象られたパンテールと、ゴールドで仕上げられたハチドリが配されている。時計の3時位置のリューズを押すと、パンテールの脚元からは、ゴールドで彩られたパンテールの子供が出現し、それに驚いたように、ハチドリが上方に舞い上がる。このハチドリの動きは、パワーリザーブ表示を兼ね、現在のゼンマイの残量をオンデマンドで表示する。非常にユニークなオートマタ機構を、カルティエは、この時計で示したのである。

さらに、職人の究極的な手仕事が文字盤に、まさに芸術を作り上げているのが、「バロン ブルー ドゥ カルティエ エナメル グラニュレーション パンテール モチーフ」である。その文字盤には、パンテールの顔が、豊かな色彩と立体感を持って、精密に描かれている。エナメルの細密画を用いた文字盤は、その精密さと焼成の難しさで、極めて難易度の高い芸術品である。この時計の文字盤は、そのエナメルを粒状にしたものを使用し、メタルを用いて作られたパンテールの絵の枠に、その粒をびっしりと並べていく。そして、それを焼成することにより、まるで油絵のような立体感を伴った細密画が完成する。この技術を持った職人は、カルティエの工房に所属する２人のみであり、まさにカルティエだけの“手仕事の芸術”が文字盤に展開される。

メカニズム、さらに外装にも驚愕的なレベルの高さを見せつけているのが、2016年のカルティエ レディースコレクションなのである。

Vincent Wulveryck Ⓒ Cartier

パンテール ミステリアス
ケース｜ロジウム加工18Kホワイトゴールド、533個のブリリアントカットダイヤモンドとエメラルド２個を用いた18Kホワイトゴールドによるパンテールをセット
直径｜40mm
厚さ｜8.5mm
ムーブメント｜手巻き（Cal.9981 MC）
機能｜ミステリアスアワー（透明なディスクを利用し、時分針を作動させる）
ストラップ｜アリゲーター
防水｜日常生活
発売時期｜2016年4月予定
予価｜2040万円

Eric Maillet Ⓒ Cartier

パンテール エ コリブリ ウォッチ
ケース｜ロジウム加工18Kホワイトゴールド、314個のブリリアントカットダイヤモンドをセット
直径｜42.75mm
厚さ｜11.4mm
ムーブメント｜手巻き（Cal.9915MC）
機能｜パワーリザーブ表示（3時位置のリューズを押すと、パンテールの子供が現れ、ハチドリがゼンマイの残量に応じて12時方向へ移動）
ストラップ｜アリゲーター
防水｜日常生活
発売時期｜2016年4月予定
予価｜2020万円

Vincent Wulveryck Ⓒ Cartier

バロン ブルー ドゥ カルティエ エナメル グラニュレーション パンテール モチーフ
ケース｜18Kイエローゴールド、124個のブリリアントカットダイヤモンドをセット
直径｜42mm
厚さ｜14.35mm
ムーブメント｜自動巻き（Cal.049）
ストラップ｜アリゲーター
防水｜日常生活
限定数｜世界30本（個別の製造番号入り）
発売時期｜2016年4月予定
予価｜1990万円

Page03. 壮大な宇宙へ想いを馳せる時計

壮大な宇宙へ想いを馳せる時計

2016年のカルティエは、数多くのコンプリケーションウォッチを誕生させているが、特に注目したい２本は、宇宙を思わせる外装と機能を併せ持った2つの「ロトンド ドゥ カルティエ」である。

「ロトンド ドゥ カルティエ アース＆ムーン」は、オフセンターに時刻表示を配し、大胆に文字盤をスケルトン化して、トゥールビヨンはおろか、内部機構全体を愉しませてくれるハイレベルなコンプリケーションウォッチである。

時刻表示の外周には24時間回転ディスクを配し、時刻は2時位置のボタン操作で、1時間単位での送りが可能という実用的なGMTウォッチでもある。さらに驚かされるのは4時位置のボタンを押した時だ。

ボタン操作に伴い、4時方向から円盤が現れて、6時位置のトゥールビヨンキャリッジを覆う。これは、オンデマンド式のムーンフェイズであり、キャリッジを月に見立て、月の満ち欠けを表現するという画期的な仕組みである。さらに、このディスクと時刻表示盤は、メテオライト（隕石）をスライスして作られている。外装においても、宇宙を意識した時計なのである。

一方、「ロトンド ドゥ カルティエ デイ/ナイト レトログラード ムーンフェイズ」は、芸術的に天文表示を表現しようとしたコンプリケーションである。文字盤の下半分は、ムーンフェイズに覆われている。このムーンフェーズはレトログラードによる指針で表示する。月の満ち欠けは美しくゴールドカラーでフィニッシュされ、ダイヤやサファイアをはめ込んだモチーフによって表現されており、これを先端がリング状の指針がさすことで、月の満ち欠けを表示する。

時刻の方は、通常のスタイルの分針に加えて、文字盤の上半分の外周にインデックスリングを配し、その内側の回転リングに描かれた、太陽と月の絵が、時針代わりとなって、時間を表示する。朝の６時には太陽が現れ、夜の６時には月が昇り、それによって昼夜の判別がつく。

これらの文字盤は、夜空を思わせる深みのあるブルーラッカーで彩られており、月やディスクに描かれた星々のモチーフが美しく映える。

外装の性格はそれぞれ異なるが、月という基本的な天文表示を面白く見せてくれる秀逸な時計たちである。

Laziz Hamani Ⓒ Cartier

ロトンド ドゥ カルティエ アース＆ムーン
ケース｜18Kピンクゴールド
直径｜47mm
厚さ｜16.65mm
ムーブメント｜手巻き（Cal.9440 MC）
機能｜トゥールビヨン、オンデマンド式ムーンフェイズ（４時位置のボタンを押すと円盤がキャリッジを隠し、月齢を表示）、第２時間帯表示
ストラップ｜アリゲーター
防水｜日常生活
限定数｜世界15本（個別の製造番号入り）
発売時期｜2016年4月予定
予価｜2820万円

Vincent Wulveryck Ⓒ Cartier

ロトンド ドゥ カルティエ デイ/ナイト レトログラード ムーンフェイズ
ケース｜ロジウム加工18Kホワイトゴールド（ベゼルに68個、文字盤に118個のブリリアントカットダイヤモンドをセット）
直径｜40mm
厚さ｜12.16mm
ムーブメント｜自動巻き（Cal.9912MC）
機能｜レトログラード式ムーンフェイズ（往復運針する指針により月齢を表示）、回転ディスクによる時刻表示
ストラップ｜アリゲーター
防水｜日常生活
発売時期｜2016年4月予定
予価｜1070万円

Laziz Hamani © Cartier

ロトンド ドゥ カルティエ アストロミステリアス
ケース｜パラジウム950
直径｜43.5mm
ムーブメント｜手巻き（Cal.9462MC）
パワーリザーブ｜50時間
ストラップ｜ブラックアリゲーター
防水｜日常生活
限定数｜世界100本（個別の製造番号入り）
発売時期｜2016年4月予定
価格｜2060万円