MUSIC|協和発酵キリン『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』 Vol. 9 「抗体医薬」by 高木正勝
MUSIC|研究開発型ライフサイエンス企業「協和発酵キリン」によるプロジェクト
音楽家たちが10のテーマを聴覚化する『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』
Vol. 9「抗体医薬」by 高木正勝
『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』は、研究開発型ライフサイエンス企業「協和発酵キリン」の特徴を、音楽をもちいて表現することで、その事業をより身近に感じられるウェブコンテンツ。第9回のテーマは「抗体医薬」。作品は音楽家の高木正勝が手がけた。
Text by IWANAGA Morito(OPENERS)
目に見えないものは、たしかに存在する
総数60兆個とも言われる細胞からなる人体の精緻な機構は、その神秘の様から未知の「宇宙」に喩えられることがある。協和発酵キリンが強みとする「抗体医薬」は、そんな人体がもつ複雑な免疫システムの主役である抗体を医薬品として応用し、疾病治療に活かそうとするものだ。
抗体医薬は、ひとつの抗体がひとつの標的だけを認識する特性を利用する。ピンポイントにがん細胞などの標的を狙い撃ちできるため、副作用が少なく、高い治療効果が期待できるという。自己免疫疾患など、これまで治療が難しいとされてきた病気の治療法として期待が高まっている。
第9回となる『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』のテーマは、その「抗体医薬」。楽曲を制作したのは、音楽家の高木正勝。彼は里山に居を構え、生活を営んでいる。都会の喧騒から離れた、地域に根付いた暮らし。畑では無農薬で野菜を栽培。しかし、当初はなかなかうまく育たなかったという。それはなぜかと考えたとき、土の声を聴き取れていなかったからだと気づいたと語る。
それは目に見えないが、果てしない情報量のなかに、たしかに存在するもの。音もまた同様だと彼は語る。ひとつの鍵盤が発する音階は、さまざまな倍音を孕んでいる。それは譜面上では記されないが、弾き手と聴き手はたしかに感じとっている。それを探していく作業が、彼の楽曲制作の一端だという。そんな話に耳を傾けていると、抗体医薬が人体のなかに無数に存在する抗体を最適なかたちで機能させるように、人間の営み次第で、この宇宙に存在する無限の要素を、あるべきかたちに導くことができるのかもしれないと思えてくれる。
楽曲のタイトルは「Cosmo Piano」。音楽は、数学的観点から、宇宙を知覚する手段だと理論づけられている。高木正勝が弾き出す音も、まるで惑星が共鳴するようなシークエンスを紡ぎだすハーモニクスとともに、私たちの耳に届く。10 SOUNDS OF LIFE SCIENCEのウェブページでは現在、SoundCloud上でこの楽曲のストリーミング再生ができるほか、1カ月間の期間限定でダウンロードが可能になっている。
Vol. 9「抗体医薬」by 高木正勝
http://www.kyowa-kirin.co.jp/10_sounds/artist/masakatsu_takagi/
<About 10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE>
『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』は、生命をみつめ、生命に向き合いつづける研究開発型ライフサイエンス企業「協和発酵キリン」が、10の視点から10のアーティストとともに10の音楽に紡ぐプロジェクト。その有機的な営みを、美しい音にのせてお届けする。「世界一、いのちにやさしい会社になる」という情熱と志を胸に、抗体技術を核にした最先端のバイオテクノロジー技術を駆使して画期的な新薬を創出、グローバルな展開を通して世界の人びとの健康と豊かさに貢献している。本企画は、アートディレクター/アーティストの川上シュンが代表を務める「artless Inc.」によるプロデュースのもと、展開される。
10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE
http://www.kyowa-kirin.co.jp/10_sounds/
高木正勝|TAKAGI Masakatsu
映像作家、音楽家。1979年生まれ、京都出身。2013年より兵庫県在住。山深い谷間にて、長く親しんでいるピアノを用いた音楽、世界を旅しながら撮影した“動く絵画” のような映像、両方を手掛ける作家。美術館での展覧会や世界各地でのコンサートなど、分野に限定されない多様な活動を展開している。『おおかみこどもの雨と雪』やスタジオジブリを描いた『夢と狂気の王国』の映画音楽をはじめ、コラボレーションも多数。