Vacheron Constantin |ヒストリーク・エクストラフラット 1968
Historique Ultra-fine 1968|ヒストリーク・エクストラフラット 1968
シンプルを極めたスクエアケースに伝統の超薄型自動巻きムーブを搭載
文=渋谷康人
コンプリケーションモデル同様に高い技術力を必要とする超薄型ウォッチに力を注いできた自らの歴史へのオマージュとして、手巻きモデルの「1955」と共に登場した、超薄型・スクエアケースの自動巻きモデル(写真左)。こちらも1968年に発表された直径28mm、厚さ2.45mmの超薄型自動巻きムーブメント「キャリバー1120」を搭載したレファレンスナンバー7614というモデルのデザインとメカニズムを忠実に複刻。さらに3気圧の防水性能を与えながら、オリジナルのケース厚6.52mmに対して5.5mmという画期的な薄さを実現している。もちろん手巻きモデルのキャリバー1003同様、このキャリバー1120にも大幅なリファインが施され、ジュネーブシールを取得したものに進化しているのはいうまでもない。
自動巻き、ピンクゴールドケース、サイズは縦35.2×35.2mm、329万7000円(予価)、2010年10月発売予定
BRAND HISTORY
日本でいえばまだ江戸時代半ば、1755年に創業したジュネーブの名門ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン。当時のスイス・ジュネーブは、「キャノビチェ」と呼ばれるエリート時計師が活躍する時代であり、同ブランドの創業者ジャン-マルク・ヴァシュロンもそのうちの一人だった。
1819年、創業者3代目に当たるジャック・バレテレミーが、フランスワ・コンスタンタンを共同経営者に迎え、現在のブランド名に改称される。また彼らは積極的に海外進出を行うなど、同ブランドの名を不動のものにした。ここに天才的な発明家のジョルジュ・A・レシューが加わり、新しいレバー式脱進機の開発、組織的な分業システムの確立など、さまざまな面でブランドを支えた。
当時はまだ高価なイギリス時計に対して、チープなスイス時計という考え方が支配的だったが、ヴァシュロン・コンスタンタンの台頭は、やがてはその図式を払拭するほどの勢いで伸びていく。そして20世紀初頭には懐中型のコンプリケーションを発表。スイス三大時計ブランドの一角を担う、世界最高峰のステイタスを掌握していた。第2次世界大戦後のジュネーブ平和会議に列席した米・ソ・英・仏の首脳陣にも、記念品として同社製品が寄与される。
懐中時計から腕時計へとシフトしていった時代、多くの名門が歴史の狭間に消え去ったが、同ブランドの名声はあいからず鳴り止まなかった。1970年代から続くクオーツショックも乗り越え、今年で創業252周年。この記録は継続する時計ブランドの中では世界最古のものである。そして2004年には、ジュネーブ郊外に巨大な自社工房を完成させ、意欲的に自社製品の拡充を図っている。
【創業年】1755年
【創業地】スイス、ジュネーブ
【主なシリーズ名】マルタ、オーヴァーシーズ、パトリモニー
【問い合わせ先】ヴァシュロン・コンスタンタン 03-3288-6597
公式サイトhttp://www.vacheron-constantin.com/