連載|朝倉奈緒のMUSIC PLAYLIST Vol.5 男でも聴き惚れる!美声男性ボーカル曲5選
LOUNGE / MUSIC
2017年4月14日

連載|朝倉奈緒のMUSIC PLAYLIST Vol.5 男でも聴き惚れる!美声男性ボーカル曲5選

連載|朝倉奈緒のMUSIC PLAYLIST Vol.5

甘美な男性ボーカル曲おすすめ5選

頬に触れる空気が柔らかくなり、新しいことを始めたい季節となりました。今回は、前々回の女性ボーカル特集に対抗して、美声男性ボーカル特集!トラック自体はボーカルと別のアーティストがプロデュースしている曲もありますが、その界隈で抜きん出ている一流のトラックメーカーが「この人をフィーチャーしたい」と思いを馳せて誕生させた(いわゆる)コラボ曲は、自作自演の楽曲にはない相乗効果といえる奇跡の化学反応が起こっており、一聴の価値ありです。ボーカルのキャラクターが最大に生かされたトラックメイキングにもご注目ください!

Text by ASAKURA Nao

ロンドン、LAのエレクトロ・ビートシーン王者から
東京の超マイペースシンガーソングライターまで

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HONNE「Warm On A Cold Night」
ロンドン発の不思議エレクトロデュオ、HONNE(ホンネ)。日本が大好きなことと、「本音」の意味が自分たちの音楽性とピッタリだということからつけられた一風変わったアーティスト名からは想像できない、甘ったるくセクシーなAndy(アンディ)のボーカルとプロデューサーであるJames(ジェームス)による洗練された都会的ナイトミュージックを奏でる。デビューシングルの「Warm On A Cold Night」は後になんと日本語ヴァージョンのMVを公開(Andyによる独特の日本語イントネーションは中毒性がある)、その曲が昨年11月リリースの日本盤アルバムに収録された。キュートなルックスとピュアなリリック、そして彼らの日本愛を知れば、応援せずにはいられない。


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photo by Neil Krug

Bonobo「Break Apart (feat. Rhye)」
ロンドンの名門エレクトロニック・レーベルNunja Nuneの看板アーティスト、Bobono(ボノボ)ことSimon Green(サイモン・グリーン)。今年1月にリリースされた6枚目のフルアルバム「Migration」では2曲目の「Break Apart (feat.Rhye)」でLAのR&Bデュオ、Rhye(ライ)をフィーチャー。Rhyeは男性でありながらシャーデーを思わせるロマンティックで官能的なMichael Milosh(マイケル・ミロシュ)の歌声が好評価され、2013年にはフジロック・フェスティバルにも出演。本曲はBonoboのメランコリックかつ時にダークなサウンドに、ファルセットの美しいRhyeのボーカルが溶け込むことにより、温もりを纏った曲に仕上がっている。


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Bon Iver「22(OVER S∞∞n)」
米ウィスコンシン州出身のシンガーソングライター、Justin Vernon(ジャスティン・ヴァーノン)のソロ・プロジェクトであるBon Iver(ボン・イヴェール)。前作「Bon Iver, Bon Iver」が第54回グラミー賞で最優秀新人賞と最優秀オルタナティヴミュージック・アルバム賞のW受賞。ダイナミックでフォーキーなサウンドとオートチューンを効かせたJustinの ボーカルはどこまでも神秘的で、まるでカントリー映画の中に迷い込んだかのよう。5年ぶりのリリースとなった「22, A Million」はトラック名に記号やシンボルが多用されており、この年月で陥った葛藤から解放されたJustinのメッセージが込められている。このちょっとオタクっぽいエッセンスが、Bon Iverの魅力のよきスパイスとなっている(と私は思う)。


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TOKiMONSTA (feat. Jonny Pierce of The Drums) 「Giving Up」
LAを拠点に活動するビートメイカー/プロデューサー、TOKiMONSTA(トキモンスタ)。男性顔負けのゴリゴリでハイセンスなビートメイキングやFlying Lotus主宰Brainfeeder初の女性アーティストということでもビートミュージックファンの間では名高い。自身が発信するレーベルYoung Art Recordsからリリースされた最新アルバム「FOVERE」ではブルックリン出身のインディロックバンド、The DrumsのJonathan (Jonny) Pierce(ジョナサン・ピアス)をフィーチャー。TOKiMONSTAの叙情的かつソウルフルなサウンドがジョナサンのボーカルをよりエモーショナルに響かせ、彼の新たな境地を引き出している。


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王舟「Thailand」
上海生まれ、日本育ちのシンガーソングライター、王舟(おうしゅう)。邦楽の歌い手は数いれど、J-POPをあまり聴かない人、インスト好きの人でも 王舟の楽曲を聴くと、そうも言っていられない。ボーダレス、ジャンルレスなサウンドと、優しく、ハッキリ英詞とも聞き取れない和英混合の“うた”。「Thailand」は2010年にCD-Rという形態でインディレーベル、昆虫虫魚からリリースされ、その4年後、ファンから長らく待たれ、満を時してリリースした1stアルバム『Wang』にようやく収録。アルバムのレコーディングにはトクマルシューゴをはじめとする東京を代表するミュージシャンらが参加し、彼らがいかにも東京のミュージシャンらしい、王舟の世界観をつくっている。


朝倉奈緒|ASAKURA Nao
東京都・品川区出身。大学卒業後、モード誌『marie claire』の広告営業、レコード会社勤務、主婦雑誌の編集を経て出産を機にフリーランスに転身。編集・ライター・PRに携わる。カルチャー、フード、旅を中心に執筆、エレクトロミュージックのPRを担当。学生時代に世界28ヵ国放浪&日本列島ヒッチハイクの歴有り。


           
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