究極の希少石「パライバトルマリン」──スペシャリストが語る、その魅力とは?|FEATURES
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2024年6月14日

究極の希少石「パライバトルマリン」──スペシャリストが語る、その魅力とは?|FEATURES

FEATURES|パライバトルマリン

「パライバトルマリン」日本人が新たなる価値を見いだした究極の稀少石

いま、世界中の宝石コレクターや名だたるハイジュエリーブランドが注目し、その希少性から「幻の宝石」と称されるパライバトルマリン。宝石の目利きが語る、その魅力とは?

Photographs by NAGAO Masashi|Text by OPENERS

海と空の美しさを凝縮したかのような鮮やかなブルーグリーン

「鮮やかな海や空をイメージさせるパライバトルマリンのブルーは、海と空の美しさを凝縮したかのようです。この宝石には、人が最も美しいと感じるブルーグラデーションのすべてが詰まっているのです」
そう語るのは、高品質で希少な宝石の輸入販売を行うヌールジェムジャパンのCEO、メラジュ・ウディンさんだ。
ヌールジェムジャパンのメラジュ・ウディンCEO
トルマリンと呼ばれる鮮やかなブルーの宝石をご存じの方は多いだろう。なかでもメラジュさんが注目しているパライバトルマリンは、ブラジル・パライバ州の一つの鉱山から産出される、極めて希少なブルーグリーンのトルマリンだ。その類いまれな美しさと、世界三大希少石の一つと形容される希少性から宝石の世界では最高峰に位置づけられ、「幻の宝石」の異名を持つという。
1980年代後半、ブラジルのパライバ州で偶然発見されたこの宝石は、当初「ネオンブルー・トルマリン」と形容された。まるでライトで照らし出されたように青く輝くからだ。
その後、この宝石は産地にちなんでパライバトルマリンと名付けられ、サファイアやエメラルドを凌駕するほど価値のある宝石として世界中の宝石商やコレクターから注目を集めることとなる。
しかしメラジュさんは、パライバトルマリンが世界的に脚光を浴びる以前、実は日本人が最初にその価値に気づいたという。
「意外かもしれませんが、パライバトルマリンが発見されたときに、最初に注目して買い付けたのは日本人でした」
当時の日本はバブル経済に沸いていたこともあり、日本人バイヤーがいち早くパライバトルマリンの美しさに惹かれ、ビジネスでの可能性を見いだしたのだという。
パライバトルマリンが高く評価される理由は2つあると、メラジュさんは語る。
「1つは、冒頭でお話しした通り色の美しさです。トルマリンのなかでも青緑色のものが最も希少で人気があるのですが、パライバトルマリンは美しいブルーとグリーンが1つの石に奇跡のごとく溶け込んでいます。しかもその色合いがとても鮮明で、見る角度によってさまざまな表情を見せてくれる。まさに芸術品のようです」
ちなみに、この美しい色合いは、パライバトルマリンに含まれる微量の銅とマンガンによるものなのだそうだ。
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