スタイリスト馬場圭介が、秋の「WORK NOT WORK」を着る|WORK NOT WORK
WORK NOT WORK|ワーク ノット ワーク
8月29日(土)に「阪急メンズ大阪」5階にニューショップがオープン
馬場圭介が、秋の「WORK NOT WORK」を着る(1)
ブランド「WORK NOT WORK(ワーク ノット ワーク)」のデザイナー兼クリエイティブ・ディレクターであるサイモン・テイラーに「ブランドを紹介する適任者を挙げてほしい」と依頼したところ、彼が「このひとしかいない」と指名したのがスタイリストの馬場圭介氏。旗艦店である「WORK NOT WORK URBAN RESEARCH KITTE丸の内店」で秋冬コレクションを見ながら、ブランドの魅力について語ってもらった。
Photographs by SUZUKI Shimpei Text by KAJII Makoto (OPENERS)
サイモン・テイラーとの出合い
「サイモンが僕を指名したの?」と半ば驚きながらショップを訪れた馬場圭介氏。「たしか5~6年前にサイモンが洋服の話をしていましたね。詳しくは聞かなかったけど、こういうカタチで実現するとは思わなかったな」と、旗艦店には初めて足を踏み入れた。
「サイモンとは知り合って12~3年のはずですが、僕が80年代半ばにロンドンに住んでいたころ、遊びに行っていたクラブですれ違っているはず。そうすると30年ぐらいになりますね。英国人は日本人と似ていて、出会った当初はオープンじゃなくて大人しい感じだけど、遊んでいくうちに心を開いてうち解けていく。サイモンともそういう感じの関係ですね」と馬場さん。
「サイモンは日本も、日本人も好きですね。彼はグラフィックを、僕はファッションをと、近い領域で仕事をしていたので日英問わず共通の友人も多いし、サイモンは最近お酒をやめたようだけど、当時はよく飲んでいましたよ」
英国のトラッドマインドは日本人の大好物
ワークノットワークは19世紀や20世紀の職人たちの伝統的なスタイルにインスピレーションを見出し、仕事と衣服とが自然に融合していった労働者たちの美しい個性を編み合わせることでコレクションを創り上げている。
サイモン・テイラーは、「物の価値はその物の意味するところに存在している」を信じ、英国の伝統や、古来からつづく職人の物づくりに対する情熱に対する尊敬がある。
馬場さんは、「ワーク ノット ワークの服の色のチョイスは、“サイモンが着ている色”のイメージそのもの。主にヨーロッパの20世紀初頭がデザインのコンセプトだそうですが、素材感やシルエットはいまっぽく洗練されているし、日本人が好きそうなスタイルを提案していますね」と語る。
初めて訪れた「KITTE丸の内店」のインテリアにも興味津々で「すごくちゃんとしているのに感心しました。古い図書館をイメージしたという棚や壁紙の使い方もサイモンらしいね。もっとオールドイングランド風の内装なのかなと思っていたけど、とても現代的。たんなる懐古趣味になっていないのは、サイモンがPCを使ってグラフィックや設計をしているからだろうね」と感想を述べた。
馬場圭介|BABA Keisuke
1958年熊本県生まれ。28歳のときにロンドンに渡りスタイリストの大久保篤志氏に出合い、2年後に帰国。東京でスタイリストアシスタントして働き始め1年後に独立。スタイリスト&ファッションクリエイターとしてはもとより、DJとしても活躍中。渋谷区神宮前にショップ「ENGLATAILOR by GB」も構える。
Page02. 英国の男の服の魅力とは?
WORK NOT WORK|ワーク ノット ワーク
8月29日(土)に「阪急メンズ大阪」5階にニューショップがオープン
馬場圭介が、秋の「WORK NOT WORK」を着る(2)
今年4月にワーク ノット ワークの日本国内2店舗目の「WORK NOT WORK URBAN RESEARCH マルヤガーデンズ店」が鹿児島のマルヤガーデンズ内にオープンし、今秋は、8月29日(土)に「阪急メンズ大阪」5階に、9月11日(金)に新静岡駅「Cenobva(セノバ)」に4店舗目がオープンするなど、ブランドの勢いが増している。
ファッションと音楽がリンクしていた時代
スタイリストの馬場圭介さんがロンドンに渡ったのは28歳のとき。「海外に住んでみたいなと思って、英語が使えるニューヨーク、ロス、サンフランシスコ、そしてロンドンを考えたのですが、アメリカよりロンドンの音楽をよく聴いていたので、ロンドンに行きました」と馬場さん。
ビートルズ、ピンクフロイド、レッド・ツェッペリンなどロンドンナイズされた音楽が、アメリカンポップより慣れ親しんでいたそうで、「80年代半ばのロンドンは楽しかったですね。冬の寒くて暗いのも好きだったし、マーケットを回って古着やアンティークを見て探すのも好きでした。そして夜はクラブに行って。そこでサイモンもおなじ空間にいたかもしれない。パンクス、スキンズ、モッズなど全盛期ほどではないけれど、街にはそんな個性的な奴らがたくさんいたね」
当時、スタイリストのレイ・ペトリを中心としたクリエイティブ集団「BUFFALO(バッファロー)」や、ジュディ・ブレイム、ジョン・ムーア、クリストファー・ネメスなどとも知り合いになって、「とてもクリエイティブな雰囲気に満ちていた」と馬場さん。
「パンクスやモッズなどは音楽とファッションがしっかりシンクロして、世界的に大きなムーブメントをつくったように、ファッションの流行は音とシンクロしないとダメ。インターネットの時代になってそこが弱くなってしまった」という。
いまの時代に着られる男の服
「ワーク ノット ワークがソースとしている20世紀初頭の英国の服は、基本ユニフォーム。作業服は着やすくて、誰にも似合って、シンプルで、機能的で、汚れても気にしなくていいのが大前提。色もアースカラーか黒しかありませんが、なにより当時は生地がとても素晴らしかった。自然素材の雰囲気や風合い、シワの入り方などすごくいいけど、重くて硬い(笑)。そんな魅力を十分知りながら、サイモンはいまの時代に着られる服をつくっていますね」
今回、馬場さんが秋冬コレクションからチョイスしたのはステンカラーのコート(ステンカラー コート ウールライナー)。「一見シンプルでとてもいい。でもなかはイギリスの国花のチューダーローズの迷彩柄を裏地に使っていて、ブランドのメッセージがちゃんと込められているのもポイントですね」と馬場さん。
「コレクション全体を見ると、たしかにモチーフは昔なんだけど、パターンは着やすくアレンジされているし、生地も軽くて、着こなしやすい。シワや汚れを気にせずヘビーローテーションで着られるし、自分の味を出しやすいんじゃないかな」と語る。
英国の男の服の魅力とはと尋ねると「良くも悪くも色気がない。ナンパ服じゃないところがいちばん好きな理由」と教えてくれた。
WORK NOT WORK URBAN RESEARCH KITTE丸の内店
東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー KITTE丸の内 1階
営業時間|11:00~21:00(月~土曜)、11:00~20:00(日・祝日、祝日の前日は21:00まで)