BREGUET|トラディション
Watch & Jewelry
2015年3月3日

BREGUET|トラディション

BREGUET|ブレゲ

ブレゲ トラディション

Text by OPENERS

ブレゲの現社長は、スウォッチ・グループ会長のニコラス・G・ハイエック氏が兼任している。同グループ内でそれだけブレゲというブランドが重きをなしている証と言えるだろう。そしてハイエック社長は、約200年前に創業者のアブラアン-ルイ・ブレゲが発明した名作を、現代に復活させることにこれまでも邁進してきた。

この「ブレゲ トラディション」の2005年モデルは、そのハイエック社長の陣頭指揮で生み出されたもの。過去のブレゲの懐中時計の機構をほとんどそのまま再現した腕時計である。18KYGまたは18KWGケースに収められたムーブメントは、文字盤側が時刻表示板以外、スケルトン構造となっているため、その機構を余すことなく観賞することが可能だ。

香箱はセンターに配置し、時計の6時側に時計の動力伝達を受け持つ輪列機構と、時計の精度を司る脱進機を置くレイアウトは、過去の懐中時計にインスパイアされたものといえよう。

さらにパワーリザーブ表示もブレゲが発明した当時の機構を再現している。テンプもブレゲが考案した独特の形状だ。ブレゲは19世紀に、現在でいうところのフリースプラングシステム(小型のネジの出し入れによりテンプの重量バランスをコントロールしながら、精度の微調整を行うための機構)を作り上げているが、現行「ブレゲ トラディション」には、そのシステムも採用されている。むろん、ヒゲゼンマイの形状の歪みを防止するために、ゼンマイの巻きの最後の端をより小さなカーブにする、いわゆる“ブレゲヒゲ”も再現されている。

そして極めつけは、これもブレゲの考案になる耐振装置“パラシュート(パラショック)”の採用だ。テン芯を受けるルビーに窪みを設け、板バネを配した土台に乗せるもので、テン芯に掛かろうとする衝撃を吸収してしまう、見事なショックレジスタンス機構だ。パラシュートには現代的な改良を施し、新たにパテントまで取得している。ここまで見事にブレゲの機構の数々を甦らせるとは、歴史的な機構の再現に賭けるハイエック社長の熱意を感じざるを得ない。

手巻き。毎時2万1600振動。50時間パワーリザーブ。ケース径37.0mm。ケース厚11.8mm。18KYGケース。アリゲーターベルト。日常生活防水。265万2000円。

BRAND HISTORY

トゥールビヨンやリング式ミニッツリピーターなどの複雑機構を開発し、現在も「時計の歴史を200年早めた」と謳われる希代の天才時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲ。彼が1775年にフランス・パリで工房を構えたことから、ブレゲ・ブランドの歴史は始まる。

1823年、創業者の死後は経営権が幾度か移行するが、1970年にショーメ社が経営権を獲得すると、同社は「ブレゲの再来」と賞賛されるダニエル・ロートの協力によって、往年の名作時計の修復プロジェクトを成し遂げる。

こうしてクォーツ時計全盛の時代にして、名門ブレゲを復興させるに至ったのである。

1999年、スウォッチ グループに経営権が移行すると、永久カレンダーやトゥールビヨンなどのコンプリケーションを中心に、より高品質なハイエンド機を立て続けに発表。

ここ数年は、かつてブレゲが考案した衝撃吸収装置「パラシュート」を現代版にモディファイしたヒストリカルモデルを製作する一方、将来の標準素材として注目されるシリコンを、いち早くムーブメントの一部に採用した次世代機を発表している。まさしく天才時計師の名にふさわしい、新旧織り交ぜた多彩な展開を見せている。

【創業年】1775年
【創業地】フランス、パリ
【主なシリーズ名】クラシック、トラディション、マリーン、タイプ トェンティ、クイーン・オブ・ネイプルズ、ヘリテージ
【問い合わせ先】スウォッチ グループ ジャパン ブレゲ事業部 03-6254-7171
公式サイト:http://www.breguet.com/

           
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