サイモン・テイラー×ジャイルス・ピーターソン、スペシャルインタビュー|URBAN RESEARCH
LOUNGE / MUSIC
2015年1月16日

サイモン・テイラー×ジャイルス・ピーターソン、スペシャルインタビュー|URBAN RESEARCH

URBAN RESEARCH|アーバンリサーチ

ワーク ノット ワークとジャイルス・ピーターソンのコラボレーションアイテムを展開

サイモン・テイラー×ジャイルス・ピーターソン、スペシャルインタビュー(1)

英国を代表するミュージック・プレゼンターのジャイルス・ピーターソンと、ファッションレーベル「WORK NOT WORK(ワークノットワーク)」とのコラボレーションアイテムが、12月下旬に東京・丸の内の「ワークノットワーク アーバンリサーチ KITTE 丸の内店」などの店舗にて、数量限定で発売される。先日おこなわれたジャパンツアーに際して来日したジャイルスと、ワークノットワークのディレクターを務めるサイモン・テイラーへ、本企画について話を聞いた。

Photographs by JAMANDFIXText by NAGIRA Mitsutaka

セッションから生まれるデザイン

ロンドンのクリエイティブ集団「TOMATO」の創立メンバー、サイモン・テイラーがクリエイティブ・ディレクターを務めるファッションブランド「ワークノットワーク」。今回、ブランドを代表するアイテムであるポーチャージャケットが、ジャイルス・ピーターソンならではのアレンジがくわわったスペシャルな一品として、発売されることとなった。

このコラボレーションの話題を軸に、ジャイルスとサイモン、それぞれが考えるファッションやカルチャーについてインタビューする機会を得た。

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今回製作された「GP Poacehr Jacket」

――1980年代終わりから1990年代という時代、サイモンさんは「Soul II Soul(※)」のアートワークなどで、ジャイルスさんは「アシッド・ジャズ」「トーキンラウド」というレーベルで、ともに世界的な活躍をされていました。そんななかでの、出会いはどのようなものだったのですか?

※SoulII Soul(ソウル・トゥ・ソウル):1980年代後半に、ロンドンで結成された音楽グループ。ソウル、ファンク、ハウス、ヒップホップ、ダブをモチーフにした斬新な音楽性のみならず、その「ファンキー・ドレッド」と称されるファッションも話題になった。

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サイモン・テイラー(以下、サイモン) もともとぼくは、ジャイルスの音楽活動に関心をもっていたんだ。ロンドンのカムデンタウンでジャイルスが毎週日曜にやっていたランチタイムセッション『Sunday Afternoon at Dingwalls』では、彼のプレイにいつも驚かされていたよ。

ジャイルス・ピーターソン(以下、ジャイルス) ぼくも当時からTOMATOをリスペクトしていたので、自分のレーベルのアートワークをやってもらいたいとずっと思っていた。

TOMATOが、ぼくの依頼したレコードジャケットのアートワークを受けてくれたときは、あまりにうれしくてね。自分たちの作っているものは、彼らが関わるほどクールなものなのか不安だったんだ。最初は、断られるんじゃないかと思ってた(笑)。また、TOMATOは自分たちのやりたいことしかやらないスタンスが最高にクールだったし、ぼくはその姿勢もリスペクトしていたんだ。彼らといっしょに仕事ができることは、大きな喜びだったよ。

サイモン ジャイルスが手がけていた「トーキンラウド」というレーベルが、高い理想や意志をもって運営されていたのはわかっていたから、すごく共感していたし、興味はずっともっていた。だから、オファーがきたときは、素晴らしい機会だと思って快諾したんだ。

――ちなみにおふたりの最初の共演は?

サイモン たぶんトシオ(松浦俊夫)のレコードだったんじゃない? ガリアーノの前だね。

ジャイルス わーお、U.F.O.の10インチだよ。

サイモン 『COSMIC GYPSY』だね。「LOUD MINORITY」も収録されてる。

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――あのアートワークは、どのようなやり取りをしながら作ったのですか?

サイモン 音楽を聴いて、ふたりで話をしながらその場で作ったよ。デザインのイメージを見せて、意見を聞きながら進めたんだ。ジャイルスも写真を持って来たりしてね。

――まるでセッションですね。

サイモン まさにそうだね! 最初は、とにかく話をしたんだ。彼が考えていることを知るためにね。

――いっしょにひとつの作品を作り上げたとき、お互いの感性や審美眼について、どのような印象をもちましたか?

ジャイルス おなじ音楽が好きとか、おなじファッションが好きとか、そういう小さな共通点じゃなくて、サイモンに関しては、クリエイターとしてのパッションをもっているところに共感し合えた。今回も2年ぶりに会ったんだけど、何かやろうと思ったときに、すぐにわかり合えるんだよ。お互いに、日本人の奥さんがいるっていうのも大きいかもしれないけどね(笑)。

サイモン 例えば、クリエイティブなものを生み出せる人たちって、こういうインタビューの場でも、自分が答えるよりも、なぜインタビュアーがその質問をしたのかって理由や、そこに至る過程に興味をもつことが多い。ジャイルスはまさに、そういうタイプだとおもう。

URBAN RESEARCH|アーバンリサーチ

ワーク ノット ワークとジャイルス・ピーターソンのコラボレーションアイテムを展開

サイモン・テイラー×ジャイルス・ピーターソン、スペシャルインタビュー(2)

日英サブカルチャー考察

――ちなみにおふたりは日本と関わりが深いですよね。さきほど松浦俊夫さんのお名前も出ましたが、日本のアーティストが海外で活躍しはじめた1990年代初頭のジャパニーズファッションには、どのようなイメージをもっていましたか?

サイモン ちょうど日本人がロンドンにたくさん来はじめたころ、漫画やアートといっしょにファッションも入ってきたんだ。クールだったよ、とくにイッセイミヤケがロンドンでやったエキシビションは、すごい注目度だったのを覚えている。若い世代にとっては大きなインパクトだったはず。

ジャイルス その当時、日本人は何を着ていてもかっこよく見えた。ぼくだったら絶対に着こなせないような、ブッ飛んだセンスを感じたよ。

サイモン 1980年代は世界中のいろんなものを取り入れてミックスしていたイメージだったんだけど、1990年代初頭になってからは、日本からファッションが輸出されていた印象がある。トレンドの一番いいところをピックアップしたり、拡張するセンスには、いつも感心していたね。

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――当時、日本人が雑誌『ストレイト・ノー・チェイサー』を読んで英国文化を学んでいたように、音楽も、日本はUKから学んでいたイメージが大きかったです。

サイモン 過去にそういう時代があったかもしれないけど、1990年代には多くの国が日本をインスピレーションの源泉として見ていた。TOMATOもぼく自身も、日本の文化からたくさんのアイデアを得ていたよ。

――では、UKのファッションについて思うところは?

ジャイルス 最高だね。

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サイモン サブカルチャーに関しては、UKが一番強いと思うんだ。スタイルでアイデンティティを表現してきた歴史がしっかりとあるからね。掘り下げれば掘り下げるほど深いんだけど、1890年代のマンチェスターのユースギャングが、自分の服装でアイデンティティを示したことが重要な出来事だと思う。カルチャーのレベルでいくと、UKではどういう服装をするかで自分がどこのグループに属しているか、どういうスピリットをもっているかを表していたという経緯がある。

――それは音楽との結びつきにも言えますね。

ジャイルス UKは、ファッションと音楽の結びつきが、とくに強いからね。パンクやモッズ、ソウルは、わかりやすい例。ぼくはフランスとスイスのハーフなんだけど、フランスだと、もっとインディペンデントだったよ。個人が自由に着たいものを着ていた。その違いはおもしろいよね。

プロフェッショナルの視点

――サイモンさんが手がける「ワークノットワーク」のコンセプトは?

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サイモン クラシカルなワークスタイルがメインだね。職人の技術の高さへのリスペクトや、伝統を大事にしている。でも、そこにカウンターカルチャーをミックスするのが最大の特徴なんだ。例えば、伝統的なクリケット用のジャケットをモチーフにして、隠されたところに職人技をうまく入れるようにしていたり、もちろんその逆もあったりする。技術や伝統を残しつつも、あたらしいものを作り出すことが目的なんだ。

――そんなブランドで、おふたりがコラボレーションをすることになった経緯は?

サイモン もともと何かやりたいね、って話はジャイルスとしていて、なかなかチャンスがなかったんだ。ここでもトシオがぼくたちを引き合わせてくれて、実現したんだ。

このポーチャージャケットはファーストシーズンからあるブランドを語るうえでも大切なアイテム。「ポーチャー」っていうのは、「密猟者」のこと。そのイメージとジャイルスのイメージが、ぼくのなかで重なったんだ(笑)。ジャイルスも音楽における密猟者みたいなところがあるだろ?(笑) ジャイルスのために刺繍を入れたり、裏地も手書きのイラストをプリントした生地を使ったり、ディテールにこだわったスペシャルなものになっているよ。

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――ジャイルスのイメージに合わせるために、どのような工夫をしたのですか?

サイモン テクスチャーを大切にしたんだ。ジャイルスはDJのプロフェッショナル。それは、クラウドと音楽を調和させるためのセンシティブな営みだとおもう。だから、その繊細さを表現するために手触りや素材感を大事にした。彼がCDよりもレコードを大事にしているアナログなイメージに合わせて、ハンドメイドにこだわったりね。ジャイルスのヒストリーを形にしてみたかったんだ。

ジャイルス 色も肌触りも好きだね。なんといっても、DJをするのに適したジャケットなんだ。軽くて動きやすくて、オールシーズン着られる。ワーク ノット ワークらしい、職人気質の感じられるプロフェッショナルの仕事だ。最高に気に入ってるよ。

――プロフェッショナルであるために必要なものとは?

ジャイルス 簡単だよ。パッションだね。

サイモン 探求心かな。答えが重要じゃなくて、例えば質問を作るためのプロセス、その質問をする理由、そういうことを探求することによって前に進みつづけられることがプロフェッショナルだと思う。それには、パッションが必要なんだ。

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WORK NOT WORK URBAN RESEARCH KITTE 丸の内店
東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワーKITTE 丸の内 1F
Tel. 03-6269-9170

ジャイルス・ピーターソン|Giles Peterson
1990年代にもっとも影響力をもったレーベルのひとつ「TALKIN’LOUD」を主宰し、クラブDJとしてアシッドジャズムーブメントを起こした中心人物。数かずの音源を世界初としてラジオでON AIRするヒットメイカーとして注目されている。現在はレーベル「Brownswood Recordings」から新人発掘にも力を入れており、ベン・ウェストビーチやホセ・ジェイムズなどのスターを生んでいる。現在、InterFMで放送中の『The Worldwide 60 with Gilles Peterson』(水曜 25:00)にてDJを務める。http://www.gillespetersonworldwide.com/

サイモン・テイラー|Simon Taylor
ロンドンのクリエイティブ集団「TOMATO」の創立メンバー。1990年代より、グラフィックデザインや映像、ファッション、建築など多大な影響をあたえる。2012年に、ブランド「WORK NOT WORK」を立ち上げ、デザイナー兼クリエイティブディレクターとして参加する。http://worknotwork.net/

           
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